ある日、僕より年少の人と話していた際、僕の経歴を『鵜呑み』にしてしまい高卒でもプログラマになって一山当てられるのでは、と思われた事がありました。

これはとんでもない、という事でそのときに話した内容を少し整理して書き残しておこうと思います。大学は出たほうがいい、という。

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高卒のホワイトカラーはマイノリティです

僕は高卒、専門学校にも行った事がありませんが、10年ほどプログラマとして食べてきました。プログラマを初めとした知的労働者、言い換えますとホワイトカラーな仕事であります。

僕の友人を初めとした、多くの高卒者はブルーカラーな仕事についています。工場を初めとした、体力勝負の労働であります。

仕事に貴賎は無いと昔から申します。しかし、学歴によって就ける仕事の種類には差が存在する事は事実です。欧州や米国、特にシリコンバレーでは、MITを初めとした名門校を卒業した人材が優遇されると聞いております。それを考えると、日本はこの10数年で学歴に対してゆるい目線になったせいか、僕のような高卒のホワイトカラーが誕生する土壌ができたのかもしれません。

でも、繰り返しますが高卒のホワイトカラーはマイノリティです。

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大学を出ていないと開かれない門戸が存在する

大企業、特に伝統ある企業へ就職しようとすると、新卒はもとより中途でも『大学卒業』の資格がなければ門戸さえ開かれることはありません。外資でもこれはあてはまり、実際に経歴一切を引っさげて人事部の門を叩いても、大卒の人とは違い相手にされないことも珍しくないのです。

また、仮に就職できたとしても、正規雇用であるかはわかりません。仮に正規雇用だったとしても、伝統がある企業であればほど「給与テーブル」というルールが存在し、その中で同じ実力・経験年数でも「高卒」「大卒」の区分に給与が分かれている事実が存在します。これを見て、僕は大企業での正社員登用をあきらめたことがありました。

ほかにも、医者のように大学に行かないとそもそもなれない職業も存在します。これは、マイノリティどころの話ではありません。

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結果を出している人は幼い頃から目の前のことを着実にこなしている

社会人になっても結果を出している人。それは、会社でもっとも収益を出しているかもしれませんし、技術の最前線を行っているかもしれませんし、もしくは若くして経営に参画し会社の舵取りをしているかもしれません。

そういう人、少なくても10人くらいはご覧になってみてください。わからなければ、日経新聞をはじめとした経済系のメディアで調べることができます。その多くの方は、大学へ、それも名門の大学を卒業しているはずです。

彼ら・彼女らが何のために大学へいったかはいろいろな経緯があったかと思います。ただ、少なくても言えるのは将来のプロセスとして目の前で行わなければならない『勉強』を着実にこなしていたからほかなりません。

その『勉強』にどれほどの意味があるのか、と考える学生は非常に多くいます。しかし、社会人になってからは勉強とは比べ物にならないほどの理不尽な仕事が待ち受けています。プログラマであれば、自分の好きなジャンルで得意の言語を使って開発し続けられるわけでは、決してないのです。

残念ながら、僕は中学生・高校生のときに、その目の前でやるべき仕事をせずにすごしてしまい、思わぬ重荷を背負うことになっているのです。世間はとても厳しいもので「ああ、あの時こうしていれば」ということが年を追う毎に増え、そして重くなるのです。そして、十代後半がその最初の分岐点になるのであります。

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大卒の正規雇用のメリット

最近はOJTが普及してそうでもないことも増えているようですが、それでも伝統ある大企業では続いているものがあります。新人教育です。

新人教育は、多くの場合社会人として必要とするマナーやルールを学び、現場へ行く前の事前研修を行う場であります。現場の仕事は現場についてからでもいいのかもしれませんが、ルールやマナーを知らない状態で社会に飛び込むことはリスクがあります。それは、自分自身もさることながら、ほかの社員の方にも迷惑をかけかねません。

自分が気づかないうちに、相手に失礼があったり、自分や周囲の価値を落としかねないものになります。

僕は、社会人1日目に、隣で新人研修をしている声を聞きながら、仕様書を渡されてプログラムを書き始めていました。武勇伝としてはいいかもしれない。だけど、その後に客先へ訪問したときや、上司と接するときなどにどう立ち居振舞えばいいのか非常に苦労をしました。慌てて、プログラムの勉強の傍らマナーの本を読み名刺の渡し方から覚えたものです。

これは、本当に若いときに行わなければ、年をとってから直すのは難しいのです。マナーが体に定着せずにみっともない振る舞いをしている年長者は、悪い意味で目立つのです。これは、どんなにいい仕事をしていても損です。

しっかり教育を受けられる場も、学歴あってこそのものだったりするのです。

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マジョリティとしての自覚

マイノリティの方の活躍は、時としてメディアなどに取り上げられ輝かしい部分がまぶしく目に入ります。そして、俺もこうなりたい、私もなれるはずだと思うこともあるかもしれません。

ただ、自分自身が本当にそうなのか、今一度見つめなおしたほうがいいかと思います。

できれば、周囲の大人…できれば親以外の叔父さんや知り合いの人に相談に乗ってもらうのはどうでしょうか。幼い頃からの自分を知っている方であれば尚よいでしょう。客観的に、そしてご自身の経験を踏まえ、ひとつの方向性を示してくれるはずです。

これを複数の人にやっていくと、重なるところが出てきたり、逆に意外な指摘があったりするものです。そうしていくうちに、自分は明らかに特別な能力を持っているのか、またはある程度できるけどマジョリティの領域にいるものなのか、理解をするきっかけがつかめるはずです。

なりたい自分が見つかるか、ということはこの時点では非常に難しい。だけど、何をすべきかは見えてくるものです。

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本当は俺はできる!というのは忘れなくていい

いやいや、俺はこんなものではない!すぐにでも結果が出せる実力があるさ、と思うこともあるでしょう。でも、人生は80年ほどあるそうですから、慌てることなくじっくり取り組めばいいのではと最近考えるようになりました。

仮に、結果を出せる実力があったとしても、その周りにまとわりつく理不尽なことを解決したり、当たり前に持ち合わせなければならないマナーやルールを理解しているわけではないのです。

まずは、目の前の必要なことをひとつずつ解決していけば、道は少しずつ、しかし確実に開いていくはずです。僕が社会人になって10年ほどしてきたのは、これだけなんです。

何か特別なことをしたり、有名になったわけではまったくありません。ただ、自分を必要としてくれる人が声をかけてくれるようになり、目の前にいる人たちに何か価値を提供できるようになったかな、と感じるようになったくらいでしょうか。

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30歳も近づき、そろそろ次のフェーズに進まなければならない、今はその最後の仕上げの段階だと思っています。私の周囲でお世話になった方は、30代から徐々に頭角を現した方が増えていますが、まだそこには至っていないのです。至るまで、今ある機会を大切にしていきたいというのが、今の僕の考えであります。

ということで、大学は出たほうがいいです。