「もう日光なのか、もっとゆっくり走ってくれればいいのに。」
そう言いたくなる特急電車があります。 2023/07/15 にデビューした、東武鉄道の新型特急電車「スペーシアX」です。このたび、極めて購入が難しいとされる「コックピットラウンジ」に乗車する機会に恵まれました。その乗車体験記と、どうやって特急券を手に入れたのかを述べて行きます。
スペーシアXそのものの紹介は、公式サイトに解説がありますのでそちらに譲ります。
https://www.tobu.co.jp/spaciax/
なんという贅沢なつくり
スペーシアXの先頭車は、日光方が今回乗車したコックピットラウンジになっています。公式サイトや報道でご覧になったことがある方もいらっしゃるはずですが、紹介するにあたって改めて写真を見ていただけたらと思います。
僕ら一家は北千住駅から乗車しました。北千住駅の特急ホームの改札に加え、1号車はパーサーさんのチェックをさらに挟み、入ることができる空間です。
僕が感じた、改めてすごいなあ、と思ったことを述べて行きます。
- 一人当たりの占有面積がかなり贅沢に作ってある
- 荷物棚がなく天井が高くかつフロントガラスが大きいため開放感が高い
- カフェカウンターはコックピットラウンジ利用者優先でクラフトビールもゆっくり楽しめる
まず、一人当たりの占有面積がかなり贅沢です。電車の乗車定員は1両あたり、通勤電車だと約150名(押し込めばもっと)、スペーシアXのスタンダードシート(普通席)で52名ですが、なんとコックピットラウンジは20名。カフェカウンターがあるとはいえ、いかに贅沢に作ってあるかが数字でも読み取っていただけるかと思います。ちなみに、この車両だけで乗務員さんは3名常駐(パーサー・バリスタ 2名・運転手は別)していて、この点もまた贅沢です。
続いて、開放的な空間です。荷物棚がないのもそうですが、ソファーなので背が低く、実際に着席してのんびりしていると、本当にここはラウンジなんだなと感じられます。それも、借景は車窓という唯一無二のラウンジであります。また、先頭車なので心おきなくかぶりつきもできますが、かぶりついていると結構目が疲れるので、後ろ向きに座った方が実は楽です。ちなみに荷物はどうするんだと思われた方はご安心ください、デッキにカートが置ける鍵付きラックがあり、そこに置くことになります。
そして、コックピットラウンジで僕が一番楽しみにしていたのが、カフェカウンター「GOEN Cafe SPACIA X」です。動く借景を肴に、ラウンジでクラフトビールをいただく。こんな贅沢、どこにあるのでしょうか。タップは4つ繋がっており、ハーフパイントで各800円、タップリストは公式サイトと乗車時に渡されるメニューに記載されていて一部は月替わりで提供されるとのことです。そして、カフェカウンターはコックピットラウンジの人優先でして、好きな時に好きなビールを頼めるのはこの席だけです。僕も2杯いただきました(Nikko Lager, 富士桜高原麦酒 Weizen)。
ちなみに、隣の席の方に聞いたら、コーヒーもおいしいそうです。その場でドリップしているのでこれも贅沢に楽しめると思います。
さて、ちょっとした注意点を2点書きます。
かぶりつきができると話しました。それも、ガチでかぶりつきができる先頭の1名掛け座席が2席あります。ただ、ここもソファーのため、視点が低く前はあまりよく見えません(振り返って確認済み)。かぶりつきについては過度な期待はしない方がいいです。以下の写真のように見るには立たないとダメです。といってもみんな入れ替わり立ち替わり撮ってましたw。
カフェカウンター近くの席は、下りは春日部駅を過ぎると別の車両からカフェカウンターに来る人が入れ替わり立ち替わり来るようになります。オンラインで発行される ID がないと入ってこれず人数制限こそあるものの、ちょっと騒がしくなるのは変わりありません。といっても、自分たちもわいがやしていたらあまり気にならないかもしれません。実際、大人だけのグループはビールを飲んで楽しそうに会話していましたし、うちの家族もあれこれ話していたりしました。まあそうなりますよね。普通の特急電車のような、静かな空間とはちょっと違うかもしれません。
ここまで読んで「お高いんでしょう?」と思われた方。なんと、乗車券+特急券に加えて、特別座席料金は…なんと800円/枠(4人掛け)です。こんな快適な空間がビール1杯分の値段で取れるのです。コンパートメント席の特別座席料金が6,040円なので、比べたら値段がバグっている…これがいちばんの驚きポイントかもしれません。
どうやって特急券を買えばいいんだ!
スペーシアXのことについて少しでも知っている方は、こえむ、お前どうやって特急券を買えたんだ?と思うはずです。はい、僕も3回チャレンジして3度目の正直で取れました。しかも紅葉の時期でハイシーズンであり、難易度がより高い時期でもありました。ここで、実際に取れた隣の人からも聞いた、スペーシアX特急券購入の方法について事例を説明します。
僕は、北千住駅の特急券自動券売機にて、1ヶ月前の朝9時の購入可能開始日時に合わせて操作する、いわゆる「セルフ9時打ち」で購入しました。券売機に慣れている方はこれがいいと思います。とはいえ、高速で打ち込めるように「素振り」したのはここだけの話です、というのもスペーシアXは6種類の席があるのでメニューが深く操作に手間取りやすいこと、そしてコックピットラウンジは「個室」ではないので注意です!購入時、決済画面が出た時に「これは勝利したんだ、勝利だ…‼️」と思ったものでした。なお、クレジットカードは東武鉄道のカードしか使えないようで、しかたないので現金で支払いました。ちなみに、以下は敗北した時の画面となります。
隣にいた方は、東武トラベルで取ったそうです。また、東武鉄道の駅でも買えるので、それほど混まない東武鉄道の駅周辺にお住まいの方はこちらもお試しください。駅員さんが使う端末だと、列車データを直接打ち込むので発券が早く、セルフ9時打ちよりも勝率が上がる可能性があります。ただ、真っ先に並ぶ必要があるのと、前の人が手間取ると撃沈します。実際、僕は前の人が手間取って撃沈して北千住駅から泣く泣く引き返したのを昨日のように思い出します。
ここまで読まれた方で「オンラインがあるじゃない」と思った方。それは諦めてください。予約開始時刻である毎朝9時、いつもサイトが落ちるんです。 ISUCON 勝者にチューニングしていただきたいと願ったことは1度ではありません。
現場からは以上です。
まとめ
東武鉄道の新型特急電車「スペーシアX」のコックピットラウンジの乗車体験記を書いてみました。車窓を借景に、ラウンジでビールを飲む。そうしていたら、いつのまにか目的地に到着してしまうのです。もっとゆっくり過ごさせてほしいと速達性がある特急電車に対してそう言いたくなる、とても良い空間でした。電車を降りる際に、パーサーさんとバリスタさんに「ごちそうさまでした」と、まるでお店を出るように声をかけたのはここだけの話です。
最後に。
息子を撮った後に、東武日光駅の駅員さんから「お父さんもお撮りしましょうか?」と声をかけてくださって撮ってもらった1枚です。どうしても、撮影者の写真ってないか、あっても少なくなるものです。お父さんだって写りたいのです。こうして声をかけてくださって、ありがとうございました。