産業技術高専で進路に関する講演をしてきました

産業技術高専で進路に関する講演をしてきました

本日、東京都立産業技術高等専門学校(高専) 品川キャンパスにて、電子情報工学コース 4年生の皆さんに向けて講演をしてきました。今回は、進路指導、特に就職に関しての経験談を話す目的で壇上に立つこととなりました。そこで、大変僭越ではあるのですが、社会人になってから十数年のことについて、お話ししました。

このエントリには事後のまとめとして、発表内容、アフターフォロー、そして感想の3点を残します。

発表内容について

3部構成となっています。

  1. 勤務先について
  2. どうやって今に至ったか
  3. 就活の時に取り組んでみるといいこと

1は、勤務先が実践している新人育成の概要を重点的にお話ししました。これをもとに、実際に働いてみたい企業がどのような育成を行っているか、比較する土台として使ってもらえたらと考えていました。比較ができれば、何が良くて何を自分で補完する必要があるのか、確認する術を設けることができるはずです。

2は、仕事を続けて行くと変化するもの、変化しないものが存在することがあるのをお伝えしました。その上で、どの分野においても「論理的な文章を読む・書く・伝える」技術は陳腐化することなく、一生自分を支えてくれるものになるとお話ししました。また、高専は論理的思考力を養う良い場所であることも伝えました。ご存じない方もいるかもしれませんが、高専の常勤の先生のほとんどは、博士号をもっているのです。そう、「論理的な文章を読む・書く・伝える」ことを、論文発表等で鍛えられたその道の専門家から直接学べる環境があります。

3は、就活お得情報として、特に情報の集め方に焦点を当ててお話ししました。特に、ステークホルダーが違うと伝えることが変わる場合があるが、それが大きな矛盾をはらんでいないか、また現在と今後で方針の変化が起こる可能性があるかを確認した方が良いとお伝えしました。

アフターフォロー

前提として、今回は情報系・電子系の学生さんが混在していらっしゃいました。そのため、できるだけ理系の仕事全般に言えることを伝えるよう心がけました。とはいっても、僕が情報系の人間でしたので、情報系の話を軸に講演を組み立てていたのは事実です。そのため、電子系の方には使えなかった話があった点は恐縮でした。

いくつか質問がありましたので、まとめます。

面接をどう乗り越えればいいか、について。細かい技術は今後学ぶとして、基本は自分自身が高専で何を学び、何を得たかをきちんと話せるようにする必要があります。少なくとも、現場技術者のタマゴとして高専出身者を雇おうとする時、何を学んできたか、そして今後も学べる力があるかどうかを確認したいと考えているためです。

就活の情報として提示した有価証券報告書、について。もし、上場している企業に対して応募したい場合は、投資家に対して説明している有価証券報告書をぜひ確認して下さい。こちらは、EDINETか、企業の公式WebサイトにあるIR(投資家向け情報)のカテゴリから探すことができます。まずは、現在の経営状態、今後の方針を読むようにして下さい。また、数字が読めるとより良いです。可能であれば、簿記2, 3級程度の知識を持っておくとベストです。数字に関する知識も、長く使える基礎知識になります。

企業の新人育成方針の情報収集、について。こちらは、企業の公式サイトにある新卒者向けカテゴリに準備されている場合があります。ただ、中小企業では社内に育成メニューこそ存在していても、紹介するまで手が回っていないことが少なくありません。そのような場合は、手間かもしれませんが、ぜひ企業の人事担当者にメール等で尋ねてみて下さい。

感想

高専のみなさんは、噂に聞くように賢い方が多い印象を受けました。講演中に質問のやり取りをすると、きちんと説明・意見を述べられている方ばかりで、素晴らしいなと感じました。同時に、進学するか、就職するか、選択を迫られている緊張感がひしひしと伝わってきました。

僕自身も、高校生時代に進路指導の一環で社会人の話を聞くということがありました。ただ、話者は芸能人の方だったのです。「いい話」は聞くことができたのですが、その経験談を自分に適用できるかと考えた時、あまりピンとこなかったことがありました。そこで、自分が話す時はそうならないよう、より現実に即した話、近い未来に遭遇する問題とその解決策の提案をできればと考えて今回の講演を行いました。

一方で、話が堅い内容になりがちでもっとユルくできないものか、もうちょっと10代後半の人に寄り添える話ができるものか、工夫する余地はあったかもしれません。今後の課題です。

おわりに

ここまで、高専4年生の方に向けて講演した件について、発表内容、アフターフォロー、そして感想の3点についてまとめました。今就いている情報系の仕事を軸に、できる限り近い未来に起こるであろう現実を想定できるようにお話ししたつもりです。

僕が高校生の頃を思い出すと、大学受験が本格化するとクラス内で進学先をどうするのか、という駆け引きがあったことを思い出しました。ただ、大学受験はクラス内の数十人が相手なのではなく、日本全国の全ての高校生・浪人生が対象です。そう考えますと、クラスで誰がどんな進路を取るというスケールの思考だと、狭い世界に閉じこもってしまっていたのではと反省しています。また、日本全国で受験で結果を出している人が何をやっているか・どのようなことを考えていたのか、もう少し突き詰めて調べても良かったかもしれません。

高専生の皆さんは高校生の大学受験とはまた違った大変さがあるはずです。とはいえ、進路に悩んでいた点では15年前の自分と変わりありません。今回の話が、進路を考えるにあたって一つの指針になれば、幸いです。また、お声掛け頂きました先生方、どうもありがとうございました。

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