私のキャリアキーノート 2017年版

キャリアキーノートを作ってみました。

キャリアキーノートとは、自分自身のキャリアを内省し、自分自身の根底にある考えをまとめたものです。

昨年、@hfmさんが書かれた「キャリアキーノートとはなにか | blog: takahiro okumura」というブログエントリを読んで、自分でも作ってみようと思っていたのですが、なんだかんだしていて、いつの間にか1年ほど経ってしまいました。

今は夜は一人でいることも多く、時間ができたこともあり、これは良い機会と思い作ってみたのでした。

内容は読んでいただくとして、書き上げた感想を3つほど。

1つ目。先のエントリには、このようなことが書かれています。

キャリアキーノートは語る側の挑戦である

語りとしてのキャリアに何の意味があるのか。私は「何を語ったか」以上に「何を語らなかったか」にこそ真意があると思っている。言語化することで意味付けされたキャリアには「意味のあるエピソード」が採択される一方、「意味のないエピソード」は棄捨される。

骨子を作るのは一瞬だったのですが、そこから何を書いていくべきなのか、これが想像する以上に難しい作業でした。自分の話をするので、制約が非常に緩いのです。だからこそ、言わなくていいことをいかに言わないかを選択することが難しい。語りすぎると、本筋からずれてしまうからです。

2つ目。書いていて気付いたのですが、自分は今、社会人17年目なんですね…。時の流れが速すぎて数えるのをやめていたのですが、振り返りを通じて時の流れを整理できるのは良い機会でした。

3つめ。こちらも、先のエントリでこのようなことが書かれています。

内的キャリアというものは、ある種の暴力性をもって、人に影響を与えてしまうかもしれない。しかもその正しさは誰にも保証出来ない。キャリアキーノートを講演してくれた人なら理解してもらえるかもしれないが、発表にはひどい恐怖が伴う。

自分で書いていて、特に自分のキャリアの前半は「なんて奴だ」と思われても仕方ない、今振り返ればひどいものだったことが明るみになったと自分で理解しています。でも、それさえも自分自身であり、向き合う以外には方法はありません。大変な葛藤があったことを記します。

なお、この話は特に発表する予定はありません。ただ、機会があれば話すことはやぶさかではありません。

みなさまも、人生の節目で作ってみてはいかがでしょうか。発表する、公開するのは別として、内的なキャリアの良い棚卸しになりました。そして、先に紹介したブログエントリはキャリアキーノート作成の良い指針になるので、作られる前にぜひ読んでみてください。

紙の路線図 これが僕の必要としている旅のツール

みなさんが旅に出られるとき、何を道しるべにしますか?

定番は「地球の歩き方」「ことりっぷ」そして「Lonely Planet」などがあります。今なら、ネットで観光情報を調べてGoogle Mapsを使う、なんて人もいるでしょうか。僕も過去は前者、現在は後者が多いのですが、昔、そしてスマホが便利になった今でも欠かさず手に入れるものがあります。

旅する街の公共交通機関の公式路線図です。それも、紙。

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それでは、紙の公式路線図をわざわざ「手に入れる理由」「使い方」そして「手に入れ方」の3つの事柄について説明します。

手に入れる理由

ズバッと、3つの理由があります。

  1. 一目で都市の交通網を把握できる
  2. 運賃などのルールが記載されている
  3. 仲間内で話し合うときの媒体になる

1は、バッと広げると、その都市にどのような形で交通網が整備されているか俯瞰することができ、同時に把握することができるためです。「PDFがあるじゃん!」ってここで思った方、賢い。実は、現地に着く前に念のためにPDFはダウンロードしています。ただ、iPhone/iPad/Macの画面では、この路線図を俯瞰できるほどの画面の広さがありません。俯瞰できることが重要なのです。

2は、これまた重要なことでして、運賃や支払いの仕組みがまとめられているものも存在します(例:サンフランシスコ)。こういうところから、muniなら90分間なら乗り放題、すなわち飯食って帰ってくるなら片道分しか取られないとか、そういうことが分かったりします。

3は、どこへ行きたいとか、このエリアは何があるとか、そういう話をするときに便利です。普通の地図でもこういう話はできそうですが、そこに路線図が乗っかってくると「どうやっていくのが現実的か」という議論もしやすくなります。このやり方、旅好きの人ほど盛り上がりやすいです。

