10月から2ヶ月間、毎週木曜日にNVC(Nonviolent Communication, 非暴力コミュニケーション)についてのオンラインセミナー「共感コミュニケーション講座」を受講しました。

NVCを実践することで、傾聴力をつけるにとどまらず、対面している相手の話を全面に汲み取りながら共感することで人とのコミュニケーションをより円滑にできつつあることを実感している毎日です。

本エントリでは、3編「受講のきっかけ: 自分には傾聴力が足りない」「NVCオンラインセミナーの内容」そして「自分自身の問題とどう向き合うか」について触れていきます。

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受講のきっかけ: 自分には傾聴力が足りない

ある日、今のマネージャと1on1(上長と対面で話をすることを最近こう言います)をしていた時、ワンステップ進むのにはこえむさんも1on1を知ってみたらどうだろう、ということで薦められて「ヤフーの1on1」を読んでいたときのこと。

ある問題に気づきました。僕には、傾聴力がない。うまく人の話を聞いて、解決策を出すなんて…とてもできないのだと。

それと時を同じくして、相方と長野へリトリートというオフサイトのようなものに行きました。その際、人とのコミュニケーションを改善する手法として、NVCというものがあることを知りました。また、タイミングの良いことに、その中にいた丹羽さん(ここではKokoさんと呼びます)がオンラインセミナーをやっていることを聞き、これで何か得られるものがあるのならやってみよう、それに週1回6セットだからやりきることはできるのではないかと考え、受講することを決めました。

NVCオンラインセミナーの内容

セミナーの話の前に、NVCについて簡単に説明します。

NVCは、Nonviolent Communicationの略で、日本語では非暴力コミュニケーションと訳されます。NVCには4つのステップがあります。

  • Observation (観察)
  • Feelings (感情)
  • Needs (ニーズ)
  • Request (要求)

話し手になりきるように話し手の話を聞きながら感情に共感し、そこから話し手のニーズを導き出し、聞き手として要求を出していく流れになります。また、感情と向き合う際に、宗教的ではなく方法論として再現性を持って取り組むことができます。

使い所として、話し手が持っている悩みを聞きながら話し手自身が解決できる力を引き出すことであったり、夫婦喧嘩から組織・国家間に至る紛争状態を解決する際に両者のニーズを引き出しながら互いの感情に寄り添った要求をしあえるまでのサポートを行ったりすることがあげられます。

Kokoさんのセミナーは以下の書籍を用います。日本語版で講義は進みますが、英語が読める方は英語版も合わせて買ってください。心理学で出てきそうな難しい単語はほぼ使われいないので読みやすいですし、NVC in actionの節でコミュニケーションの事例が挙げらていて英語のほうが意図を汲み取りやすいためです。僕は両方買いました。

ここで、僕の琴線に触れた講義内容を一部取り上げてみます。

同感と共感の違い

NVCを学ぶにあたって、この違いを理解することは非常に重要だと感じました。同感は「相手の話を自分主体でどう考えたか」、共感は「相手主体で自分はどう捉えたか」と、主体がまるで違います。言い換えると、同感は「うーん、わかる!」と反応する、共感は「それは大変だったね/嬉しかったんだね?どうかな?」と共に感情を分かち合うことであります。どちらが、話を聞いてもらえたと感じられるでしょうか。

アンチパターン

アンチパターン、すなわち暴力的なコミュニケーションとは、「比較」「はげます」「なだめる」「気をそらす」「批判する」そして「アドバイスをする」だそうです。やりがち…

Needsの発見と共感

共感するのは、何も他人に対してばかりではありません。自分自身に対しても行うことができます。じっくり自分を観察し、どのような感情かを短くしかし語彙に溢れる単語で見出し、そして自分自身が何をいま求めているものが満たされているのか/渇望しているのかに向き合います。

Needy、言い換えればエゴとNeedsの違い

NeedsとNeedyは分けて考えなくてはならないと筆者は述べています。自立した一人の人間として、Needsを導き出す・発見することが大事なのだと理解しました。

もっと詳しく知りたい方は、ぜひ本を手にとってみるか、Kindleにダウンロードして読んでみてください。

自分自身の問題とどう向き合うか

本には実践の方法が書かれていますが、いざ自分でやろうとすると非常に難しいものであることがわかりました。

そんなときに支えになったのが、セミナーで同席している受講生仲間や、指導者のKokoさんたちと感情を共有してもらい、Needsを導く手助けをしてもらうことでした。ちょうど、最近は仕事で非常に迷いが多い時期が重なっていて、その辛い感情をその場にいた全員に話したことがきっかけでした。このおかげで、次の日から利害が関係するすべての人たちに、今までこんなに冷静にできたとは思えないくらい静かに、かつ明確なリクエストをさせていただきました。今はこれで状況が良い方向に向かいつつあります。

他の受講生の方、Kokoさん自身も含め、非常にパーソナルな事柄を告白されている中で、他の人たちがNVCを実践しながら相手に共感する力を養い、同時にその相手が本来持っている生きる力を引き出すお手伝いができるのだということを学んでいきます。

強い感情が出ている中で、冷静に観察していくのは高い精神力が求められます。慣れないうちは感情に飲み込まれそうになることもあります。そういった意味でも、セミナーの受講を通じて実践方法を正確に理解することは必要だと考えます。

まとめ

ここまで、NVCセミナー受講記を3編「受講のきっかけ: 自分には傾聴力が足りない」「NVCオンラインセミナーの内容」そして「自分自身の問題とどう向き合うか」に分けて述べていきました。

もともとは人の話を聞くための傾聴力を高めることが目的でしたが、行き着いた先は、まずは自分自身に対して傾聴するための力を、NVCの「観察」「感情」「Needs」そして「要求」のプロセスに従って高めることが基礎であることを学ぶことができました。

これは僕自身の主観ですが、自分自身のことを静かに聞けるようになったことで、人の話も以前よりも静かに聞けるようになった気がします。そして、NVCの実践は学んだら終わり、と言うわけではなく、スポーツのトレーニングやプログラムを書くように日々の実践を続けることで、NVCのスキルを高め続けることができると指導されていますし、実際にそうしていこうと考えています。

自分が今何を求めているのか、冷静に発見する力を養っていただいたKokoさん、そしてそのサポートをしていただいた受講生の皆様に感謝します。どうもありがとうございました。

セミナーを受けたい方へ

僕が受けたKokoさんのオンラインセミナーは、zoomを使ってやるため家からできます。これも僕の主観ですが、世間にあるセミナーの中では比較的安価な25,000円(僕が受けた当時)なので、金銭面の負担も低いです。ご興味のある方はこちらから: https://www.imakoko.org/

また、NVC Japanという団体のサイトには、日本中で行われれている様々なNVCのセミナーがまとめられています。こちらから、お近くの会場のセミナーや、様々なオンラインセミナーを探してみるのも良さそうです。こちらから: http://nvc-japan.net/

そして、英語のリスニングに問題がない方は、原著者の Marshall からの解説動画をご覧いただくのも良いと思います。「Nonviolent Communication Part 1 Marshall Rosenberg」なお、数編に分かれています。

最後に、本は、紙と電子書籍、両方ありますので、ご都合の良い方をお手にとってご覧ください。なお、セミナーでは紙でページ数を指定されることがあるので、セミナーを受けられる予定がある方は紙を買ったほうがいいです。