2023 年 8 月に、 Canon EOS R6 Mark II を購入しました。今回は、そのレビューをただ書くのではなく、最近行ったシドニー旅行で使って来た中で確かめられた点を中心にお話ししたいと思います。僕は、初代 EOS Kiss Digital とフィルムの EOS 7 の頃から一眼レフカメラに親しみ始めた人で、まもなくカメラ撮影歴 20 年くらいのアマチュアカメラマンです。主に風景と乗り物を撮影し、人に頼まれると音楽ライブの写真を撮ったりしています。

カメラの基本性能は公式サイトなどですでに述べられていますので、ここでは言及しません。

https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r6mk2/

TL;DR

  • あなたが一眼レフカメラに慣れているのなら、ぜひ EOS R6 Mark II (か、それ以上)
  • 高感度、高速 AF、 IBIS などの機能が自分の限界を越えさせてくれる
  • 今までの操作性を維持しながらより使いやすくなったボタン類

EOS R8 ではなかったのはなぜか

EOS 6D を 8 年ほど使って来ました。非常に使い勝手が良く、フルサイズセンサー搭載の一眼レフカメラとしてスナップ撮影に使う分には十分な性能を持っています。

最近は外に出歩ける状況にもなったし、旅行にも行くからカメラを新調しようと思い、目をつけ始めたのが当初は EOS R8 でした。 EOS R6 Mark II と同じセンサーと AF 精度とのことでコストパフォーマンスに魅力を感じました。そこで、実物を確認しようと銀座にある Canon のショールーム(キヤノンフォトハウス銀座)に話を聞きに行って決めようと思ったら…買っていたのは EOS R6 Mark II でした。値段が 1.5 倍違う(2023/09/01 時点で公式オンラインショップの価格が EOS R6 Mark II が 396,000円, EOS R8 が 264,000円)のになぜ奮発したのか。それは次の理由がありました。

  • バッテリー: EOS R8 の倍あり かつ EOS 6D と共用可能
  • ボディ内手ぶれ補正機能(IBIS): 今まで使っている IS のない EF レンズでも手ぶれ補正が使える
  • 機械式シャッターの有無: 先幕・後幕両方あり球ボケの精度やスピードライトを使うとき、そしてローリングシャッター対策に有効

まず、バッテリーです。これは旅行中にその重要性を深く理解することになります。新品であれば、節電設定を工夫するとほぼ1日中使えます。設定は、モニター低輝度表示 5秒, モニターオフ 15秒, オートパワーオフ 30秒, ファインダーオフ 1分です。かなり積極的に節電しているものの復帰は気になるほど遅くはありません。 R8 だと事実上これが半分の時間になり困ったかもしれません。なお、がっつり集中して撮影する時はオートパワーオフは引き延ばした方がいいかもしれません。

次に、 IBIS は夜景撮影や古いレンズで効果を発揮することを身をもって知ります。これは作例をご覧いただいたほうが早いので後述します。

最後に、機械式シャッターのメリットは、今回の旅では明確に知ることはありませんでした。ただ、 F2 より明るいレンズを使っている人は、高速シャッターを切ると球ボケがおかしくなることがあるので、機械式シャッターつきを選んだほうがいいです。僕は普段 EF 50mm F1.4 USM を活用していたのでここが引っかかりました。また、高速に動くものを撮影するときのローリングシャッター現象(スマホほどは発生しない)や、ストロボを使った撮影の時にも影響がある可能性があります。

撮影例

僕と一緒にシドニー市内を旅するように写真を紹介してみます。クリックすると RAW から現像した原寸大 JPEG 画像をご覧いただけます。レンズは RF 24-105mm F4L IS USM で、現像は Adobe Photoshop Lightroom Classic で行っています。現像時、光学補正は無効にし、できるだけわざとらしい発色にならないように留意しています。ただし時系列には揃えていません。

まずは日中の風景です。 Harbour Bridge から Circular Quay を望んでみました。天候に恵まれ、まるで旅行代理店のパンフレットの写真のようになりました。

朝食はホテルの近くにあるコーヒースタンドでとりました。シドニーはおいしいコーヒーを出してくれるお店が多いです。早春のあたたかい日差しが気持ち良く、よい時間を過ごせました。逆光で厳しめの条件ですが、現像時にシャドウ部分を出来る限り明るくしようとしても破綻しにくいです。 EOS 6D よりもダイナミックレンジが上がっているのでしょうか。

旅先の公共交通機関に乗るのも旅の醍醐味です。地下駅で撮影するときも、サーボ AF モードならトンネルから現れたばかりの列車にもたちまちピントが合います、それも合い続けます。撮影パラメータも 1/500 sec, ISO 20,000 と今だからできるもので、これは EOS 6D ではまず無理でした。

観光地巡りもしてみましょう。シドニーといえばオペラハウスです。外の様子は先ほどもご覧にいれましたが、中ってご存知ですか?これはガイドさんのお話を聞きながら撮影をしています。割と難しい構造物がどう写っているかご覧ください。説明の妨げにならないよう、サイレントシャッター機能を使って完全電子シャッターで撮影しています。これができるのはミラーレス一眼ならではですね。なお、撮影は許可を得ています。

そういえば、一人旅をしていると自分の写真ってなかなかないですよね。ということで、 Hunter Valley ワイナリーツアーの際にご一緒した方に撮っていただきました。これは緑色の完全オートモードで、かつコンデジのように液晶を見ながら撮っていただきました。スマホの感覚で人に渡しながら撮影できるのもいいですね。

