株式会社ビープラウドさんが主催する勉強会 “bpstudy” のLTで『VMwareで手っ取り早く社内システムをHAサーバ化してみました』を発表してきました。

■ポイント

今回の発表のポイントは2点あり、ひとつは「HA構成が楽に組める」、もうひとつは「中小企業でも業務別に細かくサーバを立てられる」ことです。

先ず一点目のHAですが、 VMware vSphere をお金を出して買う最大のメリットはここではないかと考えています。シングルサーバで仮想化するなら、今回の本発表で長谷川さんが解説されたKVMをはじめとした様々な無償のものが選択できます。 VMware でさえもハイパーバイザーだけなら無償です。ただ、1台で運用していれば、サーバ本体が故障すると全ての仮想サーバも共倒れです。物理サーバ単独で運用しているより被害が大きくなることさえあるかもしれません。そこを、機材を冗長化することで、再起動こそ挟むもののすぐに業務が復帰できるHA構成を全ての仮想サーバに対して施すことができるのは、管理をしている現場の人間にとってこれほど業務的・精神的に楽なものはありません。

そして僕が最も強くつたえたかったことは、二点目の中小企業におけるプライベートクラウドの可能性についてです。これまで仮想化を売り込むベンダーさんは「大量にあるサーバを少数のサーバにまとめられるからTCO削減できてウマー」を中心に提案されていました(例:『日本HP HP ProLiant VMware 仮想化ソリューション – 導入事例』)。では、サーバ台数が少ない中小企業にメリットはないのかという話になるのですが、探しても事例が余りありませんでした。

中小企業は、ITインフラに投資できるコストも制約され、もし投資できても設置場所や電源確保に苦心することが多々あります。中小企業で、立派なサーバルームが確保できるところってあまり無いと思うんです。サーバ台数が少ないと、必然的に1サーバあたりが支える業務の個数も増えて、ひとたび障害が起きると切り分けは面倒だし、回復するまでそのサーバに乗っかっている…それも障害を起こした業務と関係のない業務まで止めなければならなくなることも珍しくありません。

そこで、小さいながらも社内プライベートクラウドを立ち上げることで、シンプルに業務を切り分けて運用を楽にしようというのが、このシステムの特徴になります。

■書いていないけど話したこと

プログラミングと違い、インフラ整備=投資であります。ですから、導入計画策定は会社のお財布を管理している経理の人と二人三脚です。減価償却、支払サイト、そして計画の妥当性に対する最後の一押し。この「最後の一押し」が無かったら、こうして発表できる状況になっていなかったのかもしれないのです。本計画に協力してくれた経理の先輩(女性)に大変感謝しています。

インフラ仕事は、自分の上長に説明することはもちろんですが、会社全体を巻き込んで物事を進めることなのだということをを忘れてはなりません。特に、中小企業であれば、全員の顔が見える訳ですから。

■頂いたお話

一番大きかったのは、「ディスク11発は大丈夫?」ということです。ディスクの寿命は大体同じ時期に来るのですが、故障すると次々とまとめて落っこちるのじゃないかという。これは、スペアを1個は入れて入るものの、導入時に少し不安には思っていました。可能であれば、わざと数本ある時期に入れ替えてみてはどうか、というお話を頂戴しました。予防保守ってやつですね。

■反省点

本発表である @hasegaw さんのKVMのアーキテクチャの話の後だったので、ネタ的に外してなくてよかったです。発表後にいただいた tweet を見て、良かった、と心から思いました。

今後の改善点は2つ。説明が10分で終わらなかった。そして、あまり笑いが取れなかった。ことでしょうか。

今回は早口でしゃべりすぎました(苦笑)。次は笑いが取れるようにがんばります!

■他の発表の感想・メモ

@hasegaw さん

  • AMDとIntelの互換性の問題について
    Xenだと、CPU依存の命令のマスクが可能。VMwareでもできるかも(今度調べます)。こうすれば移行時に動かないってことは回避できる。実はAMDからIntelに動かした時に動かなくてはまったことがあったのです。
  • Nehalem 未満ならXen それ以降ならXenでもKVMでも
    VMWareは歴史が長いので、CPUID別に細かく仮想化の制御方法を切り替えていて、それぞれカリカリにチューンしてある。

@kazunori_279 さん

  • Google Apps Engine のチャネルAPI … Google waveでできたことを自分の手元でできて面白そう!
  • Googleのスケーラビリティが高度に洗練された環境でできるところがポイント。

@toshiak_netmark さん

  • 一眼レフデジカメの話は、一家言ありそうな人が周りに一杯いてウケたw もちろん僕も。
  • KVM 夏の怪談(トラブル事例)が興味深い。ハードリンクで逃げる方法は覚えておく。

■おまけ

グループライド練習会で何度かお会いしたことがある人に、はじめてヘルメットなしでお会いしました。最初、お互い誰かはっきりわからなかったのは、ちょっとした笑い話。今回も、 @key3 さんつてでこの催しを知って参加しました。そして、初めての参加なのにLTの機会を設けていただいた幹事の @haru860 さんにとても感謝しています。

発表に拍手を送っていただいた皆様、その後の懇親会でご一緒させていただいた皆様、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。

Togetter – 「BPStudy#38」 – twitterでの当日の模様