使い方

僕は、まず路線図を手に入れると3分くらいでざっと眺めて、主要駅と主要なランドマークの位置関係を叩き込みます。これが最初にして一番重要なプロセスです。

その次に、Google Mapsで経路を検索します。その上で、Google Mapsをそのまま信用せず、より早く着く代替経路が見つかるような先程見た路線図を元にそちらを使うことも検討していきます。慣れてくると、Google Mapsは徐々に使わなくなり、路線図のみになります。最後は暗記します。

また、ニューヨークや東京などの運行障害や運行経路変更が起こりやすい都市の場合は、この路線図を頼りに代替路線を探します。これはGoogle Mapsで代替経路を容易に把握できない(経路が反映されない)場合があるのが大きな理由です。

あと、旅行ではないのですが、東京では住むところを探すときにも使いました。東京メトロの大型路線図(¥1,500 執筆時点品切れ)を見ながら、弟が独立するときにどこに住むかを探す際にこれを見ながら話をしたことがあります。通勤距離、始発で座れそうか、乗り換えは便利そうかなどが見積もりやすくなっております。

手に入れ方

まず最初に聞くのは有人窓口。路線図はあるかと聞けば、どこにある、またはここにあるよと教えてくれます。ニューヨークは地下鉄駅の有人窓口で無料でもらえます。

次にありそうなのは、地区の中心にあるチケット販売窓口。サンフランシスコは、Market St.のケーブルカー乗り場前のチケット売り場で$3で手に入れました(本屋でも購入可能)。ベトナムのホーチミンシティでも同じように手に入れたような記憶があります(以下)。

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あとは、駅のチラシ置き場に積んであったりもしますね。東京だと、見たことがある方も多いはず。

なお、東京メトロの大型路線図は、東京メトロの定期券売り場で購入することができます(ただしB0で巨大なので注意)。

そんなわけで

紙の公式路線図をわざわざ「手に入れる理由」「使い方」そして「手に入れ方」の3つの事柄について説明しました。公共交通機関が公式に発行する路線図は、無料または安価で手に入れられる、正確な公共交通機関の情報です。使わない手はありません。あと、帰った後に「あー、あそこ行ったなー」という振り返りも使えまして大変便利です。

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「ニューヨークへ行きたいか!オー!」だから行ってきました

サンフランシスコ出張シリーズが続いております。

しかし、今回はサンフランシスコの話ではありません。米国の5月最終週の月曜日はMemorial Day、祭日です。ということで、この週末はサンフランシスコを飛び出しまして行ってまいりました、ニューヨークへ。

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東京からニューヨークへ行くとなりますと一大事でお金も結構かかりますが、サンフランシスコからなら国内線で行くことができます。といっても、6時間かかるんですけどね。すごいですね。

さて、「行ってきたところ」「ちょっとしたトラブル」そして「感想」をまとめてみます。

TL;DR

  • 有名どころはたいてい当たり、ハズレ無し。
  • 行きたいところは全部行くのは無理なので優先付けが重要。
  • 都市の仕組みを予習することに越したことはないが、トラブル対処力がもっと重要。

行ってきたところ

金曜日の夜にSFOを発ち、土曜日の朝にJFKに到着。そして月曜日までの3日間をニューヨークで過ごします。時間を有効活用できるようにするためにとったスケジュールでした。

1日目

まずは、7th Ave.を北上してTimes Squareへ。朝に行ったときは混雑ってこんなもんなのかなと思ったのですが、次の日に夜に行ったら大変な人だかりで、なるほど、これが世界の交差点かと感心しきりでした。なお、普通の警察官はもちろん、機関銃と防弾チョッキで武装した警察官も常時監視しておりまして、大変な警備コストがかかっている場所でもありました。

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次にセントラルパークへ。飛行機の中で余ったおやつを食べつつ腹ごしらえ。朝からランニングをしている人は確かにいまして、皇居の周回コース以上に人がいました。

続いて、世界の名だたるブランドが集結する5th Ave.へ。ブランドのショップで買い物はせず…Trump Towerを眺めたり、Rockefeller Centerで写真を撮ってもらっていたりしていました。