さて、夜になって船で Circular Quay に戻って来ました。これで高感度と手ぶれ補正性能を思い知ることになります。この夜景、なんと揺れる船上で撮影しています。 1/60 秒, ISO 20,000 で撮影していますが、ほぼブレていません。 IBIS + レンズの IS の最大 8 段の手ぶれ補正の効果がここに現れます。

静止した状態での夜景もどうぞ。こちらは Chinatown の入口です。ご飯に困ったときに、 Chinatown は外さないなと思っている旅行者の一人です。もちろん手持ちで 1/30 秒, ISO 4,000 です。フィルム時代では信じられない、数世代前でもノイズが乗って使うか悩む ISO 感度ですが、最近は積極的に使える感度になりつつあるようです。慣れたらもっとシャッタースピードが下げられる気がしています。

最後に、動画です。再び Circular Quay の朝の風景をパノラマ風味で撮りました。早春の波止場は立っているだけで気持ちいいですね。マイクは内蔵のものを利用し、 35mm F8 で固定しています。まるで NHK の「世界ふれあい街歩き」みたいに撮れて感動しました。ただ、一眼レフで動画撮影をしたのはこのカメラが初めてで、正直うまくなくてすいません。たぶん、このカメラは動画を使いこなすともっと面白くなる気がしています。

風景紹介とともにした作例紹介は以上です。

操作性など

基本操作ですが、 EOS を使って来た人ならその流儀がほぼシームレスに通用します。さらに、撮影中は右手でほぼ全ての操作が完結しています。個人的には僕が「ぐりぐり」と呼んでいるマルチコントローラーがついているのがありがたいです。焦点を合わせる場所をどんどん変えて使っていけます。電源スイッチとロックですが上部右サブ電子ダイヤルのところにあり、これも意外に使いやすいです。露出補正を変えたい時にロック解除する際もスムーズでした。上部のシャッタースピードや絞りの表示パネルがなくなったのを心配したのですが、液晶ディスプレイに映せばよく問題になりませんでした(さらに上位の EOS R5 はある)。

出先でも、カメラリモート機能を使い、写真をスマホに引き出すことができます。これは EOS 6D と変わりません。ただ、 Wi-Fi の接続が安定しないことがあるので、その時はスマホとカメラをほぼくっつけるくらいで使うと解決することがあります。また、EOS 6D からなくなった機能のひとつに GPS レシーバーがあります。ただ、これは代替機能がありまして、手持ちのスマホの GPS 情報をカメラに転送する機能があります。旅行で GPS 機能は重宝していたので、残っていて安心しました。

SD カードが 2 スロットあります。これ、必要な人は必要な気がしますが、僕はなくても良い人です。電池は EOS 6D のものが流用できるのがありがたいです。頼まれて撮影する時に標準域・望遠域でカメラを 2 台もって撮影することがあるのですが、その時に往生しなさそうです。さらに、充電を USB-C PD でできるのはありがたいです。充電器が不要になり、旅行の荷物を減らせます。

シドニー旅行について

カメラの話題をちょっと離れて、シドニー旅行について軽く触れます。夏休みにどこに行こうか考えていた時、たまたま JAL のシドニー行きのチケットが安く取れるのを知っていくことを決めました。 4 泊 6 日でした。ただ、計画はほぼなく、事前にワイナリーツアーを申し込んだ程度(「ジャックさんの日本語ツアー」めっちゃよかったのでおすすめです!)。直前におすすめをソーシャルメディアで緩募したところ、お世話になった方からたくさんリストを送っていただき、そこをどんどん巡っていくというものでした。思いがけなく、大変充実したものになりました。ここで紹介しきれない 1,400 カットもの風景を撮影してきました。

主にこんなところを巡ってきました。 Central Station, Circular Quay, The Rocks, Dalling Harbour, Harbour Bridge, Bondi Beach, Royal Botanic Garden。ちょっと羽を伸ばして、 Blue Mountains, Hunter Valley という感じです。

まとめ

ここまで、シドニー旅行を通じた EOS R6 Mark II のレビューをしてきました。まず、一眼レフカメラで写真撮影に親しんできた方には、割と高いカメラですが「この機能があってよかった」と感じていただけるものが揃っていて手堅い、ということをお伝えしたいです。正直、買うときもあまりの値段の高さに最後の決断の直前に Canon のショールームから一旦離れてコーヒーを飲みながら心の整理をしたくらいです。一方、この撮影なら EOS R8 で全然大丈夫だな、と思った方はそれで問題ないとも言えそうです。というのも、「この機能」というのが、わりかしシビアな環境ではないと発生しないことだからかもしれません。

また、買い替えてどうかということですが、 EOS 6D は十分良いカメラだったのですが、 EOS R6 Mark II の進化は「自分の撮り方を変える」レベルのものでした。これから、今までのこと以上のことを試していきたいと思っています。

ということで、この記事が EOS R6 Mark II 購入の参考になりましたら幸いです。

参考リンク

備考

最後まで読んでくださってありがとうございます! Canon のショールームだと、家電量販店のポイント還元こそありませんが、価格の 10% 引きで買えます。また、 Canon 公式の延長保証にも入れます。割引率重視ならご検討ください。

あと、 Canon のショールームには写真撮影に造詣の深い係の人がいます。じっくり説明を聞いて、悩んでいただければと思います。でも僕は知っています、あなたは後押しが欲しいだけだって…😆