エンジニアのためのプレスリリース(後編)‐フォーマットを固めよう

前編:3つのポイントを抑える』から間が空いてしまいました(汗)。
今回は、プレスリリースを書くにあたり、僕自身が書いたものを元にお話を進めていきます。

まずは、こちらのPDFファイルをご覧下さい。
ニュースリリース: 記事に「関連した話題」でブログを結ぶブログパーツ『シムエントリ』を開発

プレスリリースは、大きく分けて6つの項目に分かれます。
1. タイトル
2. 書き出し
3. 特徴紹介(製品紹介)
4. 開発背景
(必要に応じて)技術解説
5. 開発者紹介
6. 連絡先

プレスリリースを読むのは、送ったメディアの記者と、その先にいるメディアの読者です。
この前提と、先回まとめた3つのポイント『先進性』『独創性』『社会貢献性』を基に、実際に記事を書いてみましょう。

■1. タイトル
「ニュースリリース」であること、そして「どんな製品がリリースされた」か、記者の方に伝えます。
メールで送るばかりでなく、FAXなどの紙の状態で渡ることも考慮しつつ、バシッとタイトルを決めます。

■2. 書き出し
このプレスリリースの要旨となると考えてください。ここが勝負!

私…
(中略)
…「関連した話題」が存在する別の記事にリンクすることができるサービスとなっております。

「誰」が「いつ」「どのような」製品をリリースしたかを端的にまとめ、写真をつけます。
ポイントは写真。必ず1点つけましょう。文だけでなく写真で見えたほうが、記者もイメージをつけてもらいやすいでしょ?それに、この写真が実際に記事へ引用されることもあります(実際にITmedia Newsで引用されました』)。
今回の例は個人のため名前のみですが、会社の場合は『○×株式会社 (代表取締役 ○× △□)』と書くようにします。
あと、製品紹介ページのアドレスを書くのをお忘れなく。

■3. 特徴紹介(製品紹介)
開発した商品が、どのような機能を持ち合わせているかをまとめます。『社会貢献性』の部分が中心になります。

■スタートは簡単
・ブログのRSSフ… (以下略)

このとき、単なる機能一覧にならないようにすることが大切です。この機能を使うことで、製品を使いそうな人へどんなメリットがもたらされるのかを抑えます。
ただ、多くの機能が載っている製品は注意。多くを伝えても、もたらされるメリットの焦点がぼけてしまうと結局どんな製品なのかわかりづらくなります。その場合は利用者を想定して『どこを推すのか』を絞ったほうが安全です。
また、必要に応じてリリース日や利用できる環境(どの携帯の機種で動くか、など)を明記します。

■4. 開発背景
どういう想いをもって開発したかを書きます。『独創性』が表現できる部分です。

現在、日本のブログは「アルファブロガー」…
(中略)
…陰に隠れつつも良質な記事を執筆しているブロガーの方にもチャンスを作りたい。そのような気持ちから当サービスを開発するに至りました。

記者に、ちょっとしたドラマを想像してもらえるようなものならよいのではないでしょうか。勢い余って、あまり長くならないように。

■(必要に応じて)技術解説
先進的な技術や、聞き慣れない特殊そうな技があれば、簡単に解説します。『先進性』押し出します!

『シムエントリ』では、次の技術を…
(中略)
…■関連性の計算 (類似度の計算)
「ベクトル空間モデル」を採用しています。
これは、…(以下略)

ドン引きされない程度の難しいことが書いてあると、ちょっとした製品の価値の高さやありがたみ(?)を醸し出せるかもしれません。
今回は「ベクトル空間モデル」がそれに当たります。専門家が見ればなんてことはないのですが、それ以外の人には「なんかすごそう」というイメージを与えることができた、かも知れません(『[N] ブログを記事単位で結ぶ「シムエントリ」』とか)。
エンジニアにはこの考え方は抵抗があるかもしれませんが、あくまで「インパクト」を与えることが重要であることを忘れないで下さい。エンジニアが技術をわかりやすく語ると、エンジニアではない人はとても親身に聞いてくれるのです。もし、とことん語りたいときは、自身の製品サイトに書いたほうがよいです。

■5. 開発者紹介
会社の場合は、会社概要をまとめます。最低でも…
・会社名
・創業年月
・資本金
・事業内容 (ヒットしたサービスがあれば特に推す)
・公式サイト アドレス
くらいはまとめましょう。
個人の場合は、どういう人が作ったのかイメージできるような自己紹介にしてみてはいかがでしょうか。ブログがあればブログのアドレスも書いておきましょう。

■6. 連絡先
記者の目に特に留まった場合、連絡が来ることがあります。
会社の場合、必ず担当者の部署・氏名を明記の上、存在するすべての窓口の連絡先を書きます。
個人の場合は、日中は別の仕事をしている人も少なくないと思いますので、通常使うメールアドレスと日中連絡がつく連絡先を書いておくことになるかと思います。
では、実際連絡が来たときは……また別のノウハウが必要になりますが、話が逸れてしまうので今回は割愛します。