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んでもって、Grand Central駅を見学した後、昼飯を食べ、再び北上してブロードウェイミュージカルの観劇へ。今回は、相方の勧めもあってCATSを観にNeil Simon Theatreに行きました。土曜日の昼の部でチケットの値段が高そうですが…ここはStubHubで1階席の真ん中があることが判明。SFOにいるときに買ったのですが、恐らく4割ほど安かったです。チケットの印刷のためにKinko’sに行かねばならなかったのですが、ニューヨークなのでKinko’sはすぐ見つかりまして一安心。ロンドン以来のミュージカルのメッカで楽しい時間を過ごしたのでした。

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この後もまわりたかったのですが、飛行機の中で3時間しか寝ておらず、急激に眠気が襲ってきまして無理をしないようホテルにチェックイン。ホテルは、Hell’s Kitchenの端っこにあるMagnuson Convention Center Hotelをとりました。東横インみたいなところです。中心の高級ホテルよりは安くTimes Squareも徒歩圏内ですが、9th Ave.より西にあって人通りが寂しいところなので、ちょっと気をつけたほうがいいです。

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2日目

最初に訪れたのは、Brooklyn Bridgeが望める公園へ。いやー、これぞニューヨークだ!と感心して、実は夜にもう一度行っています。

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その後、実際にBrooklyn Bridgeを渡ってみました。渡るのに30分ほどかかります。話の肴にぜひ渡ってみてください。

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次に、Lower Manhattanのエリアへ。Wall St.でNYSEの建物だけ見ました。市場は当然開いてないので…。

その足で、World Trade Centerへ。9.11で攻撃された跡地ですが、厳かな場所となっておりました。忘れもしません、夜のニュースを見ていたときに、旅客機がWTCへ突っ込んでいったことを(※1)。また、日本には3.11というものがあります。11日つながりで、どちらも悲しい出来事です。笑顔で記念写真を撮っている人がいましたが、9.11と3.11のことを考えると、とてもそんな気になりませんでした。少し見学した後、足早に立ち去りました。

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気を取り直して昼飯を食べました。ニューヨークはサンフランシスコよりも昼飯が安い気がします。

そして、友人が勧めてくれたAmerican Museum of Natural Historyへ。特別展が好きなだけ見られるSuperSaver Admissionチケット($35)を買って館内へ。特別展は”Humpback Whales”(3D上映), “Mummies”そして”Dark Universe”(プラネタリウム)をチョイス。”Humpback Whales”はNational Geographicの自然ものの番組を3Dの大画面で見られると思っていただければGood。”Mummies”は名前のままで、ミイラがそのまま展示されています。そして”Dark Universe”、これがすごい、ストーリー仕立ての高解像度プラネタリウムが僕の心を虜にしました。まるで星が本当に降ってくるよう。プラネタリウムで感動したのは、初めてですね…これだけで$35のもとを取ったと感じたくらいです。

なお、常設展も大変なスケールでして、本来なら1日かけても見終わらないような場所であることをお伝えします。駆け足で観ていたら本当に大変でしたしもったいない気分になりました。ここに限らず、米国の有名な博物館・美術館は、体力・時間を観覧者に求めてきます(笑)。

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博物館に閉館時間までいた後、Columbus Ave.を歩いていて良さそうなバーを見つけてふらっと立ち寄りました。Guyer’sさんです。カクテルを飲みつつ、ピザを食べつつ…「僕、明日、というか日本だと今日誕生日だから自分で祝杯を上げたい」くらいの話をしてたら、二杯目のカクテルとともにケーキを持ってきてくれました。そんでもって「ケーキのお代はいらないよ」って。とても良い誕生日になりました。おいしくいただきました。ごちそうさまでした。

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その後、再びBrooklyn Bridgeを観て、そして改めてTimes Squareに立ち寄り、ニューヨークの夜を楽しみました。

3日目

最終日。朝、寝過ごして朝食時間ギリギリに起きて、あわてて朝飯をかきこんでチェックアウト。月曜日なのになぜ目覚ましが聞こえない!(鳴ったのを止めたから止まっているのだが)

この日は小雨。まずはMoMA(※2)へ。僕は展示もさることながら、2Fにある本屋さんの品揃えに目を引かれました。思わず買ってしまうところをぐっと堪えるのに必死でした。

