僕は、これまでスキー検定 1級を取るまでに、さまざまな方にスキー上達の支援をいただきました。その恩を返そう、いや送っていこうとしたら、スキーインストラクターになるのはどうだろうと考え、スキーの準指導員資格にチャレンジすることにしました。結果は不合格ではありました。ただ、その中で色々な情報を調べてきたのと、プライズテストの受検情報に比べて情報が少ないと僕は感じたので、この後に受検を検討する方や今後の自分に向けて、その記録をここに認めます。

この情報は、僕の視点でスキー準指導員の挑戦で必要となった情報で自分が大事だと思ったものを記録しています。情報は2024-2025シーズンのものであること、そして東京都スキー連盟(以下、東京都連)以外の道府県連では日程や一部内容に違いがありますので、必ず所属する都道府県連の最新情報と照らし合わせ、そちらを優先しながら読み進めていただくようお願いします。

以下の「受検の決断〜2024年末まで」「スケジュールの決定」「養成講習会・レベルアップ講習会受講時」「理論の勉強について」「宿泊・交通について」「受検本番を振り返って」そして「かかったお金(の一部)」に分けて説明します。

TL;DR

とはいえ長過ぎるのでサマリーです。

  • シーズンインまでに全ての日程を抑えよう
  • 班仲間と仲良くなって高め合おう
  • 本番は練習でやってきた以上のことはできない

では、細かい話を書いていきます。

受検の決断〜2024年末まで

ポイント: 東京都連アルマナックを確認しよう・東京都スキー指導者協会のセミナーで情報を得よう

準指導員に挑戦するためには、1級以上を持っていることに加え、スキークラブに所属している必要があります。しかし、僕は1級合格段階ではどこのクラブに所属もしておらず、さらにこの2つ以上の情報を全く知らないところからスタートでした。後で聞くと、だいたいの方は1級受検前からすでにクラブに所属しており、諸先輩方が指導員資格を受検したり既に資格を持っていて、準指導員の受験のイロハについて聞いている方がほとんどでした(なのでそういう人じゃない向けにこの記事を書こうと思い立ちました)。

まず、夏に葛飾区スキー連盟に連絡をとり紹介を受けて、葛飾区内にあるスキークラブに所属するところからスタートでした。続いて、クラブ内の手続きを経て、11月ごろに準指導員の受検と養成講習会の申し込みをセットで行います。ここまでで最低限の準備は完了です。

その後、12月に東京都スキー指導者協会さんにて「検定合格のためのスキー講座」という座学のセミナーがあることを知り、参加しました。ここで、講師の方から、準指導員・指導員資格受検にあたって何が必要か、今シーズンから変わったスキー教程がどう言ったものかを聞くことができました。そして終了後に担当の方から個別の質疑応答をしていただきました。ここで、このあとに記述するスケジュールの計画などでたくさんの情報をいただくことができました。ここに行かなかったら本当に何もわからないまま養成講習会の日を迎えるところでした。後にも東京都スキー指導者協会さんにはお世話になることがたくさんあり、心から感謝しています。

スケジュールの決定

ポイント: 遅くとも年末までには合格発表までの日程を全部押さえよう

12月の東京都スキー指導者協会さんのセミナーで伺ったアドバイスをもとに、たちまち一気にスケジュールを組みました。特に記載がない限り、予定はすべて2025年に入ってから、スキー場は菅平高原スキー場です。

日程 必須? 内容
1/3(金) 任意 自主練習
1/4(土)〜1/5(日) 必須 養成講習会I
1/11(土)〜1/12(日) 任意(単位認定あり) レベルアップ講習会I
1/19(日) 任意 自主練習 (かたしな高原スキー場)
1/25(土)〜1/26(日) 任意 スキークラブの練習会
2/1(土)〜2/2(日) (葛飾区スキー大会・ニューグリンピア津南スキー場)
2/8(土)〜2/9(日) 必須 養成講習会II
2/10(月) 任意 自主練習 (八千穂高原スキー場)
2/15(土)〜2/16(日) 任意(単位認定あり) レベルアップ講習会II
2/22(土)〜2/24(月・祝) 任意 東京都スキー指導者協会「準指導員合格のための特別研究会II」
3/7(金) 任意 自主練習 (白馬五竜スキー場)
3/8(土) 必須 検定日
3/9(日) 必須 合否発表日

まず「養成講習会」は受講必須です。ただ、やむを得ない理由で欠席した場合は「レベルアップ講習会」の受講完了を持って単位が認められるケースがあります。1月は種目の説明と基本的なトレーニングが主体です。2月は種目を仕上げていく段階に入ります。「レベルアップ講習会I」は申し込み期限がこのときは12月14日までで締め切りが早いので気をつけてください。なお、養成講習会はどの都道府県連でもありますが、レベルアップ講習会はないかもしれないので、東京都連以外の方はよく確認をお願いします。

続いて「準指導員合格のための特別研究会」ですが、これは東京都スキー指導者協会さんが企画している合宿でして、日程により3回に分かれています。僕は2回目の3連休を使えるところに参加しました。講師の方も養成講習会で指導される専門員の方が担当されるのも特徴です。また、3日間あると、種目だけでなく基礎トレーニングも織り交ぜながら学びを深められて大変よかったです。

