COVID-19 の感染拡大が始まった時に多くの会社が在宅勤務に切り替え、そして COVID-19 が落ち着いた現在になり出勤に戻している企業が増えています。
世間ではいろいろな意見を見るのですが、いったん今の僕の私見のスナップショットして在宅勤務に関するメリット・デメリットをまとめてみます。他の意見があるかと思いますが、ソーシャルメディア等でコメントいただければ拝見することができるかもしれません。
TL;DR
- 育児・介護など家庭の事情を織り込んだり、集中する業務を行うのにはメリットがありそう。
- そもそも快適な在宅環境を作れるかは全員ではないし、集まって議論しにくいデメリットがある。
- 僕は週1〜2回出勤している。家でやりやすい業務、会社でやりやすい業務がある。
僕の在宅勤務事情
僕が在宅勤務を始めたのは、前々職のメガベンチャーに勤めていた頃の2020年2月ごろです。続いて、2020年4月から3年勤めたグローバル企業の前職では原則在宅勤務でした。そして、2023年4月から勤めているそれなりの規模の企業である現職も在宅勤務です。
一方で、僕の相方は COVID-19 の感染のピークを除き完全出勤の会社に勤めています。
この間、息子は保育園児から小学4年生になりました。実は2023年度は学童に落ちたこともあり、面倒を見るというほどには行きませんが、自宅に親がいる状況は作ることができました。これは、在宅勤務ができるからこそこなせたことでした。なお、小学4年生以降になると中学受験の塾通いの予定が増えるため、それほど親が家にいなくても良くなる状況にもなってきています。なぜなら、親と同じくらいの時間に帰るからです。
僕が見る在宅勤務のメリット
まずは、僕なりに見えているメリットをまとめてみます。
- 育児・介護を両立することができる
- 通勤で疲弊しなくていい
- 感染症の病気をもらって来づらい
- 集中してこなす業務をこなしやすい
まず「育児・介護を両立することができる」ですが、これはまさに自分が享受したメリットでした。特に、未就学児がいる方にとっては、仕事を諦めなくて済むはずです。介護もそうで、実家に帰って親の面倒を見る選択肢が取れます。みんながみんな仕事に100%向き合えればいいのですが、やむを得ず家族の事情でそれが叶わない人もいます。そういった力はあるが家庭の事情がある人に機会を提供できるあり方として、在宅勤務はあってほしいと願っています。
次に「通勤で疲弊しなくていい」ことです。首都圏だけかもしれません。今の会社は仮に会社に行くとしてもピークを過ぎた10時には行けば大丈夫なのですが、もし9時出社だったら本当に信じられないくらい電車が混んでいて、これだけで1日の30%(当社比)の力を使ってしまいます。みんなよく通勤するなと感心します。なお、大阪市内の実家や福岡にいた頃を考えると、ここまでひどくはありませんでした。
続いて「感染症の病気をもらって来づらい」です。まあ、これは COVID-19 が流行っていた時の第一のポイントだったので、それはそうです。ちょっと話は脱線しますが、みなさんちゃんと手洗いをしてますか?僕が公衆トイレで石鹸をつけて手を洗っている間、水道から3〜4人が通り過ぎ去るのですが、あれは手を洗えているのかと不思議に思います。外にいても防げる病気はあります。
最後に「集中してこなす業務をこなしやすい」ことでしょうか。たとえば、ソフトウェア開発をしている人なら分かるかと思いますが、横から声をかけられたりなどをして集中を削がれてしまった経験を持っている方はいるかと考えています。それが、在宅勤務だと発生しにくいメリットがあります。ディスプレイや什器などの業務環境も、自分自身で最適な選択を行うこともできます。
僕が見る在宅勤務のデメリット
メリットがあればデメリットがあるので、僕なりにさらにまとめます。
- 業務ができる部屋があることが前提
- 仕事以外の割り込みタスクが意外にある