最後に、屋台で昼飯を買ってBryant Parkで食べました。Bryant Parkには電源もありまして、堂々とノートPCに電源を繋いで作業をしている人がいました。公園に電源があるというのに大変驚きました。

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そして、タイムリミット。行きたいところは他にも山ほどありましたが、これが限界。でも、上等です。

往路でも乗ったLIRRを使いJFKに戻り、家路につきました。普段通路側をとるのですが、この日は窓側しか空いてなく窓際に座りましたが、北米大陸の雄大な自然を望みながら帰ることができました。米国で商売をする人は、この人種も考え方も、そして土地の広さも日本とは決定的に違うスケールと対峙しなければならないのだなと身震いしました。

ちょっとしたトラブル

今回の旅は、先進国内の旅とはいえ、日本ではなかなか遭遇しない様々な小さなトラブルに遭遇しました。

  1. 往路でオーバーブッキングで飛行機が繰り上がったと思ったら2時間近く出発が遅れて結局予定通り着いた
  2. 昼飯を食べた時にカード決済しようとしたらカードが止まった
  3. 地下鉄が運休しまくっていて更に歩いた
  4. 地下鉄の改札をくぐりそこねて2回引き落とされてしまった
  5. ホテルの風呂の排水が悪すぎた
  6. 2日目に風呂場にタオルが準備されていなかった
  7. 靴が壊れはじめた

1は、今回DELTAを使ったのですが、飛行機の出発の遅れやオーバーブッキングが見込まれると、アプリに「お金いらないから便変えない?」という通知が来ます。U.S. DEPARTMENT OF TRANSPORTATIONのAir Travel Consumer Reportによりますと、2017年5月発表の資料によれば搭乗拒否された率は全米最低の堂々トップに輝いておりますが、こういう工夫が功を奏しているのですね。しかし、そもそも遅延やオーバーブッキング対応が少ないJALやANAは凄いなと思います。

2は、カード会社(DCカード)に電話して確認したところ、「いきなり米国西海岸から東海岸に移って決済しようとしてシステムが不正利用の疑いありのフラグを立てた」のが原因でした。その後、不正でないことは確認できてロックは解除してもらっています。出張が多い方は、カード会社にすぐに電話できるよう準備した方がいいです。

3は、Memorial Dayで地下鉄が運休しまくっていて、遠回りしなければならなかったり、歩いて別の駅へ行かねばならないなどの問題が出ました。東京ばかりでなく、ニューヨークも運行情報をよく調べて移動しないといけないですね。

4は、僕のミスなのですが、改札を通りそこねてもう1回カードをスキャンしたら2回目も引き落とされたという話です。なお、乗り放題パスにすると一定時間入場できなくなるらしいので、合わせてお気をつけください。

5, 6はまあ安いのでしかたないということで。タオルはフロントに取りに行きました。

7は、歩いて移動がメインのマンハッタンでヒヤヒヤしました。最後まで靴は無事でしたが、それにしてもヒヤッとします。まあ、ニューヨークだからダメだったら買えばいいですね、はい。

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この旅は、細かいが次々発生するトラブルを素早く解決するクエストのような要素もありまして、これもまた振り返りますと楽しみの一つとなっていました。

感想

ニューヨークは、まさに世界の交差点ともいうべき、様々な人、製品、そして文化が集まってきていました。芸術家の人がニューヨークを目指すのが少しわかった気がします。これだけのことが集まっていれば、自分の感性が刺激されないはずがありません。

そして、サンフランシスコのある西海岸とはまた違う雰囲気であることもわかりました。技術の活躍の場はベイエリアほどは感じず、東京ほどではないけど人が関わるシーンが多いなと感じました。そして、ニューヨークに住む人は、ニューヨークで生活していることに誇りを持っていると感じました。バーで話していただけの感想ですけどね。

今度は、仕事で来れたらいいですね。本当に貴重な体験ができた旅行となりました。

機内でSONYのCo-Founderの盛田さんのエッセイ「MADE IN JAPAN」を読んでいました。3章4節「一家でアメリカに移り住む」で出てくるニューヨークのことが思い浮かぶように読めました。


