在宅勤務を半月以上取り組んで…会社で仕事するのがやっぱりいい

在宅勤務を半月以上取り組んで…会社で仕事するのがやっぱりいい

2020年2月19日から、勤務先で在宅勤務令が出ました。理由は、もちろんみなさまご存知の通り、新型コロナウイルスの感染拡大防止が目的です。それ以来、今週(3/13)にかけても在宅勤務は続き、この状況はしばらくは続くと想像します。

テレビはどこのニュースもコロナウイルスの話です。日本のチャネルばかりでなく、CNNやBBCなどの外国のニュースまでもこの話一色です。状況のあまりの酷さに気が滅入ります。

さて、ソフトウェアエンジニアなら一度は憧れるであろう、完全在宅勤務。実際にこの状況を半月以上体験して見ての感想をまとめてみます。いろいろな考え方があると思うので、あくまでも僕の私見としてご覧ください。

TL;DR

仕事は原則会社でやりたいです。同僚とリアルに顔を合わせられることがこれほど尊いとは思いませんでした。とはいえ、在宅勤務は事情に応じて自由に選択できるのが良いとも考えます。

どんな環境で在宅勤務をしているか?

感想をお話しする前に、前提となる在宅勤務の状況について、簡単にお話しします。僕は、バックエンドソフトウェアエンジニアです。そのため、ひょっとしたら同じ会社でもロールによって状況は違うかもしれません。現在、勤務先では以下の業務のサービスを利用しています。

  • G Suite (Gmail, Google Calendar, Google Meet, Google Drive, etc…)
  • Slack
  • GitHub
  • 出退勤管理はbotがいる
  • Google Cloud Platform: 特に開発環境
  • その他, Wiki, Atlassian Jira, SmartHRなど

これらのサービスはすべてSaaSでして、その多くは多要素認証(MFA)を元にシングルサインオン(SSO)で利用できます。もちろんVPNはあるのですが、特殊な業務ではないかぎりVPNは使用しません。なので、VPNが重くて仕事にならない、ということはまずありません。

これらのサービスを使えば、通常のコミュニケーションはSlackで伝え、会議はGoogle Meetを通じて行い、作業はJiraで管理し、ソースコード管理はGitHubでできるため、ほぼ会社にいる時と同じ状況で仕事が可能です。そして、これらのサービスを普段から利用しているため、使い方についてのトラブルは特に聞いたことがありません。これは、社外のいろいろな人の話を総合すると、割と恵まれた方なのかもしれません。この環境を維持してくれているIT担当の方々へ感謝しています。

また、自宅にはNURO光とマンション内LAN(バックアップで残した)があり、会社ほどではありませんが高速なインターネット環境を確保しています。家庭用複合機もあるので、手書きの資料を電子化して共有する時のためにスキャナーを使うこともできます。

孤独は辛い

「なんだ、こえむさんの家、十分環境が整っているじゃない。」
おっしゃる通りです。だからこそ言わせてください。

孤独は辛いです

いかに、自分が会社に出社して、多くの同僚に囲まれて、時にはふとした雑談も織り交ぜながら仕事に取り組んでいたのか、身に染みてわかりました。家で仕事をしていると、打ち合わせ以外は誰とも話すこともありません(みんな効率よく仕事をこなすので議題が済むと即解散です 素晴らしいことではあります)。また、日中は相方は時差出勤中、息子は保育園にいます。オンライン雑談タイムを作っている人も目にはするのですが、あまり知る人ではないのもさることながら、オンライン会議で複数人で雑談するのは話の間合いを捉えるテクニックが必要で、ちょっと負担を感じました。

また、ほとんど体を動かさなくなります。オフィス内を動くことはもちろんなくなり、通勤もなくなり、移動距離がグッと少なくなります。首・肩・腰に違和感を感じる同僚もいるようです。僕も腰が痛いです。運動をしたいところなのですが、この状況で週2回以上通っていたジムに行くこともできなくなりました。できて、感染のリスクが少ない、休日にロードバイクに乗るとか、家族で車に乗って登山に行くくらいです。

あと、iOS, Androidのクライアントアプリを開発している同僚は、会社で使っている馬力のあるコンピュータ(iMac Pro)が使えないのも、大変だと話していました。特にバイナリのビルドに時間がかかるみたいです。他のロールの人で、僕が知らない困ったことを持っている人もいるかもしれません。

