お屋敷の【立入禁止】の先にあったのは…

お屋敷の【立入禁止】の先にあったのは…

先週、3/8(土)に葛飾区郷土と天文の博物館が主催する「東京大空襲と葛飾」というイベントに参加してきました。3/10は東京大空襲の日という事で、それにちなんで毎年この時期に開催されているのだそうです。

この日は、寅さん記念館横の会議室で東京大空襲に関するトークと、近所にあるお屋敷「山本亭」で普段立ち入り禁止となっている、ある場所の見学会がありました。

※撮影は、葛飾区の係の方に許可を得て行っております。

■戦闘機を作っていた

東京大空襲に関するトークの中で2つ、印象に残ったお話を。

葛飾区にも、実は戦闘機工場があったのだそうです。太平洋戦争末期、高高度を飛翔するB-29を撃墜するために「キ94」という他の日本軍の戦闘機よりも高く飛べる戦闘機を開発し、空襲を逃れるために金町駅近く(公団マンションがある辺り)で製造していたのだそうです。ただ、完成する頃に戦争が終わり、米軍に接収されてしまったとの事です。

また、B-25で初めて本土が空襲されたとき、死者が出たのも葛飾区だったそうです。14歳の男性が撃たれたのだとか。人が亡くなった事はもちろん、本土が攻撃されるという日本人に与えた精神的な衝撃は計り知れなかったのでしょう。

■さてお屋敷の【立入禁止】区域へ

それでは、本日のメインイベント、お屋敷 山本亭で普段は立入禁止のエリアへ潜入です。ボランティアのガイドの方の話を伺いつつ、歴史をたずねていきます。

山本亭は、関東大震災の後に葛飾区に移築されたお屋敷です。カメラ屋とのことで、こんな立派なお屋敷を建てられるという事は、ずいぶん収益を上げていたのでしょう。通常は、100円の入場料を払うと中にあがることができ、その中で季節の和菓子を楽しめます。また、貸し会議室としても利用できます。

建物自体は非常に立派で、寅さん記念館に足を運んだ後に休憩するには非常に良い場所だと思います。そんな場所に、通常は立入禁止となっている場所があるのですが、年に1回、東京大空襲が起きた頃に一般公開される場所があります。

なんと、山本亭には防空壕…それもただ掘ったのではなく、コンクリート製の立派なものです。この付近は単に掘ってしまうと簡単に水が沸いてきてしまうらしく、堅牢なものを仕上げるにはコンクリートで囲う事が必要なのだそうです。おおお。では、潜入します…

入口はかなり頑丈な扉です。爆弾は難しいらしいですが、焼夷弾なら凌げるそうです。階段は急ではありますが、きれいに整備されていたので、それほど怖くはありません。

そして、中です。2つの部屋に分かれていまして、北側の部屋は水槽が入ってしまっているのですが、南側の部屋は今でも見学ができるようきれいに保存されていました。金庫があったり、換気口があったりと、よく整備された防空壕なのがよくわかります。特筆点として、北側の部屋に、何と「シャワールーム」があるのです!逃げるのがやっとの時代、シャワールームですよ。ものすごく贅沢ですね。それに、金町浄水場がすぐ近くだから、水には困らないと思ったんでしょうか。

その後は、外に出て脱出口を確認します。ぱっと見では井戸があったのかな?なんて様子ですが、そんなことはないんですね。また、傾斜があるのが、防空壕へ続く階段がある場所です。防空壕の存在を実際に入って知らないと、実感が沸かないかもしれません。

防空壕見学は、これでおしまいです。自分が考えていた、地下を掘り抜いたそれとは随分違うものでありました。

■葛飾区にはきれいな水辺の風景が一杯あります

最後に、江戸川のほとりへ出ます。葛飾区は東西を川に囲まれており、かつ区内にも川がいくつも流れる場所です。

水害との戦いもありつつも、平時はこのようなのどかで癒される場所がたくさんあります。写真では、矢切の渡しが人を運んでいる姿があります。この矢切の渡し、ここである理由があるそうです。何と、このあたりは水深が浅いそうで、私を通しやすいのだとか。そんな話も、ボランティアのガイドさんから聞けて、興味深かったです。

戦争などの大変な歴史の上に自分たちが成り立っているという認識を新たにしつつ、そして身近に存在する事を知る事ができた、貴重なイベントでした。葛飾区の職員の皆様、及びボランティアの皆様、どうもありがとうございました。

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