参考にしたページ

※Flickr Album: New York, 2017

※1: ハイジャックされたのは、いずれも今回僕が乗った北米大陸横断線の便です。燃料が多いからというのが理由らしいです。これはあとで調べて知りましたがゾッとしました。

※2: サンフランシスコにもSFMoMAがあります。

読書感想: ざっくばらん – 本田宗一郎著

サンフランシスコに出張してきまして、アメリカの広さと価値観の幅広さにただただ驚き、日々を過ごしています。

さて、そんな中で日本から海外に進出するにあたって、過去海外進出を成し遂げた人たちが、まさに進出しているときに何を見て、何を感じ、そして何を考えてきたのか知りたいなと思うようになりました。

そこで、本田宗一郎さんのエッセイ集「ざっくばらん」を手に入れて読んでみた感想を残しておきます。まとめかたが誰かに似たような感じかもしれませんが、まねてます。

はじめに

「ざっくばらん」が出版されたのが1960年(昭和35年)。ちょうどその頃、ホンダの公式サイトの年表によりますと、1959年に米国ロサンゼルスに進出、1962年に四輪自動車を発表した、まさに成長真っ只中の頃でした。

ご存知のとおり、ホンダは欧米で大変普及しており、米国でも高速道路を眺めていれば必ずホンダ・アキュラのロゴを掲げた自動車を見かけます。さて、その結果を分析してあれこれ議論することは可能ですが、それをまねただけでは同じ結果にたどり着くことは難しいと、僕は感じています。

そこで、先ほども書きましたが、本田宗一郎さんが、結果が出る前に「何を見て、何を感じ、そして何を考えてきた」のかを知りたいと思い、この本を手に取りました。

手に取りました…と書きましたが、今は米国にいるので紙の本を取り寄せるには時間がかかりそうです。しかし、そこが現代!電子書籍という海を越えていても待たずして本を手に入れる最高の環境があるではありませんか。ということでKindle版で読んでおります。

僕が読んでいたポイント

引用しつつ、そのときのメモを書き残しておきます。ブログの節は本の章そのまま該当します。

技術とは

日本にはいくらも技術者はいるがなかなか解決できない。気づかないからだ。もし気づけば、ではこれを半分の時間でやるにはどうすればいいかということになる。そういう課題が出たときに、技術屋が要る。

まずは問題に気づくことが肝要。いきなり手持ちの技術を使って結果として難しく解決しようとしたり、焦点違いの結論を導き出すことがなんと無駄なことか。自分が技術者をやっていて、一番はまってしまう問題だ。

汗と創意

日本のオートメーションのあり方に、僕は疑問をもっている。具体的にいうと、オートメーションの前の段階にコンベアというのが使われるようになった。これは人間の手ではどうしても疲れるし、能率が悪いというので時間を動力化した。ところが現在の日本では、何でもかんでもコンベア化して得意になっているのが多い。人間で手渡ししたほうが早いものもあるのに、そんなことは御構い無しだ。

今やっていることは本当に自動化?省力化と勘違いしてない?っていうインフラエンジニアをやっているときにもっと真剣に考えなければならなかったことだった。技術で解決させたと見せかけて、実際に能率が上がっているのか、評価しなければならない。

ちなみに、この節では最後に時間の大切さを訴えています。本田宗一郎さんは、お金も大切していたけれど、何より時間を大切にしていたのではと本から読み取りました。

個と全体

僕はこの節が一番好き。

デザインというものは、人の心を捉えるものだから、道楽した人でないと人の心に触れることが難しいということになる。

僕の周りに「この人はすごい」と感じるデザイナーさんがいるけど、そういう人は決まって遊び上手だった。UXの説明はこの一文で十分じゃないかと思う。

たくさんの引き出しと、たくさんの人との関わりが基礎にあって、そしてそれを活かすために技術が必要なんだろうな。

日は新た

大人というやつは、うんと進歩的にものを考えても、以前はこうだったという観念が根強く残っている。

時々、自分は老害になっていないかと心配になることはある。ソフトウェアエンジニアリングの進歩は早い。若い人がどんどんやっているところを見習うくらいでちょうど良いのかもしれない。

国民性論

民族の考え方は必ず製品に出てくる。おそろしいほど思想を反映する。

みなさん知ってますか。米国発のオンライン決済できるアプリには、たいていRefund(返金)機能があります。米国は返品して当たり前の文化でして、問題が起こった時はもちろん、ちょっと気に入らないくらいでもRefundします。日本でアプリを作っていると、まず考えないことです。

