1ヶ月弱ですが、Canon EOS 5D Mark IV(5D4) + EF 24-105mm F4L IS II USM をお借りすることができました。Canon Photo Circleの会員だと応募できるモニタープログラムに当選したのが背景です。キヤノンの事務局の方、ありがとうございます!せっかくなので、モニターレポートをまとめるのを兼ねて、ブログにもレビューを残します。

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レビューをまとめると言っても、発売されて1年経つ製品ですから、大手メディアを初めいろいろなレビューが上がっています。なので、あまり書かれていそうもない3つのポイントを、普段使っているEOS 6D (初代, 6D)との比較も絡めてまとめてみます。

  1. 動き回る子供を撮る時のAIサーボAFの性能に驚く
  2. 逆光にも強く手ぶれ補正もパワーアップ
  3. 重さを思ったほど感じさせないバランスの良い筐体

では、まいりましょう。

動き回る子供を撮る時のAIサーボAFの性能に驚く

不規則に動き回る子供、撮影に苦労されたお父さんも多いはず。僕もその一人です。6DのAIサーボAFだとすっぽ抜けてしまうことは何度もありました。今回、モニタープログラムに応募した最も強い動機はここ。5D4の強力なAIサーボAFだとどれだけピントを合わせ続けることができるのか、非常に興味がありました。

結果は素晴らしいものです。1人で走っている分には、まず、ピントは外しません。誰かが横切ったりしても別の被写体に意図せず乗り移ることもあまりありません。

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「わーいおとうさーん!」と近づいても、ピントが合い続けます。EOS 6Dだと、たいていピントが抜けるパターンです。

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運動会の徒競走のように、複数人が同時に並んだ時の食いつきの良さは試すことはできなかったのですが、たぶんこれだとAFポイントを適切に合わせていればまず問題なく合うと思います。

おまけですが、走っている電車は楽に追従できます。高感度性能があがったので、薄暗い時間帯のダイヤでしか走らない列車を狙うチャンスも増えること請け合いです。

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これが6Dと5Dの違いなのか、と感じるには十分な結果でした。

逆光にも強く手ぶれ補正もパワーアップ

EF 24-105mm F4L IS II USM も貸し出しいただいていたので、こちらも試してみました。解像度は手元にある前世代の EF 24-105mm F4L IS USM よりも特に周辺部分が向上しており、特筆すべきは手ぶれ補正の性能が1段程度上がっていることです。高画素時代にふさわしいオールラウンドなレンズに仕上がっています。

さて、親バカ写真が続いて恐縮なのですが、性能を確認すべく動画を撮影してみましたのでどうぞ。

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こちらは、ジンバルやガンマイクは使わず、手持ちで撮影しています。それにしては手ぶれはしっかりと抑えられており、かつ逆光の中ですがレンズフレアが最小限に抑えられています。

レンズの話ではないですが、カメラも、ピントをしっかり合わせ続けられている点は素晴らしいです。普段使っているハンディカムは高倍率レンズがついていてそれはそれで便利ですが、一眼レフのレンズを使った動画制作、それもフルサイズセンサーを使った動画撮影がより身近になりますね。

重さを思ったほど感じさせないバランスの良い筐体

5D4(左)と6D(右)のモノ自体を比べてみます。

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ボディ、レンズ、それぞれやや大きくなりました。重さは、5D4が890g+795g=1,685g, 6Dが755g+670g=1,425gで、260gほど5D4が重いです。それにもかかわらず、6Dと比べた場合ですが、重くなったと感じることはありませんでした。実際、この5D4を持って会社の合宿の写真を撮影していたのですが(同時にワークショップに参加してました)、6Dと同じような取り回しで扱うことができました。

背面ですが、5D4は上級機からある「ぐりぐり」(と勝手に僕が呼んでいる、正式名称は「マルチコントローラー」)がありまして、6DよりもAFポイントの切り替えが柔軟に行えます。EOS 50Dを使っている時にはぐりぐりがあったので、これまじ便利でやっぱいいわ〜という気持ちでした。

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あと、5D4のディスプレイはタッチパネルです。これが特に便利に扱えるシーンが、設定変更時と、撮影した写真をプレビューする時です。設定はダイレクトに飛べるので時間短縮に効果があり、写真のプレビューはピンチなどが使えてスマホっぽい便利さがようやく来た、という感覚を味わえます。

その他 気づいたこと

高感度性能が6Dに比べて1段以上上がっています。ISO 6,400で打ち止めにしていたところを、余裕でISO 12,800まで引き上げることができます。

ちょっと残念なことも書きます。センサーが30MP代になって2つ気になることが出ました。

一つは、古い設計のレンズを使うと解像度が低さが目立ってきます。一例として、僕が愛用しているEF 50mm F1.4 USMを使うと如実にわかります。したがって、30MPの性能を活かすには、新し目の設計のレンズを積極的に選ぶ必要があります。

もう一つは、フルサイズのRAWで撮影するとデータ量がだいぶ大きくなることです。sRAW (1/4の解像度)でも7.5MPでして、僕が使っていた初代 EOS Kiss Digitalの6MPを超えています。普段32GBのSDカードを使っているのですが、これでさえ小さいです。たぶん、プロの人は既に3桁GBのCFカードを使っていそうです。なお、普段は6DでもsRAWで撮影しています。

まとめ

ここまで、「動き回る子供を撮る時のAIサーボAFの性能に驚く」「逆光にも強く手ぶれ補正もパワーアップ」そして「重さを思ったほど感じさせないバランスの良い筐体」についてお話ししました。

フルサイズセンサーのカメラで、動体撮影をよりよくこなしたい人は、ぜひ検討してみてください。そして、有償・無償関わらず借りるチャンスがある方は、ぜひ借りて試してみてください。

特に、APS-C センサーでは物足りない、フルサイズセンサーのダイナミックレンジの良さに魅了された方が、高いAIサーボAFの性能を求めたとき、5D4以上が選択肢に入る(あっ、これより上は1D X…)ことを知っていただけたのではないでしょうか。

また、解像度の向上により、レンズにも高い解像度が求められるようになりました。確かにEFレンズは1980年代後半からの資産がありますが、その資産をそのまま受け継げられるかというと、必ずしもそうではないことを知っておくべきです。

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とはいえ、僕は動くものを撮影する機会は子供以外それほどありませんし、静止しているものなら、画質の観点では6Dでも十分5D4と戦える性能があります。ということで、僕は引き続き6Dを使って行くことでしょう。僕には普段の生活で色々お金がかかっていて、趣味の道具を独身の時のようにポーンと買うわけには行きません!!!なんてたってEOS 6D Mark II(6Dの現世代)の倍近い値段です。

せっかく借りたのに、持ち上げたと思ったら下げたりしていて、キヤノンの人には悪いなーと思いつつ、レビューを締めます。