また、クラブでも練習会が行われます。知見をもらえたり、交流を通じて情報を得る機会がありますのでぜひ参加いたしましょう。

最後に、自主練習です。上記の講習会で学んだり指摘されたことを、振り返る時間にいたしましょう。スキー場が違うことがほとんどなのですが、これは僕自身が「様々な斜面や雪質に慣れることで滑りの幅を広める」ことを目的としているためです。菅平高原スキー場は未明に-20度になるほど非常に寒いところで斜面が硬いことが多いのですが、他のスキー場は雪が柔らかかったりしてまたそれは違った学びがあります。

なお、シーズンインは12/1からでして、そこから毎週のようには滑ってはいましたがそれは省略しました。

養成講習会・レベルアップ講習会受講時

ポイント: 3日前に都連のWebサイトを確認・仲間を作ろう・ビデオを撮り合おう

まず、講習会2〜3日前に、東京都連のWebサイトに週末開催される講習会の開催要綱が掲載されます。ここに、班割やタイムテーブル、そして出席登録のしかたが記載されています。これを忘れずに読み、前日に忘れずに出席登録をしましょう。

班は年齢順で構成された、検定合否発表日まで続く、かけがえのない縁(別の経験者の人に聞くとその後も続くそうです)なので、大切にしてください。日に日に、この意味はわかっていただけると思います。僕の所属していた班は、アラフォー組の賑やかな班でした。今年受けた人で、やたら賑やかな班があったなと思っていただいていたら、多分それは僕らです(笑)。自分の滑りを評価してもらったり、逆に評価することで高め合いましょう。それにあたって大切なのが、LINEグループの作成です。これは僕は率先してやりました。これができあがると、後で説明するビデオの交換や、過去問の交換、そして連絡などで役立てることができます。僕らより若い人たちの班でも同様に積極活用されていたようです。

そして、余裕があればやっていただきたいのが、ビデオの撮影です。養成講習会はグループレッスン形式で進むのですが、その時に自分はただ待つのではなくて仲間が滑っているのをひとりひとり撮影していきます。そうしていると、誰かが自然と自分の滑走も撮ってくれるようになります(そのはず)。これは単に自分の滑りを振り返ることができるばかりでなく、専門員の方が指摘したりしている部分が何だったか、そして言われていないことが何だったかを確認できるので大変有益です。なお、東京都スキー指導者協会の合宿はビデオ撮影をしてくれるのでこの必要はありません。ビデオとアイスバーンは嘘をつかない、そして静止画は残酷だと誰かから聞きました(!)。

これらを踏まえて、特に受検された方は何度も聞いたはずですが、学びを「言語化」し理解を深め、そして「自動化」できるほどに自然と動きに表現できるまで練習を続けることになります。言語化ですが、家に帰ってからスキー教程を読みながら「こういうことだったのか」と振り返り、ノートに取ると結構効果的なのでお勧めです。僕のものの一部をお見せします。

あと、ランチの時間が割と重要です。11時ごろに取るか、13時過ぎに取るかを事前に班仲間と専門員の方と調整しておくと良いです。12時に一度に10人程度で食べられるところはまずないです。

理論の勉強について

ポイント: 東京都連は過去問を数年分やること

理論(筆記試験)の勉強ですが、東京都連は他の道府県連に比べてカッチリと問題が作られているように感じます。なので、過去問をしっかり数年分、集められるだけやっていただけたらと思います。僕は、7年分を譲っていただいたので、それを問題ごとにカテゴリ表を作りさらにスクラップブックに仕分けて、集中的に解くことで効率よく理解することができました。このテクニックは、相方が息子の中学受験の指導で使う勉強テクニックのひとつでもあります。

宿泊・交通について

ポイント: 時間に余裕を持って行動

宿泊ですが、普段は上田市内のビジネスホテルに宿泊していました。移動の手間こそありますが、麓は夕飯を食べるところがたくさんあるのと、ホテルも広いのでよいです。ただ、多くの班仲間は菅平高原スキー場周辺で宿泊していたようでした。ただ、僕もクラブのイベント、東京都スキー指導者協会のイベント、そして検定日だけは菅平高原スキー場周辺で宿泊していました。特に検定日はリゾートセンターで理論の試験と合否発表があるため、リゾートセンター近くのホテルを取られることをお勧めします。

交通ですが、僕は当日朝7:45目標で裏太郎の駐車場(ファミリーゲレンデの前)までいつも行っていました。裏太郎の駐車場を選んだのは、集合場所のシーハイルゲレンデの麓に近いためです。これに間に合わせようとすると、関越道 新座料金所を朝5時までに通過が目標となります。葛飾区の僕の家から出ようとする場合、3:30くらいの起床になります。なかなか朝が早いですね。がんばりましょう。僕は前泊できるほど時間に余裕がありませんでした。ちなみに、裏太郎の駐車場は朝8時を過ぎると停められない可能性があるので気をつけてください。また、菅平まで登る道は凍ってスリップの可能性も少なくないため十分気をつけて移動されてください。

