Canon のレンズ交換式ミラーレス一眼のマウントである RF マウント。この RF レンズを利用してサードパーティ製ソフトで RAW 現像をしようとした時、種類によってはレンズ補正を必ず ON にしないと四隅がケラれる(イメージサークルが足りない)画像が出力されます。3点「どんな現象なのか」「RAW 現像時のポイント」そして「考察」に分けて説明します。

TL;DR

  • 一部の RF レンズで RAW 現像する時にイメージサークルが足りないことがある(以下、本現象)
  • RAW 現像時に必ずレンズ補正を行えばOK
  • 純正現像ソフト・JPEG 撮って出しだと最初から補正がかかる

この記事は本現象に対して非難を行う目的ではなく、あくまで特性を伝えることを目的として記述しています。要は、そう言うもんだってことを知っておきましょう、と言うことです。

どんな現象なのか

私が調べたところによると、以下の AND 条件に当てはまると本現象に遭遇するようです。

  • 一部のレンズ 廉価なレンズだと遭遇しやすい (e.g. RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM)
  • 広角端で発生しやすい
  • サードパーティ製の現像ソフトを利用する (e.g. Adobe Lightroom)
  • 現像ソフトのレンズ歪曲収差補正を Off にする

RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM + EOS R6 Mark II 絞りは F8 での撮影例を示します。画像のリンク先に、原寸大の画像をリンクします。

広角端(24mm)で撮影した時が次のとおりです。

補正 OFF

補正 ON

続いて、望遠端(50mm)です。こちらは、イメージサークルが足りないような現象は起こらず、光量落ち・歪みの補正のみが行われているようです。ソーシャルメディアでシェアするような用途であれば、言われなければ気づかない差のような気がします。

補正 OFF

補正 ON

RAW 現像時のポイント

本現象に遭遇する RF レンズを使い、サードパーティ製の現像ソフトで RAW 現像するときは、必ずレンズの補正プロファイルを適用する、これに尽きます。

なお、キヤノン純正の Digital Photo Professional で RAW 現像しようとすると補正が強制的に有効になっているようで、歪曲補正を OFF にしても本現象に遭遇することはありません。

また、撮影時に JPEG 撮って出しをした場合や、 Canon Camera Connect (スマホアプリ)を使ってデータを取り出した場合も、デフォルトで補正が有効となっていて、本現象には遭遇しません。

考察

これは、レンズを作るときにコスト最適化をはかるために、デジタルカメラだからこそできる補正技術を活用して性能を担保しているのではと想像しました。フィルムの時代に作られ始め、デジタル補正と言うものが存在しなかった EF レンズとはここは決定的に違うところです。

本現象にどうして気づいたのかというと、僕はもともと RAW 現像時にレンズ補正を OFF にして現像するのが習慣だったからです。レンズの収差などはそのレンズの「性格」だと理解していまして、「正確」なデータを出さなければならない時を除いてそのままにしておくほうが良いと考えていました。

そんな中、いつも通りに現像するときに補正 OFF にしたら、 RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM のデータだけ「あれっ?」、すなわち本現象に遭遇してしまった、というものになります。このレンズの名誉のために言っておくと、このレンズは 210g と RF レンズの中では劇的に軽くて、旅行に持ち出すにはすごぶる便利です。また、中古だと 25,000 円くらいで買えて、非常に手が出しやすいレンズでもあります。今回はシドニー旅行のために持ち出しましたが、昨年のシドニー旅行の時には RF24-105mm F4 L IS USM を持ち出してしまったためえらい重かった(700g)思い出があります。今年は家族、昨年は一人で撮影目的の旅だったので、まあそれはそれで納得してでの行動ではあります。

レンズ補正がかかるから画質が落ちるのでは、と考える人もいるかもしれません。でもみてください、 L レンズと比較したらかわいそうですが、このレンズとスマホとの撮影データを比較したら、画質の違いは誰がみても明らかです。それでもレンズ補正をかけたくないのであれば、キヤノンのショールームで補正がなくてもイメージサークルが担保できるレンズを確認して買うか(実はどれがそうなのか僕には完全にはわからない)、 EF レンズを使うかになろうかと思います。

また、レンズ補正が必要な RF レンズはネット上で情報を書いている人が他にもいるので、検討されている方は事前に確認しておくと良さそうです。広角系で気をつけたほうがいいようです。

まとめ

ここまで、サードパーティ製現像ソフトで RAW 現像しようとする時、一部の RF レンズではレンズ補正を ON にして現像する必要があるケースがあるお話をしました。ただ、どのレンズかは網羅できていないので、もし気になる人はキヤノンに問い合わせていただくか、すでに撮影したデータで検証している人のブログ記事などを参考にしていただくと良いかと思います。

一方で、補正を強制されることはひとえに悪いことではなくて、デジタル時代だからこそできる補正技術を重ね合わせながらレンズ製造コストを最適化できるのではないか、という仮説を書かせていただきました。みなさんの用途に応じて、このような特性を理解しながら利用するのが良いのではと考えております。