ゲームチェンジ – IT技術者としていかに変化に適応し続けるか

ゲームチェンジ – IT技術者としていかに変化に適応し続けるか

ここ1〜2ヶ月、仕事がからっきしうまくいかず、自分の頭の中は混迷を深めておりました。そんな中、在宅勤務が続いて悶々としているのがいけないのだろうと思い、街に出て友人や同僚と話を重ねてきました。これは非常によい時間になりまして、完全ではないものの、僕の中でひとつの考えがまとまりつつあります。ちょうど、同僚が「ゲーム」という言葉を連発していたので、この記事ではゲームという言葉を積極的に使って書いていきます。

TL;DR – 今北産業

  • ゲームチェンジ、すなわち自分の家庭環境が変わったタイミングを腹落ちして認識するのが大事。
  • 人には明確に素質に差があり、同じ戦いをしないほうがいい人がいるので、それを見極める。
  • 僕は最強にはなれないと自覚したので、それなら特徴ある人として働き続けていく。

僕の中での「ゲーム」の定義

もともと、「人生の段階それぞれにおける社会人としての生存戦略」という言葉を使おうとしていました。しかし、これはみるからに固い!ただ、孫子ではありませんが、戦略は戦いを略する、すなわち戦わずして勝つ方法です。その意味を大切にしながらもっと言葉が重すぎない意図を出せないかと思った時に、同僚から出た「ゲーム」という言葉が自分の心に響き、選択するに至ります。

ゲームチェンジが起きる時

人生のゲームチェンジが起こる時、それは主に自分の家庭環境、フェイズが変わる時です。例えば以下の事象です。

  1. 結婚した時/離婚した時
  2. 子供が産まれて育児が始まる時
  3. 両親の介護が始まる時
  4. 子供が独立して育児が終わる時
  5. 大病をして行動制限が加わった時
  6. etc.

このゲームチェンジ時に何が変わるかというと、僕が思いつくのは3点です。まず、時間の使い方が変わります。独身で100%自分のために時間を使えていた時代は終わりを告げ、パートナーや生まれてくる新しい家族に時間を注ぐことが始まります。もっと悩ましいのは介護で、育児と違い時間軸の設定が難しく難易度が高くなります。次に、お金の使い方が変わります。結婚して引き続き共働きだったとしたら、収入が2つになりながらも世帯が1つになるため生活費用を最適化することができます。一方で、子供が生まれると、養育や教育のための費用が発生します。そして、果たすべき役割が変わります。男性であれば、結婚すれば夫となり、子供が生まれれば父となります。ありかたはそれぞれですが、その中でも決まった役割があることは変わりありません。

この、ゲームチェンジが起きていることを自分の腹の底で認識するタイミングが遅れると、前のフェイズの戦略のまま進んでしまうことになり、仕事がうまくいかないと悩み続けることになります。3つ変化していることが起きているのだから、同じ時間・お金・役割で生きていくことはとても難しいです。

ある人と同じゲームを戦うことはできない時

では、ゲームチェンジを認識できるようになったとして、まあできないこともあるのですが、その上で他者に注意を払って働く必要があります。現金な話ですが、昇進や責任を負う立場、そして給与など、組織内外で他者から認められる社会人としての評価の獲得方法です。この注意の払い方も、自分自身にとって少なくとも不利ではない方法を見つけることが、無駄な戦いを自分に強いず粛々と仕事にあたる大切な要素になります。

  1. その人はどんなフェイズでゲームを生きているのか (e.g. 家庭持ち?独身?)
  2. その人はどんな能力を持っているのか
  3. その人がどのような経験を獲得したのか

まず、フェイズの違いです。僕は子供が1人いる家族持ちですが、比較しようとしたある人が独身だっとします。その上で仕事を進めようとするときに、多くのケースでは独身の人の方が比較的仕事の時間を多く作ることができます。僕もそうでしたが、子供が産まれたときにこの差を自分で受け入れないと、同じ働き方ができないと無駄に苦しむことになります。違うゲームを戦っているので、何かを変えねばなりません。

次に、能力の違いです。認めたくないことは僕にもあるのですが、その一つにそもそも自分より能力が高い人が存在する、言い換えれば自分が劣っていることです。スポーツだと可視化されていて、野球ならエースで4番の人がいる一方でレギュラーだけれど目立つ結果はないとか、普通にあります。それが不振で今目立たず挽回可能なのか、ルーキーだからこれから鍛錬を重ねればエースで4番になれる可能性がもしあるのなら別です。しかし、多くの場合は確実に素質の差があります。これが、仕事なら昇進速度や、給与の伸びとして出ます。これは、正面からでは相手にならないことを自分で認め、なにか金星を取れる強みを自分で見出していく必要があります。それはまるで、相撲で言えば貴乃花に挑む舞の海のように、見せ所をつくるのです。