リフト券は、できればシーズン券を買われることをお勧めします。僕は障害者料金が使えるので毎度買っていたのですが、これは正直失敗でした。裏太郎のリフト券売り場が結構並ぶのです。一度、タイヤ規制の渋滞にハマって遅刻ギリギリになり、冷や汗をかいたことがあります。値段の問題より時間の問題を気にした方がいいことが学びでした。

こういったことは、班仲間からアドバイスをもらえることが多々あるので、特に経験者からランチの時などに聞いておきましょう。

受検本番を振り返って

ポイント: 練習どおりやろう

検定の設定斜面は次のとおりでした。

  • プルークボーゲン: 天狗ゲレンデ 林側 下部
  • シュテムターンからベーシックパラレルターンへの展開: 白金ゲレンデ リフト線沿い 中〜下部
  • 総合滑降 リズム変化: シーハイルゲレンデ リフト線沿い 中〜下部
  • パラレルターン小回り 不整地(コブとナチュラルバーン): シーハイルゲレンデ 林側 下部
  • プルークボーゲンからベーシックパラレルターンへの展開: 白金ゲレンデ リフト線沿い 中〜下部
  • 横滑りのショートリズムからベーシックパラレルターン小回りへの展開: シーハイルゲレンデ リフト線沿い 中〜下部

前日はバキバキに斜面が凍っていた(特にシーハイル)のですが、菅平高原スキー場の圧雪担当の方の素晴らしい整備により、嘘のような滑りやすい斜面になっていました。ありがとうございました。

結果は、はじめに述べたとおり、今回は不合格でした。結果は次のとおりです。

スキーの指導者となる時に必ずやるプルークボーゲンに、最後まで苦手意識が残りました。特に、自分が滑っている時に余裕がありませんでした。これでは、生徒さんに指導どころではありません。まだまだ自分には鍛錬が必要だなと感じずにはいられませんでした。横滑りも、体が硬くて股関節をフォールラインに向けるような動きがうまく行っていませんでした。引き続き、オフシーズンも体を作っていこうと思います。

一方で、実践系種目は自信を持って臨めました。総合滑降リズム変化も予定通り刻めましたし、不整地小回り(コブ)も難なく終えることができました。なお、不整地小回りは2レーンあり、1つはコブ、もう1つはナチュラルバーンでした。僕の周りの人は全てコブを選んでいたように見えました。

なお、理論は問題なく問題を解き終えることができました(画像には見えませんが⚪︎でした)。

かかったお金(の一部)

ポイント: 夏は貯金しよう

受検にあたってどのくらい費用がかったのか、概算費用を出してみました。リフト券は計算しやすいようにシーズン券としました。また、ガソリン代は僕の燃費の比較的良いレギュラー車のため、通常はこれ以上かかると思っていただいた方がいいです。また、食費や洗車、そして肝心のスキーのマテリアルの料金はここには含まれていません。その上でご覧ください。

項目 必須? 金額
準指導員 受検・養成講習会 2回セット 必須 ¥57,000
レベルアップ講習会 (2回分) 任意 ¥18,000 * 2 = ¥36,000
東京都スキー指導者協会「準指導員合格のための特別研究会II」(2泊の宿泊費用込) 任意 ¥45,500
菅平高原スキー場 シーズン券 早割 ほぼ必須 ¥61,000
高速道路 6往復 (速旅 2日券と想定) ほぼ必須 ¥8,700 * 6 = ¥52,200
ガソリン 6往復 (僕のカローラツーリングの実績) ほぼ必須 ¥6,200(36.5L * ¥172) * 6 = ¥37,200
宿泊費 ほぼ必須 ¥10,000 * 5 = ¥50,000
小計 ¥338,900

僕のペースだと、海外旅行に行けるほどの金額にはなります。安くするとしたら、受ける講習を減らす、リフト券を株主優待や宿で出している割引チケットを使うなどの工夫をしてみると良いかもしれません。でも、練習はしたいですよね。わかります。さて、夏は貯金です。

おわりに

振り返ると、班の仲間から色々なコメントやサポートをもらったことが1番の思い出です。おそらく、僕は当初は班の中で誰よりも下手くそで、どうしようもないところからスタートでした。でも、レベルアップ講習会IIの頃からか「見違えるように良くなってきたよ!」と言われて、とても嬉しかったことをよく覚えています。不合格ではあったものの、昨日の自分よりは成長できていたことは何よりもの励みでした。合格した仲間には、良い先生になってもらえたらと願っています。またどこかで会えたら嬉しいです。

また、専門員の方、東京都スキー指導者協会の皆様、そしてクラブの方にさまざまな形でサポートいただきました。どうもありがとうございました。

そして、こうやって好きにスキーをさせてくれた相方と息子にもとても感謝しています。検定前には応援メッセージをくれて、不合格の報にも家族で慰めてくれて、そして来年も挑戦していいよ、と言ってくれて、僕は恵まれているなと思っています。

来シーズンも、また菅平高原スキー場に通う週末、でしょうか。怪我・事故なく過ごさせていただきありがとうございました。