少し遅くなりましたが、10月25日(日)、僕が小学生〜高校生にプログラミングを教えるボランティアをしているTENTOにて、毎年恒例のプレゼン大会の幹事をしてきました。今回は4回目、東海大学さんのキャンパスをお借りして催すことができました。

プレゼン大会について簡単に説明すると、TENTOは小学生〜高校生にプログラミングを指導する私塾でして、様々な年齢の生徒さんが自分のレベルにあわせて様々なソフトウェア開発を学びます。言語も様々、ペースも様々で、現代の寺子屋といっても過言ではありません。

当日の模様をブログにまとめている方がいらっしゃいましたのでまとめてみました。

また、以前のプレゼン大会の模様は次のエントリにまとめています。

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さて、今回のお話は、「発表に賞はつけない」「実際に作品に触れることの良さ」そして「イベントのネットワークについて」の3点についてお話しします。

発表に賞はつけない

今回、発表では3つの部門(「Viscuit+Scratch高学年」「Scratch低学年」「テキストプログラミング」)を用意しました。これまでは審査員の方がそれぞれの部門のトップ賞を決めていたのですが、今回は止めました。そのかわり、審査員はスーパーバイザーとして、発表後に発表者した子全員に対して30秒程度の講評をお話し頂くことにしました。

なぜこうしたかというと、3つの理由があります。

  1. 一人一人、年齢と成熟度が違うから。
  2. プログラミングの良さを決めることは簡単な話ではないから。
  3. 何を糧にして明日プログラミングに取り組めば良いかプロからのコメントを送って欲しいから。

1は、年齢が高くなればなるほど、人として知識や知恵がつく傾向にあります。従って、「小学1年生」とよほど細かく単位を区切らない限り、上級生の方が良い作品を作りやすい傾向が出てしまい、審査に公平感が出なくなります。また、細かく切ることができるほどには生徒は増えていません。

2は、例えば競技プログラミングなどの明確な基準があれば賞を出すことはやぶさかではありません。しかし、TENTOのプレゼン大会で出てくる作品は、テーマの縛りがない状態で、生徒さん一人一人が最も自信があり、最良だと考えて開発した作品が出てきます。従って、一定の基準を設けて審査することは容易ではありません。言い換えれば、一人一人が最高の作品を作ってきているのです。

3は、1と2を受けてのことでした。今、前線でソフトウェアと向き合っている人たちからの温かい言葉を受けて、生徒さん一人一人の自信につなげて欲しいと願い選択しました。担当は、OtOMO 代表の倉本さん、株式会社ワディット代表で @yusukebe こと和田さん、そしてピープルウェア翻訳者で東海大学の山浦先生にお願いしました。

イベントと言うとついつい賞を出すと自然と考えてしまいがちですが、そうではない形があるということを、日本のプログラミング教育のパイオニアを自負しているTENTOから発信できたとしたら、幸いです。

実際に作品に触れることの良さ

今回、発表は1トラックだったため、急増する生徒さん全てを発表のステージに立ってもらうことは叶わない状況となってしまいました。そこで、発表する人も、そうでない人も、作品を展示できる機会を設けました。これは昨年試行して好評だったため、今回からイベントの中に正式に組み込むことにしました。

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TENTO代表の竹林さんは「プレゼン大会を学園祭のようにしたい」という想いがありました。また、全ての発表したい生徒さんに何らかの機会を提供することは、指導を担当する私たちの責任でもあると考えていました。その結果として、展示が存在しています。

展示の良い所は、生徒さん同士で交流が発生することです。これは情報交換を通じて互いのプログラミングスキル向上が期待できることはもちろん、「これは良い作品を作っているな!」と互いが喚起しあうことでモティベーションを高める効果もあります。また、あちこちに人が行き交うため、まさに学園祭のような様相を呈します。なかなかよいものですよ。

この展示イベントだけでももう少し短期間でやってもいいかな、そう思えるくらいです。

イベントのネットワークについて

せっかくですので、ネットワーク環境について述べておきます。

ネットワークは、公衆回線はUQ WiMAXのURoad-Home2+ → ルーターはYAMAHA RTX810 → Wi-FiはYAMAHA WLX302 で組んでいます。PCは40台以上接続しています。この状態で、ノントラブルで乗り切ることができました。

ScratchやViscuitはhttpの非同期通信が多発しますので、ルーターにNATテーブルを多量に要求するなかなかシビアな環境です。また、家庭用Wi-Fi機器ではさすがにこのPCの台数を支えることはできません。一方で、アクセスポイントを増やすだけですとかえって通信が輻輳しますので、よほど慣れていない限り避けた方が良いです。

これらのコツは、Software Design 2015年3月号の「カンファレンスネットワークの作り方」で解説されていますので、検討される方や、実際にネットワーク環境に困っている方はぜひ参考にしてみてください。

一つのフォーマットの完成

TENTOのプレゼン大会を第1回から手伝ってきまして、4回まで来ますとだいたいのイベントのフォーマットができたかなと思っております。発表と展示、相互に盛り上げることで生徒さんのプログラミングスキル向上の一つのマイルストーンにできているのではと自負しています。また、TENTOという場で、コンピュータとは何か、そしてそれを通じて仲間の絆や、学校で学びづらいスキル(プレゼンテーションや論理的思考力)を生徒さんが理解してもらえたら何よりです。

実は、私は家庭の事情から、このイベントを持ってTENTOを離れることとなりました。その一区切りに、TENTOで一番はじめに取り組んだプレゼン大会で締めることができることを幸運に思います。大変感謝します。

また、ここまでに至るまでに、代表の竹林さんをはじめ、多くの仲間に支えられてここまでできたことを深く感謝しています。重ねて、どうもありがとうございます。

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情報教育自体には引き続き関心を持ちながら生活して行きますので、イベント等でお会いする機会がありましたら、どうぞよろしくお願いします。