この年末も、白馬にこもってスキーをしています。今年は中島智吏先生・角皆優人先生のプライベートスキーレッスンを受講したので、そのメモを残します。このメモは 僕なりの理解 をまとめたもので、皆さんが受講するとまた違った感想を抱くかもしれません。その点をご理解の上でお読みください。すべて白馬五竜スキー場でのお話です。

各先生の詳細は以下のページからご覧ください。

TL;DR

  • 整地では、骨盤を前傾し、腰を落とし、そして外向傾をとると、スキー板は自然に落下運動を始める。これを利用する。
  • コブ斜面では、かかとを引くストレッチングターンをすることで、スキッティングターンをする。
  • オフのフィジカルトレーニングは重要。これがあって雪上で動ける。

中島先生のレッスン

中島先生とは昨シーズンに続いてレッスンをつけていただくことになりました。昨シーズンの模様は以下の記事からどうぞ。

運動が苦手だった僕が スキー検定 1級に合格するまで

今回のテーマは「パラレルスクワットまで屈む」です。この姿勢をすることで自然なターン落下を導き、急斜面をはじめとしたさまざまな斜面に対応できるスキルを身につけることです。動画がありますので、こちらを見ながら文章をご覧ください(この記事を書いている段階で1万再生を超えてちょっと驚いています)。

12/23 のレッスンは朝イチから4時間と長丁場、時間割は以下の通りです。中島先生は iPhone で動画を撮りながら常に振り返りをしつつレッスンが進みます。なので、受講される方は AirDrop でデータをもらうといいです。

  1. パラレルスクワットの姿勢を完成させる (110分)
  2. トイレ休憩 (10分)
  3. 実践編 (90分)
  4. お昼を食べながら振り返り (30分)

パラレルスクワットの姿勢を完成させる

最初の2時間弱はフォームを決めるところまでです。次の流れで行いました。

  • 基本の形を理解する
  • 微調整1: ビブパンツを緩める
  • 微調整2: スキー板を履き替えてみる

みなさん、スクワットをしていますか。それもバーベルを使ってパラレルスタンスまでしゃがみ込んで、です。僕はオフトレで自体重(63kg)相当の 65kg * 10回 * 3セット を週1〜2回やっています。この日、オフトレをやってて良かったと初っ端から思ったのはここだけの話です。

まず、基本の形の理解から始めます。骨盤を前傾し、パラレルスクワットまでしゃがみ込み、そしてターン開始時に外向傾をとります。やや山を向いてるじゃんと思った方、そうなのです。この姿勢をとると、自然と板が落下方向に回転を始めます。それを受けて内くるぶしで荷重を感じながら、正体していくことでターン後半を仕上げます。僕の理解した今日のテーマはこれが以上です。リフト1本分で取り急ぎ何をやるかを理解しました。

続いて、先生の想定している姿勢に仕上がっていくかを確認して行きます。やってみると、ターン中におしりがひっかかる雰囲気があると指摘されました。最初はビブパンツが小さいのではないか?という話になりましたが、結構引き締め気味に調整していたので緩めてみることはできますよ、とお話ししたところ、緩めてみるかと言うことになりました。そうしたら、より楽に腰を落とすことができました。ジムで筋トレをしている時には全く気づかない動きだったので、そう言うこともあるのかとちょっと驚きました。ただ、ビブパンツはちょっとダボつきます。

さらに調整を続けていくと、今度はターン中にテールが流れる話になりました。これはすぐにわかって、僕が今シーズンから使っているほぼモーグル板の Blastrack STYLUS が細い板でテールがずれやすい特徴がありました(そう言う板です)。そこで、ソール長が先生とほぼ同じなのをいいことに、先生の基礎板である OGASAKA Keo’s KS-AP をお借りして滑ってみることにしました。そうしたら、テールがズレる症状はピタリと止まりました。ちなみに、滑っているシルエットも変わって、 STYLUS を使うとテールがズレるのでテールを押さえ込む姿勢になるようです。検定などではどうやら基礎板のほうが見栄が良さそうです。

板を戻していいもり第6リフト沿いの緩斜面でさらに完成度を上げて行きました。これ、緩斜面でやるとスクワットの姿勢をほぼ続けながら滑ることになるので、ものすごく力を使います。大回りで10ターンぐらいするとへべれけになります…。なお、急斜面でやると実は緩斜面より楽とのことなのですが、それがわかるのはまた後のお話です。

