スキーの検定種目にある「プルークボーゲン」。スキー検定の4,5級や、インストラクター資格である準指導員・指導員資格試験の検定種目になっています。横滑りの展開と同様、僕はこの種目で1年目に不合格となり、2年目も練習でだいぶ苦しみました。皆様はいかがでしょうか。

その苦しんだ内容と、どのように改善したのかという話を、オフシーズンに入りたての今、記憶があるうちにまとめておきます。ここでは、準指導員検定での話を中心に説明します(したがって4,5級の話はしません)。なお、この説明が全て正しいとは限りません。皆さんが練習されるときは、必ず専門員の先生方から指示・解説を受けながら練習を積まれてください。

この記事の要点

  • 低速で運動要素を表現する種目である
  • 股関節の内旋を意識して低いポジションを作る
  • 足裏のわずかな荷重変化を使ってターンする

はじめに

プルークボーゲン。スキーを始めたばかりの人が必ず習う、あの「ハの字」の滑り方です。だから、簡単にできるだろう、養成講習会に出席する直前までそう思っていました。しかし、現実は違いました。全く荷重動作ができていないです、という指摘を受けるのです。何が何だかわかりませんでした。そう感じたところからスタートです。

準指導員検定受検を通じた2年で、プルークボーゲンは低速で運動要素を表現する種目であることは少し理解できたような気がします。ただ、完成度を高めるためには、引き続き鍛錬が必要であることも自覚しています。プルークボーゲンは大変奥が深く、これからも様々な課題と向き合うことになるはずです。その中ではありますが、僕の現在位置を記録しておく意味でも、この記事を書こうと思います。

ここで、僕の練習中、そして本番の動画があります。どのような学びをしてきたのか、動画をご覧いただきつつ、この後の説明をご覧ください。

股関節の内旋を意識して低いポジションを作る

「腰を低くしましょう」と指示を受けて、腰を低くしようとしたら今度は「お尻が落ちています」と言われた方、いらっしゃいませんでしょうか。僕もそうでした。人間の骨格上、何も考えずに低く構えようとすると、後傾になりがちです。

僕の場合は、股関節の内旋を意識してから腰を落とすことで、後ろに座り込みにくいポジションを作りやすくなりました。では、プルークボーゲンで股関節の内旋を作るには、僕はこのようにしています。

  1. パラレルスタンスから、股を広く開きます。プルークボーゲンをするときと同じ幅です。
  2. スキー板をハの字に向けます。このとき、股関節を内側に捻る(すなわち内旋)ようにします。
  3. そのまま腰を落とします。このとき、自然と足首にも緊張感が生まれます。
  4. 股関節の内旋と足首の緊張を保ちながら滑ります。ただし、頭の高さはできる限り変えません。

手順が長く感じるかもしれませんが、面倒くさがらずに毎回ポジションをセットしてから滑り始めてみてください。しっかりプルークボーゲンをすると、ハムストリング(もも裏)の筋肉を結構使うことを感じられるはずです。

あと、腰を落とす時にどこを中心に荷重をかける感覚をつけるかですが、これは色々な人に話を聞くと違った見解を聞くことがあり、自分で見つける必要があるのではと僕は考えています。なお、僕の場合は、胸あたりから真下へ重さを落とすような感覚で荷重をかけています。ただし、上体で押し込むというより、足裏に重さが伝わる位置を探す感覚に近いです。

足裏のわずかな荷重変化を使ってターンする

ターンのきっかけで、大きな動きはそこまで必要としない、という話です。

僕の場合、ターン始動時に外足側の小指をわずかに持ち上げるような感覚で操作を行うと、足裏の荷重変化を感じやすくなりました。これがきっかけになって、ターンが始まる感覚をつかみやすくなりました。大きな動きから始めてしまうと体が不安定になることがあるのですが、小さな動きから始めれば動きのコントロールは比較的簡単になります。その上で、ターン中の荷重動作などを表現できれば良いのではないでしょうか。

このほかに、足裏の荷重変化をリアルタイムで受け取りながら滑る技術は、自分自身が今どのような動きになっているかを直接知ることができる大切な「センサー」になってくれることを知りました。例えば、スタートの時にじわっと足裏全体が密着し、ややくるぶし側に荷重がかかっていることを確かめてからスタートすることを心がけていました。非常に地味な練習なのですが、これが掴め始めると自分自身の感覚が理解できて安心につながるのでおすすめです。

その他 留意したこと

準指導員挑戦2年目の時、ここまできて問題が出ました。動きが止まっている、という指摘でした。この瞬間はなぜかわかっていなかったのですが、班仲間から「息止めてませんか?」と指摘されて、気がつきました。全部の運動に言えることですが、息を止めると、動きが止まります。それに、プルークボーゲンは低速種目なので、緊張すると余計に動きが止まりやすいのだと思います。そこで、息をすること、特にターン中は息を吐きながら行うことを意識してみました。すると、動きの硬さはだいぶ解消することができました。

また、ターン中に少し体が内に入る動きが見られるとも言われました。これは、フォールラインに絡んでいる時に体を積極的に正対させることを心がけることで解決に向かいました。

そして、ストックは引きずるようなイメージで滑っています。これは、肩の脱力がうまくいっていなかったことへの対策でした。

最後に、クロスオーバー時は斜面に対して垂直に立つ姿勢を必ず通過することを意識しました。その姿勢で停止はさせないのですが、中間でそれを通しているという形を出すくらいにしています。

ただ、自分が今気づいている中でできていないことがあります。ターン中の荷重変化とともに、ハの字のテール幅が変化してしまうのです。プルークの形を一定に保ったまま運動を表現するには、まだ課題があると感じています。

自主練習中の取り組み方

今、自分自身がうまくできていないことを「〇〇する」と唱えてから滑り始めました。怪しい人かもしれないのですが、割と効果があるのでおすすめです。基本、1滑走1つ、どんなに多くても3つにしていました。

また、ターン回数・ターン幅・斜面に対する速度コントロールも様々試していました。検定では4〜6ターンの制限がありますが、どの斜面でもその制限に抑えられるように自信を持てるようにすることが目的です。そして、今後も指導者として滑る以上、その場でターン回数や速度をコントロールできなくてはなりません。これは良い練習になりました。特に、ハの大きさを狭くすることで緩斜面でも失速せず速度を保つ・荷重の掛け方を深くすることでターンを深くするなどを試みています。

おわりに

プルークボーゲンで、僕が苦労した点をまとめました。冒頭にも述べましたが、プルークボーゲンは「低速で運動要素を表現する種目」です。どのようなことを心がけて、どのような動作・操作で、そしてどのような癖を持って滑っているか、全部出てくる、大変難しく奥が深い種目です。また、指導者が行うプルークボーゲンと、初級者のそれとでは似て非なるものであることも理解しました。

言い換えれば、低速で正しい動きができていれば、高速でパラレルターンをすることになった際、技術を安定させることに繋げられるとも言って良いのではないでしょうか。僕自身も、一見非常に地味なプルークボーゲンの練習を積み重ねることで、滑り全体の質を向上させることができました。

お手本は世の中にたくさんのデモンストレーション動画があるので、今回もそのような説明にはしませんでした。プルークボーゲンで落とした、とリフトで話題になったことは数知れません。僕もその一人でした。その学びが、誰かのお役に立てば幸いです。