最後に、経験です。ここでいう経験は、時間をかけて実地で鍛え上げられた、再現性のある教養だけでは獲得できない能力を指します。過去であればこれが結果として先輩後輩の差を自然と生み出し、それが立場の違いを生み出していたことでしょう。この差はハロー効果も生み出すことがあり、相手・自分どちらにとっても過大評価につながる可能性があることを留意する必要があります。また、仮に経験を持っていたとしても、僕がいるITの分野は技術・ビジネス共に経年による陳腐化が極めて早く、僕の中では賞味期限は3年と想定しています。ITだけに言えるかもしれませんが、この経年劣化が顕在化するまでは経験者の方が戦いを優位に進められます。と同時に、陳腐化した後のことを考えなければなりません。

さて自分はどうするか

ここまで、自分の頭の中を整理する意図で、「ゲームチェンジが起きるとき」と「ある人と同じゲームを戦うことができないとき」として要点をまとめてみました。

我が家は現在、相方が出勤で勤務、僕は在宅勤務、息子は小学生をしています。この2年の皆さんが知る騒動の渦中において、怪我の功名ではありませんが息子の「小1の壁」(参考: 「小1の壁はなぜ起こる?原因から6つの対策まで | ウィズダムアカデミー」)をクリアすることができました。それは在宅勤務が以前より市民権を得たからです。しかし、騒動が落ち着きつつある昨今、在宅勤務が良くない形に働くことも出てきました。それは、街に出てコミュニティやお客様から話を聞くことが難しい環境に置かれることになったからです。

また、現職で3年目に入り、これまでの会社勤めのように軌道に乗る時期だと自分で思っていたら、なんと今まで経験したことのない不振に陥ってしまいました。というのも、技術者という立場を維持しつつではありますが、ビジネスの領域に進出し始めたからです。その際に、純粋なビジネスの仕事の進め方を十分に理解せずにやっていることで「果たして自分は目的に対して正しい行いをしているのか?」と疑心暗鬼になっているのです。しかし、その間も周囲では仕事は進んでおり、特に最近の若い人は非常に優秀でみるみるうちに技術と経験を獲得し、結果…表彰や昇進…を出しているのを見ています。

IT業界は動きが激しいですから、現状から置いていかれたら容赦なく退場を迫られます。焦りばかりが募ります。

そこでなのですが、自分は3つの挽回策、大仰に言えば戦略を見直すことを検討しています。一つは、もともと優秀な人に対して戦うのはやめる。二つ目は、自分の新しい仕事の進捗測定方法を獲得する。三つ目は、家族で調査し考えた結論をもとに各々がやりきれる環境を作ることです。

一つ目ですが、先にも述べた通り、エースで4番はビジネスの世界でも存在します。ここ最近のIT業界は、僕が就職した20年前には来ることもなかった極めて優秀な若い人が就職先として選択する業界になりました。元々持つ素質が違うのです。なので、同じ戦いはしないことにしました。最強ではないかもしれませんが、特徴のある存在でありたいと思います。

二つ目ですが、これは傍目からも自分からの両面から、自分の業務の進捗を測定可能にすると、正しい方向に進んでいるのか、何が足りていて何が間に合っていないのか、客観的に振り返ることができるようになります。これは、自分だけではできそうにないので、組織の力を借りてやっていくつもりです。

三つ目ですが、働くことは尊いことです。それは相方にとっても同じです。僕の観測範囲では、女性側が労働時間を削って家事・育児に時間を注ぐケースが少なくありません。うちもこの2年の渦中以前はそうでした。ただ、これからは女性もフルタイムで働く機会をもっともつ必要があると僕は考えます。それなら、ナニーさんをはじめとした育児支援サービスをより活用して、子供がいなかった時ほどではないにしても、必要なときにお互いが仕事をできる限り大切にできるようにしていきます。そうすれば、僕もまた出社したり、街に出て情報を集めることも再開できそうです。相方と僕は「家族はチーム」という考え方があって、協議して協力して物事を乗り越えていく取り組みが日々行われています。

実は、僕の三つ目の考え方は数年前に同世代の子持ちの人から「子供がかわいそうだ」と面前で言われてややショックだったことがありました。ではその人はどうしていたかというと、近所に住む親に支援を受けていたそうです。残念ながら、僕らの親は近所にいないのでそれはできません。こういう目があることには注意は払いますが、少なくとも僕は新しい取り組み方として乗り越えていく確信を持ってやります。

まとめ

周囲に人がいますと、気になることは往々にしてあります。それに注意深く対応していく必要はありつつも、自分の集中力を削ぐほどに気を持っていかれる必要はありません。といっても、僕は弱いので集中力が削がれるほど気を持っていかれます。

そういうときは、僕は自分に集中できる取り組みをあえてやります。例えば、ピアノを弾いたり、ジムに行ってバーベルスクワットをしたり、1人でドライブに行き走りを楽しんだりします。冬にはスキーもします。バーベルスクワットは割と負担のあるトレーニングなので集中力が求められますから、それをやっているときに「なんで彼はうんぬん」なんて考える余地などありません。そして、終わった後、そういうことは意識からほぼなくなっているのがわかります。

自分たちの親の時代に比べて、家族のありかたが非常に幅広くなってきている実感が僕にはあります。とはいえ、どこかで前例主義になってしまう自分がいることも事実です。それを乗り越えて、自分のありたい姿を見定めていきたいと考えています。

とりあえず整理がつき始めました。
一緒にご飯を食べてくれた友人・同僚に感謝しています、ありがとう!

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