実践編

トイレ休憩を挟み、実践編に入ります。

まずは大回りをしてみました。スクワットをしている時の力の負担こそありますが、ターン自体に力を使う必要がなく板の性能を活かしてターンすることができました。ビデオを見るとちょっとへっぴり腰に見えたのですが、これはテールが流れるのを押さえ込む動きをしているせいで板を変えたら解消するとのことでした。

そこまでやって、先生から「なんかひっかかることがある」とのお話。どうも、右ターンに入る時に左足がわずかにステップターンになるとのこと。これの原因を3分くらい考えていたところ、どうも昨夜に中島先生特製インソールをセットアップしている時に、右足の小指側に1〜2mmほどのフェルトを挟んだのが原因ではないかとのことでした。実は、これを入れないと以前は右足小指が痛む問題があって、入れていたのでした。剥がすだけなので試しにやってみたらなんと解消!余計なことをするもんじゃありませんね。

続いて総合滑降をしてみました。こちらも、余裕を持ってリズム変化を行うことができ、手応えを感じられました。ギルランデの回数が5回と多かったので、3回くらいでいいよ、くらいの指摘でした。構成はよく考えて滑らないといけませんね。1級取ってるんだし。

その上で小回りをやってみたところ、大変良い感じでターンすることができました。小回りはずれてもそんなにシルエットは汚くならず、ターン前半から綺麗に雪煙も上がり丸いターン弧が生まれていたので大変満足でした。気に入ったので ogp の写真にしました。

お昼を食べながら振り返り

最後に、お昼を食べながら振り返ります。ビデオを AirDrop していただいて、見返しながら指摘をいただいたりしました。先生から「3日分は進んだね」という評価をいただきました。ただ、ビデオを見返していると、まだまだしゃがめる気がします。今後の課題ですね。僕のノートが示すように、大変濃密なレッスンとなりました。中島先生、ありがとうございました。

復習

25日、26日と復習をしていました。25日は晴天だったためアルプス平 グランプリコース、および47の Route 1 で行いました。26日はいいもりコスモフォーリフトの運行が始まったため、コスモフォーリフト沿いの急斜面を使いました。確かに、急斜面のほうが下半身の負担は低く、かつスピードコントロールが容易にできる感覚が身につきました。一方で、大回りのテールが流れるのがよりはっきり出るので、これはこれで基礎板をまた使って試す必要があるなとも感じました。

角皆先生のレッスン

角皆先生とは、オフシーズンに「英語でスキーレッスン」というオンライン講座を受講したことがご縁でした。いろいろお話を聞いているうちに、一度レッスンをつけていただきたい、と言うのと、皆勤賞がもらえる(!)と聞いてお会いすることも含めてお願いしたのでした。

テーマは「スキッディングターン」です。実は、1級を取った時はバンクターンで取っていて、スキッティングターンは未完成でした。自分の滑りのバリエーションを増やすことが目的です。こちらも動画がありますので、こちらを見ながら文章をご覧ください。

12/24 のこれまた朝イチから2時間、時間割は以下の通りです。コブを滑る方は、ストレッチングとベンディングの両方を聞いたことがあるかと思います。その、両方をやりました。また、コブがなかったので二人で掘りながらやりました。

  • ストレッチング テールジャンプ+かかとを引く (60分)
  • ベンディング (45分)
  • ビデオ撮影 (15分)

ストレッチング テールジャンプ

まずはストレッチングです。しゃがむ→ターン内側トップ近くにストックを突く→ストックからの反発を感じ始める→ストックと板の間に向けて伸展しテールジャンプする(トップが押さえられ迎え角ができる)→ずらしながらターンする、を繰り返します。最初、整地でタイミングを学びます。最初、タイミングが掴めなかったのですが、やっていくうちに慣れてきました。それに、肩がやや内側に下がる傾向があるようです。また、腰を落とす量は昨日の中島先生のレッスンほどではなくても良いのもわかりました。

これを、いよいよコブを掘りながらやります。これが、実は掘りながらだとうまくいきました。先生から何度も「Great!」をいただき嬉しい気持ちになったのはここだけの話です。