その他、家の電気代があがるとか、宅急便が来ると作業が止まって案外対応が大変(配達員の方ごめんなさい)だとか、やってみて知る問題もありました。言い出したらキリがなさそうなので、この辺にしておきます。

かろうじて、時間の感覚だけは残っています。息子を保育園に送り迎えする時間が時報がわりです。中には、時間の感覚を失いつつある同僚も目にします。おそらく、自宅ですと時間帯による周囲の環境の変化が極端に減るからだと思われます。

この状況で、とても孤独を感じ、体もだんだん重くなる感覚が抜けません。

久しぶりに出社した

実は、月曜日・火曜日に、マネジャーの許可をもらって久しぶりにチームメンバーほぼ全員が出社しました。もちろん、時差出勤で。この日は集中ワークショップ日にしたのですが、コミュニケーションはやはり膝を突き合わせたほうがスムーズでした。また、昼はおいしいピザをみんなで頬張りながら、久しぶりにどうでもいい話をしました。

また、業務上の理由で出社している別の部署の同僚がほんの少しいたのですが、たまたま古くから顔馴染みだったこともあり、久しぶりにのんびり話すことができました。こうすることで、自分は一人じゃないんだなと確認できます。

僕の中では、やはり会社で仕事をすることが、自分には合っているんだなと確認できた日になりました。また、自分にとって、家は仕事をする場ではなくて、Offになるための場所であることも、同時に理解を深めることになりました。

良いことももちろんある

在宅勤務になって、全てが悪くなったわけではありません。良いこともありました。

  • 保育園の送り迎えがすぐできる オンコールがあっても対応しやすい
  • 家で過ごす時間が長くなる
  • 通勤ラッシュから解放される

最も効果を感じるのは、保育園の送り迎えです。非常に楽です。保育園からのオンコールも1回あったのですが、すぐに迎えに行けて助かっています。もちろん、通勤時間がなくなり、家で過ごす時間も長くなります。そのため、家事や息子と遊ぶ時間も長めに取ることができます。通勤ラッシュから解放されることも、良いことです。

僕の在宅勤務の捉え方について

僕には、完全在宅勤務は向きませんでした。主に、精神的な理由で。コロナウイルス騒ぎが、それを加速させていることもまた事実です。

少なくとも、在宅勤務をする時には、あらかじめリアルで顔を合わせている同士で人となりが分かっていることが大切であること。そして、会社で仕事をするときとは違い、体を動かしたり1日の時間をよりしっかり管理するなど、意識的に動かないといけないことが増えるようです。

ただ、一時的な在宅勤務ができる仕組みはあったほうが良いと考えます。というのも、家庭の事情や、台風をはじめとした交通障害の理由で、出社が満足にできない状況が起こりうるからです。その時に、無理に出社せず、家で仕事を続行することができれば、柔軟な働き方ができます。幸い、勤務先ではこの仕組みで運用されています。

もちろん、完全に在宅勤務に移行したら仕事をしやすいと感じる、という人もいるかもしれません。これはこれで、その人にとって新しい発見だったのではと思います。あくまで、僕は完全在宅勤務は精神的に持たない、そう感じただけです。

まずは乗り切っていきましょう

所属するチームをはじめ、在宅勤務でもうまく気晴らしができる仕組みを、そしてチームの士気を保てる方法を考えて実践する動きが出てきました。オンライン飲み会をやっているチームもあると聞きます。ただ単に、みんなで同じことをしているだけなのかもしれませんが、それを通じて一人ではないということを知られるだけでも大変有意義な時間であると、僕は理解しています。一人で乗り切るには、あまりに大変な状況です。

コロナウイルス騒ぎが早く落ち着いて、全てが普段通りに戻ることを、今はただただ祈るばかりです。しかし、状況はますます悪化し、世界的な広がりを見せています。また、僕らのような在宅勤務の選択が取れるIT企業はまだマシで、外食や観光産業は悲劇的な打撃を受けているという報道もたびたび耳にします。

今は、知恵を出しつつ、とにかくこの状況を乗り切る。これに尽きます。

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