TENTO×デジタルポケット 第3回プレゼン大会の幹事をしてきた #tentodp2014

TENTO×デジタルポケット 第3回プレゼン大会の幹事をしてきた #tentodp2014

去る10月26日(日)、DeNA様の会議室にて、ボランティア先の小中学生向けプログラミングスクール「TENTO」と、主にViscuitを利用した教育を行う「特定非営利活動法人デジタルポケット」(以下 DP)さんと共催で、第3回プレゼン大会を催しました。当日の模様は、「TENTO×ビスケット塾 第三回プレゼン大会 模様のまとめ #tentodp2014 – Togetterまとめ」にトゥギャりました。

今回は以前にまして、TENTO, DPに通う40名の小中学生が登壇し、自慢のプログラムをLTしました。

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当日の模様をブログを書いていただいた方がいらっしゃいます。ぜひ、ご覧ください!

また、過去の模様は、以下のエントリに残していますのでご覧ください。

さて、僕は今年から本格的にTENTOの講師ボランティアとして加わったため、準備開始の段階からイベントの一切のマネジメントに関わる事となりました。とはいえ、第1回から撮影係として関わってきましたので、何をしなければならないかの大筋は確認できていてあまり不安はありませんでした。そこで、今回の事後blogでは、今までとは違う気付きがあった3つの話「ポスターセッションの導入」「テキストプログラミング部門の審査員について」そして「プレゼンテーションとプログラミングを考える」についてまとめようと思います。

ポスターセッションの導入

第3回から導入した事として「2セッション同時進行」「保護者会」そして「ポスターセッション」があります。さて、この中でポスターセッションについてお話しします。

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一般にポスターセッションとは、カンファレンス等で、自分自身の研究成果を1枚の模造紙にまとめ、決められたブースに待機して対面で説明する事を言います。今回は、それを拡大解釈して、生徒自身が開発したソフトウェアを他の人に触ってもらいながら対面で説明できる場を作りました。デモブースと言っても良かったかもしれません。

これは、今回共催するにあたりDP 渡辺さん(たけしぃ)から「作ったプログラムは触れられた方が良い」という提案を受けて設定したものです。たけしぃさんが言うのは最もでして、僕もプログラムは実際に使ってなんぼのものだと考えていました。また、たけしぃさんはワークショップの実務経験が豊富であったため、彼の知見をベースにうまくできるのではないかとも考えました。

実際、やってみて成功だったと僕は考えています。ポスターセッションにて、3つの発見がありました。

  1. 違う拠点の生徒同士の交流が生まれる
  2. 技術の交流が生まれる
  3. プログラミングのモティベーションがより高まる

1は、TENTOやDPは首都圏各所で教室を開いていますが、通常は別の教室の生徒同士が交流する機会はありません。そんな中、生徒一人一人が、自分は一人や狭い世界にいるのではなく、多くのプログラミングを学ぶ友達がいることを身をもって知ってもらえたのではないでしょうか。

2は、実際に他の人のプログラムに触れると、自分が知らない技術や実装の工夫をしていることを知る場合があります。そんなときに、開発した子と直接会話する事で、技術を通じた交流が生まれます。本人が席を外しているときに、「〇〇を作った人、来て下さい〜!」と呼んで説明を求める子さえいました。僕はこれを見て心底やってよかったと思いました。

3は、1や2を通じて、人との交流やより高い技術の研鑽を通じて、より高度な技術、より魅力的な演出ができるプログラムを書こう、という生徒のモティベーションが上げられたのではと考えています。仲間同士で鍛えあう姿は、僕個人はとても素晴らしい事だと理解しています。

これらは、たけしぃさんの段取りあってこその成功でした。本当に感謝しています。

最後に、1点問題がありました。Wi-Fiです。今回はDeNA様のWi-Fi環境がありましたので無事乗り切る事ができました。今後は、過去のエントリ「JPA Thanks CONBU トークセッションでWi-Fi設定の知見を聞けた #yapconbu」で学んだ知識をベースにより良い環境を構築しなければならない事を痛感しました。

テキストプログラミング部門の審査員について

テキストプログラミング部門は、Webアプリエンジニア養成読本の共著者で81忘年会仲間である @uzulla さんに依頼し、二つ返事で引き受けてくれました。

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今回、運営担当者内で部門の特性(Viscuit, Scratch低学年, Scratch高学年, テキストプログラミングの4部門)に沿って手分けして依頼をしたのですが、その際にテキストプログラミングを担当していたのが僕でした。なぜuzullaさんだったかというと、「現場でソフトウェア開発をしている」「若い人と柔軟に交流できる」そして「YAPC::Asia Tokyo 2014 ベストトーク賞受賞者」であるという点でした。ソフトウェアの完成度は当然評価するとして、プレゼン大会なのですからプレゼンテーションのよさを知っている方にお願いしたかったのです。また、ソフトウェア開発の現場にいる方に審査をお願いするのは、これが初めてです。