ストレッチング かかとを引く

少しバリエーションが違うストレッチングの動きとして、かかとを引く方法になります。しゃがむ→ターン内側トップ近くにストックを突く→ストックからの反発を感じ始める→ストックと板の間に体を伸展するがその時にかかとを引く(トップが押さえられ迎え角ができる)→ずらしながらターン、になります。こちらのほうがしっくりくる感じがあり、先生からも「こちらのほうがよりうまくできている」と評価いただきました。

また、時々バリトレがあり、ジャベリンターンを積極的に行ったのが記憶に残っています。ほぼできているけれど、あと少し外向傾があるといいとは言われました。

ベンディング

次はベンディングです。問題はこれでして、しゃがむ→ストックを突く→ずらしながらターンをする→外向傾をとりながら伸展する、と言う動きです。これ、整地だと全然タイミングがとれませんでした。コブに入ると幾分できる時もあるのですが、完全にベンディングの形にはなりませんでした。先生によると、日本人はベンディングの動きは苦手な方が多いそうで、ストレッチングのほうがうまくいく人が多いそうです。動画でもベンディングターンになりきれていないのが残っています。

こぼれ話

オフトレの話にもなりました。先生の共著の新刊「スキー攻略バイブル(メイツ出版)」にもありますが、コブを滑るならバーベルスクワットを自体重で10回はこなせるようにしてほしい(なお、女子選手で1.5倍、男子選手で2倍)とのことでした。このバーはギリギリクリアできていてちょっとホッとしました。詳細は新刊をご覧になってみてください。

また、コブを掘りながらの練習も楽しかったです。正しく板に乗れていると綺麗に掘れていきます。

そして、迎え角の話が積極的に出てきました。スキッティングターンであれば主に横の迎え角を、ダイレクトラインだと縦の迎え角があり、それぞれ解説していただきました。ただ、ダイレクトラインはまだまだ怖くてできそうにありません。とはいえ、バンクターンから徐々にダイレクトラインに発展できるそうなので(動画を貼っておきます)、今後チャレンジしてみようと思います。

角皆先生、どうもありがとうございました!

復習

25日、26日と復習をしていました。25日は晴天だったためアルプス平 グランプリコース、および47の Route 2 、そして丸山ゲレンデで行いました。26日も丸山ゲレンデで行っています。

グランプリコースには Step Up Bumps さんが掘り始めたコブコースがこの日からできていて、1回だけ(その後にコースが閉じられました)滑りました。そこそこの急斜面でしたが、昨日のストレッチターン+かかとを引くでこなせそうな感覚をつかめました。 Route 2 は不整地で意図しませんでしたが、これも同じようにターンすると細い板でも割とやり過ごすことができました。

26日の午後は、丸山ゲレンデに Direct Line さん(といっても角皆先生たちと同じグループ)のグループレッスンの人たちが掘ったコブがあり、こちらで練習を繰り返していました。この程度の斜度だと何も問題なく滑られることがわかりました。

また、このストレッチターンのテクニックは、スピードを出さずに楽に滑ることができるテクニックだなとも感じました。

あとは、真冬の凍ったコブや、深く掘れたコブになった時に対処できるかが課題になりそうです。

まとめ

ここまで、お二人の先生から学んだことを、僕のノートして書き留めてみました。

共通していること

原理・原則を理解して原因を生み出す、この流れが基本にあります。また、オフのフィジカルトレーニングの重要さを必ず話されていました。これができていることで、初めて先生たちが話す原理原則を自分が再現することができます。そして、この方向性が正しいことを確認しながら行う必要があることも知ることになりました。さらに、お互いの先生がお互いに敬意を表されていたのがとても印象的でした。

違いを感じたところ

中島先生の今回の滑りは、パワーが要ります。僕の中ではこれだけオフトレをやったけれど、まだまだ足りないんだなと思いました。角皆先生の滑りは、いかに体に負担をかけないで滑る方法があるかを研究されているように思いました。そして、整地とコブでは滑るテクニックに一部違いがあるのでは、とも感じました。

レッスンを終えて

このノートを書こうとしたのは、2人の先生からたっぷりとレッスンを受けて、頭の中の整理が追いつかなかったためです。その整理を兼ねて、このブログを書くことにしました。こうして書くことで、少しでも自分の血肉になればと願っています。

ほかのスキーの専門家の方から見たら違う意見があることもあるかと思います、その節はお知りの原理・原則から導き出される原因についてお話をお聞かせいただけたら、僕も参考にできたらと考えています。