■その他
自社や他社の商標名が出た場合は、その旨を記載したほうが間違いありません。

いかがでしたでしょうか。
フォーマット自体は、とっても簡単です。
全部まとめると、たいてい1?3ページになります。
多くのプレスリリースを読む記者の状況を察して、多すぎない分量にするのがよいかと思います。
ただ、実際に書くと「まとめる力」を要求され、ちょっと大変です。未だに僕も慣れません。

アプリを作るエンジニアの皆さん、自分で開発した製品・サービスをより多くの人に使ってもらえるよう、リリースのタスクにぜひ『プレスリリース送付』を入れてみてください。
ひょっとしたら、今まで考えがつかなかった速度で、広まっていくかもしれませんよ。

ご参考になれば幸いです。

※追伸
おかしな部分がありましたらぜひご指摘下さい。特に、広報担当者の方のご意見がいただけると幸いです。

エンジニアのためのプレスリリース(前編)‐3つのポイントを抑える

今日は、エンジニアでもプレスリリースは出せるんだよ!というお話。

エンジニアをしていれば、新しいもの(製品・サービスなど)を生み出すために日々取り組みます。
そして、出来上がると多くの人にその存在を伝えていくことになります。その手法として、古典的でありながら今でも大きな効果を期待できるのが、プレスリリース。ネット系ならITmediaCNET、ネットに留まらないものなら全国紙(読売・毎日・朝日・日経)などがあります。
しかし、個人でやっているとプレスリリースを書いてくれる人なんて頼れそうもないし、会社でも小さい会社だと広報担当者がいないこともあり、似たような境遇だと思います。

そんな状況でも、いかにして自分の作ったものをプレスリリースを通じて世に報せていくか。僕がとった流れをご紹介します。

■心構え

エンジニアは、誰よりも作った製品のことを知っています。作った人にしか言えない、想いがあります。
これは、どんな広報担当者でも勝ち得ないアドバンテージです。

■3つのポイントを抑えろ

さて、その想いを論理的に整理していきます。
いかにして自分が作ったものの価値・メリットを、『誰へ』『どのように』出せるかという形式でまとめて行きます。
先進性
→人があっと驚く、先進的な技術・仕組みを使ったものはありますか?
独創性
→技術としてはありふれているかもしれないけど、誰も考えなかった切り口を捕らえていたりしますか?
社会貢献性
→これは外せません。特に、どんな人にメリットがありますか?その対象が明確で、多ければよりよいです。

どんなプレスリリースでも『社会貢献性』だけは外せません。自分以外の人に価値が認められるものでなければ、掲載されることはまずないからです。プラス、独創性や先進性を訴えられるものがあれば漏れなくピックアップしましょう。プレスリリース、ひいては物の価値をより高めてくれます。

■どのメディアに出すのか

今から書くプレスリリースを、どのメディア(媒体)に出すかを絞ります。
メディア…、ネット系のニュースサイト、全国紙、雑誌と、読む人がまちまちです。言い換えれば、そのメディアにあったプレスリリースを書けなければ、せっかくのものの価値が伝えきれなくなってしまうのです。
ですので、慣れないうちは掲載してもらうメディアをネット系メディアへ絞ってしまうと書きやすくなると思います。いつも読まれているでしょうから読者層も想像しやすいですし、何よりどんなポイントを一番読み込むのか、ご自身が一番知っているはずです。
また、全国紙に載ればいいと考えたくなりますが、みんな同じことを考えていますから極めてハードルが高いです(※1)。その競争をかいくぐれるものであれば、全国紙にチャレンジするのもありです。全国紙掲載の威力はどんな広告よりも費用対効果が高いのです。
あと、たいていのメディアにはプレスリリース送付先が書いてありますから(※2)、ちゃんと抑えておきましょう。

大まかな理屈はここまでです。

■出ているプレスリリースを読み込もう
理屈はなんとなくわかっても、イメージがわかない。
そんなときは、現在ニュースサイトに掲載されている新製品情報と、そのプレスリリース原文をセットで読み込むことをお勧めします。プレスリリースの原文は、たいていその会社のホームページの「プレスリリース」や「お知らせ」欄に掲載されています。
特に、大企業の広報担当者が書かれている内容は、製品の価値を伝えるのがうまいのでお勧めです!僕はSONYのプレスリリースをよく読んでいます。

次回『後編:フォーマットを固めよう』では、実際に僕がシムエントリのリリース時に書いたプレスリリースを元に、内容の固め方のお話を進めてみようと思います。

※1
広報担当者の方の中には、全国紙の有力記者さんとバックボーンをしっかり持っている方がいます。そういう人たちもいることを肝に銘じてチャレンジしてください。

※2
プレスリリース一括送付サービスや、プレスリリース掲載サイトなどもあります。
お金が使えるのなら、このようなサービスを利用されるの一手かもしれません。