実際、彼にお願いして本当に良かったと思います。実務の現場で働く人がどのような視点でプログラミングに関わっているのか、そして生徒の皆さんも自分自身がどこを磨くとより魅力的になれるのか、強い刺激をもらえたのではないかと思います。 uzulla さん自身の感想はエントリにまとまっているのでぜひご覧ください(冒頭でリンクしています)。

もし可能であれば、ソフトウェア開発に興味をもつ現場にいる人たちを交わり、よりプログラミング開発のスキルを高めつつ、そしてより広くたくさんの人たちとの輪を広げる…そう、コミュニティ参加への道も開く事ができたらと考えています。

uzulla さんをはじめ、審査を担当いただいた皆様に深く感謝致します。

プレゼンテーションとプログラミングを考える

TENTOでは、ピアノや水泳教室のように、社会に出る時の教養としてプログラムを学ぶ環境を提供するよう努めています。中には社会人になってプログラム開発の現場に入る子もいるかもしれませんが、それは一部だと考えています。

「構成を考え(モデリングスキル)」「開発を行い(プログラミングスキル)」そして「多くの人に自分が開発したプログラムの良さを知ってもらう(プレゼンテーション)」の3つを指導しています。言い換えれば、モデリングスキルを養う事で論理的思考(再現性のある説明・可視化するスキル)を学び、プログラミングを通じてこれから長く付き合うであろうコンピュータの活用方法や技術の学習方法を学び、そしてプレゼンテーションを通じて自分自身を表現する方法を獲得します。これらは全て、社会に出ると求められるスキルであることは、皆様同意していただけるかと思います。

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その上で、学習のマイルストーンとして、このプレゼン大会と関わり続けて行きたいと考えています。そうすることで、生徒自身はもちろん、私たち指導に携わる者としても、共に学習しより成長して行くために何をすれば良いのか、計画的に考えて行動できるようになります。

10年後、20年後に、ここで学んだ生徒さんたちが、コンピュータを当たり前に活用しながら、論理的に考えて仲間や多くの人にその考えを伝え、より多くの人に新しい価値を提供してくれるようになればいいなと願っています。そこまでいかなくとも、彼らが社会に出たときに、彼らの力でソフトウェア開発の際に発生する意思疎通に起因したトラブルがせめて少しでも減ってくれれば、との思いもあります。

まとめと今後について

ここまで、第3回プレゼン大会について「ポスターセッションの導入」「テキストプログラミング部門の審査員について」そして「プレゼンテーションとプログラミングを考える」の3点に分けてお話ししました。特に、ポスターセッションの導入はDPさんの知見と協力があってこその成功でした。重ねてありがとうございました!

プログラミング教育と一口に言っても、1回〜数回のワークショップ型もあれば、TENTOのような寺子屋教室型、そして今後は学習塾のような一斉指導型も出てくるのではないかと思います。また、英国をはじめとして先進国から順に公教育におけるプログラミング教育の普及が既に始まっています。従って、プログラミング教育はこれからもどんどん盛り上がるのではないかと私は考えています。

ただし、そのときにどのような形を目指しているのかは、充分確かめておく必要がありそうです。プログラムを書く楽しさを伝える所もあれば、TENTOのように論理的思考を通じてプレゼンテーションスキルを高める所もあれば、プログラミングは一つの手段として情報システムの仕組みや倫理を学ぶ所もあるでしょう。他にも出る事でしょう。

ソフトウェア開発者がプログラミング教育を考える事は、どのような後進を育成したいか、そして自分たちがどのような世界にしていきたいのかを考える事に通じます。「コードで世界を変えられる」という有名な言葉があります。もし、変えられたとき、その後の継続性をどのように担保するのか?という点は、あまり議論されてこなかったのではないでしょうか。勝手に誰かが引き継ぐ?それは滅びて別のものが出る?確かにそれはあるでしょう。でも、それだけで良いとは僕は思いません。

恐らく…僕がプログラミング教育に関わる最大のモティベーションは、未来を見つめることができるからだと、考えています。

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会場をお貸し出しいただいたDeNA様、ありがとうございました。一緒に運営して下さったTENTO, DPのみなさん、審査員の皆様、大変お疲れさまでした。保護者の皆様、大変ありがとうございました。そして、発表した生徒の皆さん、お楽しみ様でした!

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