そういうことを発見することがどれだけ大切で、もっと観察していくことが必要だと知った一文でした。本田宗一郎さんも、米国の車をそうやって観察していたんですね。今も昔も、工業製品もソフトウェアも、何も変わらないのでしょう。

レースは目的ではなく単なる進歩のための手段だから、ざっくばらんでやりたいものだ。

ISUCONやると、ぐっと腕が上がる人っていますよね。僕もいろいろ見つめ直せます。レースに出よう!

自動車がアクセサリーだ

本田宗一郎さんは既に1960年のときに、自動車は実用を満たしてファッション・アクセサリーになると予想していました。事実、日本がバブルの時はそういう雰囲気があったように思います。翻って現在はどうでしょう。日本の市中で見るのはミニバンばかりでして…退化?楽しむことを日本人は忘れつつあるのでしょうか。

人の欲望により良い形で寄り添うのが進化なのかもしれません。

美と個性

デザインの話がまた出てきております。

デザインが人間を相手にしたデザインである以上、狭い世界であくせくしていたんでは、人の心をギュッとつかむような訴求力が出てきっこない。
旅行をするこということは、難しく言えば、自分と長年なれ合ってきた環境を一度突き放すこと、そして異なった環境の中に自分を置いてみることで、もう一度自分をとりまくものとのフレッシュな関係を生み出すことではないだろうか。(中略)土地、人情、風俗の違ったところで、本当の旅の味を味わえる人は、みんなデザイナーになれる要素をもっているということである。

人を相手にする以上、人を知るために旅に出る。

今のこのサンフランシスコ出張も、僕にとっては旅です。アメリカには、東京とは全く違った土地、人、風俗があり、その観察を日々楽しんでいます。そんな日々に少し慣れて…慣れ切らない状況で東京に帰った時、自分は東京をどう観察するのでしょうか。

ネオ能率論

一番最後の人間のカンではわからない段階になって、初めてストップ・ウォッチを使う

目で見てわかること、根本的におかしいところに目を向けずに、いきなり測定して最適化しようってのはよくないという話。そして、勘に頼らず計測する大切さも述べられています。あてずっぽで計測して結局何だったっけ、ってことになる自分に対しての戒めの言葉です。

世の中は何といっても若いものが中心になって動かしているのだから、彼らの共鳴を得られないような世迷い言で動かそうったって無理がある。

共鳴か。

真理に徹す

人は信用したほうが得である

疑いだしたらきりがないし、その疑うコストって本当に酷い。

欧州断想

引用はありません。

この章では、フランス・ドイツを巡った時の話が書かれています。電気を使ったオートメーション化が進むのが必然な当時、各国のメーカーがどのような思想でそれらを導入するかを観察しに行っています。

ルノーの話では、大変よく「仕事が電気がする」状況になっていたものの、稼働効率がよくない。ではなぜ人を使わないかというと、当時は賃金が高いという問題があり、機械を入れたほうが結果として安くなっているからというものでした。

一方、フォルクスワーゲンは当時はそこまで機械化が進んでおらず、当時の日本のような資本が少なく人間が多い国には、こちらのほうがまねしやすいというものでした。一方で、賃金が上がってきた時は、機械化は推進しなければならないとも語っています。

「どうしてこうなっているのか」という観察の結果が様々な角度で端的にまとめられた、自分が見方を教わったような章でした。

保護と自立

スピードの前には、どんなサービスも問題にならないということである。

ここは、当時サービスがそれほどでもなかったPAM AMが米国〜日本便にジェット機を導入した結果、これまでサービスに定評があったがプロペラ機のままで速度が出ないJALが負けた、という文脈で語られています。

早いというのは、とてもわかりやすく、何事にも代えがたいサービスですね。

最後に

最初の章「技術とは」に、こんなことが書かれています。

僕は、本を読むのが嫌いだ。極端ないい方をすると本というものは過去のものしか書いていない。僕は、本を読むと、それにとらわれてしまって、何だか退歩するような気がして仕方ない。

