「個人でも行える海外アウトソースの第一歩 (Vol2)」に足を運びました
過日 4月28日に催された「個人でも行える海外アウトソースの第一歩 (Vol2)」へ足を運んできました。本勉強会は、以前 板倉雄一郎さんのセミナー受講生としておつきあいのあった林さんが、 oDesk を使ったクラウドソーシングの実体験談を話されるというものでした。
僕の中で、ポイントは次の3点にあると理解しました。
- 世界中からすぐに発注・世界中からすぐに受注できる
- コンテキストの違う人と仕事をする機会を得られる
- フラットな世界の入口である
1は、まさにoDeskだからこそでしょうか、パイの大きさが違います。日本にもCrowdworksやLancersがありますが、日本語なので基本は日本人同士でのやり取りになります。oDeskですと英語ですので、英語ができれば全世界の人と仕事のやり取りができます。勉強会中に林さんが実際に仕事を募集するデモンストレーションを行ったのですが、わずか数十分で何件もの候補者が名乗りを上げていました。僕は日本のサービスしか知らなかったので、この速度感に大変な衝撃を受けています。
2は、日本とは全く違う文化圏の人と仕事をすることができるため、特にデザインになると日本人とは違った趣向の成果物があがってくることもあるようです。また、エリアによって得手・不得手の傾向もあるようで、なかなか世界は広いことを思い知ります。同時に、日本人同士ではあまり想定することのない、低コンテキストでのコミュニケーションをどうするか…即ち「良きに計らって」という言葉が支えない状況…という課題に直面することでもあるようです。
3は、特に受注者側になると、同じ成果物でも単価の低い国との競争となったときにどうするのか、という問題を突きつけられます。または、世界のほとんどの人がやっていない仕事を手早く受発注できる環境ができつつあるのかもしれません。これは、直接oDeskを使った仕事をしなくとも、社会人として長期的にどのように仕事をして行くのか考えなくてはならないきっかけを与えられたと認識しています。
会場としてお世話になった TECH LAB PAAK さん、そして話者の林さん、どうもありがとうございました!
それでは、いつものようにノートをアップしておきます。
内容
頭出し
- 林さん自身は、ブログエントリ「時給78セントの衝撃」に、端を発する。
- 15カ国以上の人にお願いした
- マケドニアの人が一番多かったそうです
- 事例
- 林さん自身の事例の紹介があった。
- ほかの人だと、eBayのCSアウトソース 8時間3交代制 国を分けている。なんてことをやっている人もいるらしい。
- 日本でやると高い。そこが、安くなる。
- 表には出てこないけどよく使っている人はざらにいる。
発注の流れ
- 明確にJob Descriptionが書けるかが問題。
- 細かく書き下すこと
- (斎藤注: ローコンテキストなのを前提に、ってことでしょう。)
- (斎藤注: 日本みたいに雑だとダメっぽいですね。)
- 業務フローは外注に発注する時と特別変わらない。
- 過去のポートフォリオは要求しておいた方がいいし、要求したらだいたい提出してくる。無かったら発注しなくてもいいくらい。
- 発注後も、念のためポジションを空けておくことも可能。
- コンペシステムはない。ただし、あらかじめデータを作って提示してくる人もいる。
- チーム機能はあるっぽいが、林さんはやったことはないとのこと。
- 相場観
- 類似案件で、発注している案件に対してどのくらいの応募があるかを見る。
- 検索で条件を絞り込むことで、その予算でどの程度の仕事が出ているかを調べることができる。
- (斎藤注: まずは相場観を鍛えてから発注するとよさそう。)
- フリーランサー募集もある。
- カテゴリから選択。
- 発注側もレビュー対象となる。
- 日本のクラウドソーシングサービスにはない機能。
- ダメになった案件も、納得できる形で鞘に納めることもまた重要。
- 時給 or 固定給?
- 固定給がオススメ。成果物・コストの形が見えていたらこれがいい。
- 時給制だとがコストが見えづらくなる。スキルが足りないのか、難易度の問題なのか、切り分けが難しい。
- 時給の計上は、受注側に専用のタイムカードソフトをインストールして管理している。スクリーンショット、キーストロークなどなどをとられる。受注側は要注意。
- デフォルトは時給制。
- 候補のスクリーニング
- 時間数、時給等の定量的なデータで比較する。
- 一件一件見るのは結構辛いかも。
- oDeskには、今年からエスクローが導入された。
- 時給制は1週間単位でチャージされる。
- デモンストレーションを見た
- 投稿して、検索に反映されるまで10分くらい待つ感じだった。
- 検索にあがり次第、1件目の候補が来始める。30分弱で5件。結構スピード感が良い。
- 納期遅延
- あらかじめ宣言しておいたほうがいいかもしれない。
- 例えば、フィリピンで停電が…とか、と言い訳されたケースもあるらしい。
- バッファをどの程度積むかは考えておいた方がいい。
- (斎藤注: まあどこでも同じ話だけれど、国が違うのでより慎重なのがいいかも。)
作業中の流れ
- やりとりはSkype Chatが多い
- 添付は25MBまで
- Dropboxを活用することが多い。
- クリエイター系は自分のサーバを持っている人もいる。
- まあ困ることはない。
- Milestone Payment
- 先払いを要求されることがあるので、手付金を何割か払う。
- 先方もばっくれられることを避けたがっている。
- 検収時に残りの金額を払う。
- 今はエスクローができたので状況は変わるかもしれない。
- 先払いを要求されることがあるので、手付金を何割か払う。
その他の注意
- 別案件を再発注しやすい。
- Private Invitation Only の案件も作れる。
- プログラマ系
- Google Docsを使って、遠隔リアルタイムでコーディング面接をする人もいるらしい。
- (斎藤注: 遠隔スキル面談にGoogle Appsはいけるかも。)
- 期待値はあげすぎない
- 文化などなどコンテキストが色々違うことを踏まえる。
- 8割くらいを見る。
- 自分のディレクション以上のアウトプットは難しい
- 専門用語が詰まる。
- 専門知識で詰まる。
- 自分自身が表現できる範囲でディレクション。
- 「あー、こういう感じにして欲しいよね。」は通じない。
- ウマが合う人がいればちゃんと押さえる。
林さんの まとめ
- とりあえずはじめてみよう
- トライアルはたかだか数千円〜数万円
- どんな国から来るかはわからないけど楽しむ
- 映像・開発は東欧
- ロゴは東南アジア
- 競争相手は既に使っているかも
おまけ
- 日本のクラウドソーシングサービス vs oDesk
- デザイン系はoDeskは安い・早い。
- コミュニケーションは日本の方が楽。
- oDeskとElanceは昨年合併している。
- 海外のクラウドソーシングを利用する理由
- ○早い – すぐにお願いできる
- ×安い – いい人=高い人は確実にいる
- 翻訳系は多い。
- 日本人もやれるけどフラットな世界なので稼ぐのは大変だと思う。
- ものが動く話は難しい感じ