また、世間を見渡してぼやーっと考えていることを書き出します。

例えば、システム開発に取り掛かろうとする時、開発計画当初に企画していた内容は、開発完了までの間はそれ以上の発展を起こすのは難しくなります。結果、完成した頃には時代が進んでしまい、開発計画当初の前提が崩れてしまうことがあります。これは、大仕掛けで開発期間が長ければ長いほど起こりうります。

そうした事態を発生しにくくするため、変化に適応しやすいアジャイル開発手法のようなビジネスの変化に適応しやすい開発手法が提唱され、実践されてきています。特に、最近は生成AIが花盛りで、生成AIを適用したシステム開発で最新の動向を取り入れるならアジリティの高い開発手法で随時取り入れることはより良いように思われます。

僕の今まで見てきた状況を鑑みるに、アジリティに富んだ開発というのは、利害関係者が増えれば増えるほど調整が難しいと感じています。そして、大仕掛けの仕組みを作る時、たいてい利害関係者というのはたくさんいるものです。

では、小規模な組織でアジリティを出しやすい開発をする体制を構築すればいいのでしょうか?もちろん、それでビジネスが成就するならそれがいいに決まっています。少ない人で、少ない期間で、素早く PDCA サイクルを回してより良いものを作る努力を続ければ、失敗を素早く見つけて成功に近づきやすくなります。それで大成功すれば、相当高い一人当たり営業利益を出すことができるでしょう。しかし、小規模な組織でスケーラブルな成功を収めることは、大変低い確率であることが歴史が証明しています。もしそれが簡単にできたら、今頃はユニコーンとなるスタートアップがごまんと出ているはずです。そう、なかなかいないからユニコーンと言われてきたんじゃないかと思うんです。

その歴史を振り返ると、やはり労働集約型の大仕掛けの仕組みづくりというのも非常に重要なものなのかもしれません。その中で、時代の変化に順応しやすい組織や開発体制とはなんなのでしょうか。それはおそらく、組織階層を少なくして、意思決定権者を相対的に減らすことなのかもしれません。そうすることで、意思決定の速度を上げやすくなるからと想定しています。最近の世界的IT企業がマネージャー層を減らすという話(「Message from CEO Andy Jassy: Strengthening our culture and teams」(Amazon))などを聴くにつれ、そう言うことなのかなと想像しています。

さて、タイトルにある「大仕掛けのスケーラビリティ」と「小規模のアジリティ」のトレードオフの狭間で、どんな組織の在り方がいいのだろうかということに戻ります。これは、少ない人数の意思決定権者が仕組みを作って IC の人たちに展開し、短い期間で成功と失敗を評価し改善を続けることなんだと考えています。そのときに、システムならインフラのモニタリングとかパフォーマンスを測ったりするように、組織の状況を測定する指標の整備が必要になりそうですね。経営だと財務諸表に最後は収まりますが、実務のレイヤーに一段下げた時に、パフォーマンスを測る最適な指標を探したり発明したりしなければならなさそうです。

また、10年近く前に言葉が出てきた「Microservices」を、今こそ組織運営の側面で考える機会でもあるのかもしれません。あまり細分化すると先ほどの少ない人数の意思決定権者の意向に反するものの、大きすぎると期待されていたアジリティが出なくなります。この、組織分割の単位というのも、重要な采配になるのかもしれません。ただ、一つ言えるのは Two Pizza Team と言われていた単位の組織規模以上になると、管理職は IC を正しく追いかけられなくなるだろうなと言うことです。

今日も結論はありません。そして、明日に続く。