最初の章にこれが書いてあっておいおいなんだよ、いきなりこの調子かとパコーンと殴られたような気分でした。

ただ、読み終わって思います。亡くなった今でも、本田宗一郎さん自身の話を聞ける、よい機会だったと。それに、この本は進行形のことが書かれていて、結果があまり書かれていない。とらわれるものがないどころか、頼るものすらない。

よく観察してこい、それが結論なのかもしれません。

ツアー・オブ・カリフォルニア 2017 Stage 1 を観戦してきた #tourofcalifornia

サンフランシスコ出張シリーズが続いております。

ツール・ド・フランスを観戦したのが2014年。またいつか自転車ロードレースのプロツアーを観戦したいと思っていた矢先、東京にいる同僚から「koemuさんが出張中、ツアー・オブ・カリフォルニアがやってるはずですよ」と教えてもらったのでした!これはしめた!!

ということで、先週の日曜日、ツアー・オブ・カリフォルニア (Tour of California)の第1戦を観戦しに米国カリフォルニア州の州都 サクラメントに足を運んできました。その際にGreyhoundというバス会社のバスを使ったのですが、それもちょっと書きます。

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(第1戦で勝利を収めたキッテル)

はじめに

ツアー・オブ・カリフォルニアは、今年で11回目。7日間開催されます。ジロ・デ・イタリアに出ないけど強い選手が出る、自転車ロードレース好きなら知る人ぞ知る大会です。今年からUCIワールドツアーと言って、強豪チームのみ入ることのできるグループに仲間入り。格も上がりました。

もちろん今年も有名選手が登場。マイカ、キッテル、そしてサガンが出場。ゴール前のスプリント勝負が盛り上がること間違いなしの役者が揃っています。

第1戦の開催場所は、サンフランシスコの州都 サクラメント。そう、カリフォルニア州の州都は、ロサンゼルスでもサンフランシスコでもなく、サクラメントです。僕もこのイベントで知りました!サクラメントはサンフランシスコよりもきれいでコンパクト。ただ、街中に人が歩いておらず、浮浪者も見ず、なんか歩いていると不安になる都市でもありました。

※ただ、Greyhoundのバスターミナルの西から中心に向かう道には浮浪者がたくさんいました。怖くて走って逃げました。

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模様

朝9時前にサクラメントに到着して、軽くコースを散策。良い観戦ポイントを見つけて、そこで観ることにしました。自転車ロードレースの観戦は、通り過ぎるほんの一瞬のために観戦することになりまして、待っている間は退屈です。ただ、今回は幸いなことに、女子はクリテリウムで市内を数十周すること、そして男子も最後に市内を3周するので、市内で観る分にはお得な日となっていました。

前座で、ツール・ド・フランスですと、競技前にパレードがありスポンサーからノベルティが配られたりするのですが、ツアー・オブ・カリフォルニアにはありませんでした。

まず、11時過ぎに男子がスタート。一旦、郊外に出ます。その間、女子の最終日のクリテリウムが催されていました。日本では女子プロって聞きませんが、欧米にはあるんですね!もうそれ自体に驚きました。

そうそう、女子の選手の方々も、下手な男子プロと同じくらい体格が良くて、言われたり髪をよく見ていたりしないと女子と気付かないくらいです。日本では女子の模様は伝えられていないかもしれないので、せっかくですからクリテリウム中に撮ったビデオを置いておきます。

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そうそう、ビデオを見ていただくとわかりますが、選手が通りかかる時にやる、あの広告の看板をバンバンやるの、楽しいですよ!ただ、選手は本当に目の前を通るので、くれぐれも接触しないように注意。

そして、男子。こちらは日本でもJ SPORTS 4の視聴契約をされている方なら観ることができます/した。ツール・ド・フランスの時も思いましたが、男子は肉体美ってレベルで鍛えられていてすごいです。世界レベルは違うな、と。スプリント中のキッテルを見ているといつも戦車かと思いますが、本当に戦車ですね。

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(キッテルを先頭に、サガンとデゲンコルプが追う。)

この日はキッテルが勝利!奥様と喜び合っているのが印象的でした。こういう風景は、テレビの先だけの出来事だと思っていましたが、間近で見られてなんか幸せな気分になれました。

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残念ながら2着だったサガン。「はいはい、次・次!」とクールダウンに向かうのが印象的でした。それにしても、サガンはかっこいいですね!