- 集まった方が早い仕事がこなしにくい
- 孤独を感じることがある
まず「業務ができる部屋があることが前提」であることです。メリットで「集中してこなす業務をこなしやすい」と書きましたが、これは自宅に業務を行いやすい環境が作れることが大前提です。僕は家族持ちではあるものの、都内の 70平米 3LDK という規格品のようなマンションに住んでいても幸い自室を当ててもらうことに恵まれましたが、みんながみんなこうではないはずです(ちなみに在宅勤務を始める時にだいぶ物を捨てました)。むしろ会社の方が仕事ができるかもしれません。一人暮らし以外の人にはそういう問題を抱えている人がいることを想定した方がいいです。
次に「仕事以外の割り込みタスクが意外にある」のを忘れてはなりません。宅配便の配達に始まり、家族がいればあれこれ声をかけられることがあります。僕は正直これが嫌です。一方で、同僚でもこういう状況になる人は少なからずいて、その事情は汲んで仕事をするように心がけています。いろいろ大変であります。なお、僕は宅配便の配達時間を夕方に寄せることである程度は解決できています。
続いて「集まった方が早い仕事がこなしにくい」ことがあります。例えば、抽象度の高い物事をホワイトボーディングをしながら議論する、というのがやりにくいです。そのため、集まって会議をするための心理的・物理的障壁は上がったかもしれません。ただ、在宅勤務を4年もやっていると、モブプロや意志決定をする会議を Web 会議システムでやるのは慣れました。会議室確保に気を揉むこともないのでいいです。言い換えれば、集まってやる会議の意義と準備をちゃんと踏まえてやれるようになって生産性が上がっているとも言えそうです。
最後に「孤独を感じることがある」です。僕は前職の COVID-19 の感染拡大真っ最中の頃、同僚に初めて会えたのは入社1年後の人もいました。今は規制こそなくなったものの、在宅勤務だとふらっと同僚と夕飯を食べに行ったり、席を並べて雑談することもありません。僕の身近な友人に、在宅勤務に切り変わってしばらくした時に心身を故障してしまった人もいました。僕は管理職をやっているので、自分の組織では孤独感を仕組みで解決しているつもりではありますが、まだまだできることがあると考えています。そして、僕自身も孤独を感じます。そんな中、会社に行って担当役員の方とすれ違いざまに挨拶できることさえも嬉しいことだなと感じます。一般にも、時々、人に会いに行くこと自体をやってもいいと思います。
僕としてはどうありたいか
以上から、僕は現在、週1〜2回は会社に出社し、あとは在宅勤務にしています。在宅勤務の時は、主に 1on1 をはじめとした会議室の確保を必要とした業務をこなしています。一方で、会社では資料の作成や意思決定に関わる会議などをやるようにしています。管理職になってからコードはほぼ書かなくなりましたが、コードレビューやデバッグはやることがあり、これはむしろ会社の方が集中力が高まって仕事がしやすいです。これは、子供が大きくなって来たことで、家にいる時間を減らしても問題なくなったこともあります。
僕は、在宅勤務も出勤の勤務も、どんな形であれ業務のパフォーマンスがより高い形に発揮されることが理想だと考えています。職種や職権、そして自分自身の家庭の状況によって出社と在宅のバランスも違うのもあるはずです。少なくともただ「楽」だから在宅勤務という姿勢は反対であります。パフォーマンスを発揮しやすい形を突き詰めたらこの形だった、という姿でありたいです。
これは、仕事を選ぶ時にも大切な要素だと思っています。ただ在宅勤務なのか、出勤の勤務なのかと問うのではなくて、どういう仕事のあり方を考えているのかを互いに話していくことで、結論として今のあり方にたどり着いているのかよく掘り下げてみると良いと思います。
とは言え、今も時代が動いているので、この考えは変わるかもしれません。またその時にはブログにまとめるつもりです。