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あっ、今回は選手が1日に何度も来るので写真を撮ってますが、選手は通常一瞬かつ1回きりで通り過ぎてしまうものなので、写真なんか撮らずにしっかり自分の目で観戦してください。もし一眼レフで撮るなら、望遠レンズがあると便利です。僕は日本からの荷物が重くならないよう50mm F1.4しか持ってきていなかったのでした。

そうだ、次回があるならそうしたいなーと思ったことがあります。VIPチケットの購入です。

日によって値段が違うのですが、初日は$225でした。高い?って思うでしょう。公式サイトを眺めていて僕もそう思いましたし、多分、日本でいう花火大会の特別観覧席くらいのものだろうとも考えていました、会場に来るまでは。ただ、会場に来てわかったのは、公式サイトに書いてあることも含め以下の特典があるということでした。

  • チームプレゼンが間近で見られる (初日だから)
  • 飯や飲み物が出る (なんと市内は日曜日ほとんどのレストランが休み!)
  • ゴールライン間近で観戦できる (これは想像がつく)
  • 選手がいない間オーロラビジョンで模様が見られる (暇つぶしできる)
  • 表彰式が間近で見られる (見たかったー)

いかがでしょうか。これに$225払いたいと僕は思いました!もし、今後行かれる方がいたら、ぜひVIPチケットも検討してみてください。

交通 – Greyhoundについて

閑話休題。Greyhoundとは、全米を網羅する長距離路線バス会社です。米国の映画で、貧乏な主人公が長距離バスに乗るシーンを見たことがある人がいるかもしれませんが、まさにあれです。今回は、このバスでサンフランシスコとの間を行き来しました。

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サンフランシスコからサクラメントまでは150kmくらいありますが、その区間の運賃が往復$27.50!(税込)。日本では考えられない激安運賃です。ただ、激安なのには訳があります。自分でいろいろ頑張らなくてはなりません。例えば…

  • チケットはネット予約で買うほうが安い (これはいい)
  • 乗車口は当日の直前に聞かないとわからない (掲示板がない)
  • 電源・Wi-Fiはあるけど動かない時がある (往路がダメだった)
  • 発車1時間前にはバスターミナルに来たほうがいい (旅客機みたい)
  • スタッフは最低限の仕事しかしない (治安はあるがサービスなんてのはない)

という感じです。

後で知りましたが、ネット上の噂によれば「点呼がないので途中で席を立ったら時間になると容赦なく置いていかれる(実際点呼はない)」とか「場所によってはバスターミナルの外は犯罪多発地域(実際オークランドとかやばそう)」など、いろいろあるようです。実際、今日のお昼時にこちらの同僚に「Greyhoundでの米国での旅は、IntermediateかAdvancedレベルの難易度だよ。」と言われました。どうりで緊張感が上がったわけだ…。ただ、帰りの女性のバスの運転手さんの振る舞いが気さくで印象的でした。ずっと乗客と喋りながら運転してましたけど、運転もうまかったです。

乗客の方たちですが、男女それぞれいましたが、英国風に言えばいわゆる労働者階級の人が多いです。そうですね、サンフランシスコで仕事をしていると、接したことのないカテゴリにいる方たちでした。本当に米国は広いし、いろいろな人がいる、そんな中でやっていく必要があるんだなということを体感した出来事でもありました。

とはいえ、僕はたったカリフォルニア州内しか乗っていないのです。Greyhoundの本当の凄さは、州をまたいで乗るような旅をしないとわからないのかもしれません。

僕はこういうの嫌いじゃないです。若い方は、こういう旅もいかがでしょうか。

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最後に

ツール・ド・フランスのように、街じゅうでお祭り騒ぎ!とまではいきませんが、素晴らしい天候の中でトップ選手の活躍が見られる、楽しめる大会であることがわかりました。自転車ロードレースの観戦は忍耐がいるので万人にお勧めはできないのですが、積極的に見てみたいと思われた方にはツール・ド・フランスよりは観戦しやすい大会として推せます。

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また、道中でアメリカの広さというのを思い知りました。僕は、アメリカの、それもサンフランシスコのほんの一部しか知らないってことを身を持って知った1日となりました。アメリカは広い。