今年、夏に会社を変わってもっとも大きな変化。それは、業務内容が実務からマネージメントへシフトしたことでしょうか。
スタッフの取りまとめはもちろん、各地へ赴き様々な方との情報交換、そして会社の方向を考える。責任は重くなりましたが、その半面自由が増えた今日この頃です。

最近、NHK音楽コンクール(高校の部)で金賞を取った学校のドキュメンタリーをたまたま見ました。
僕も中学時代、とある合唱強豪校にいたときがありました。もちろん、NHK音楽コンクールで金賞を取ったこともあります。そういう学校ですから、校内でクラス対抗音楽祭というのがあり、わざわざ市内の大ホールに移動してやるほどの賑わいでした。
1年生のとき、たぶん立候補だったと思いますがそのイベントで指揮者をやることになりました。

合唱は「チームプレー」の原始的な形です。
パートは4パート(女声:ソプラノ・女声:アルト・男声:テノール・男声:ベース)と、中学生がやるには本格的なパート分けです。なかなかのもんでしょう!って、これはまとめるのが大変だということも意味しています。それに加え、課題曲・自由曲と2曲歌うのですが、自由曲には「ave verum corpus」という日本語ではない中学生にとっては(高校生でも大変な)難曲を選択したのでした(※1)。
スタートアップの際、全クラス(確か10は超えていた)の中で一番ひどいとの先生の酷評。その責任を取らされるのは、そう、指揮者の僕であります。その先生は女性でしたが、校内髄一の「厳しい」先生でして、その追及は中学生の自分にとってはそれはそれは厳しいものでした。その当時の授業後は、口を聞いてくれなかったことを今でも鮮明に覚えています。

しかーし、ここではいはいと引き下がる訳には行きません。
何をしたか。
一つ目。手始めに、学級便りの特別版を作ったんですね。内容は、今の僕が表現すると「問題点の明確化」です。全部で週間として4回発行しました(※2)。この件、後で聞くと先生は「1回で終わるだろうと思ったのだけれど、2回以上続いたから驚いたね。これは本気だと。」と話していた記憶があります。
二つ目。問題点の徹底追及です。今では確認することができないのですが、確か自分用のスコアに「うまくいかないポイント」と「どううまくいっていないのか」を書き綴っていました。そして「特訓」タイムとなる音楽の授業が終わると、たっぷりチェックが入りますから、いつの間にかスコアの隙間が無くなるくらいに注記を入れていた気がします。そして、放課後にどこよりも気合を入れて悪いところを重点的につぶしていきました。

順調にレベルが上がり「ひょっとしたら金賞いけるか!?」位のレベルになりました。少なくても、自分はそう思っていました。先生にも口をきいてもらえるようになったし!と。

さて、結果は…。金賞でもなく、銀賞でもなく、何もなし。
悔しかった。
悪いことに、その後自身を失って何をするにしても気が抜けてしまったのであります。頭は真っ白、そして「何でなんだ」という思いが渦巻くのです。
大会後、一人一人レポートを書くことになっていたのですが、クラスのほぼすべてのメンバーが僕のことについて触れていたそうです。
ここまで「モチベーション」を高めて進められたプロジェクトというのは、仕事でやるのにもそう簡単にできるわけではありません。それなのにもかかわらず、自分のことにとらわれすぎた(※4)。
その後、高校生になるころまで、この思いを引っ張り続けるのでした。

今思えば、失敗は受賞できなかったことではなく、信頼を勝ち取れたのにもかかわらず次に結びつく行動ができなかったこと。もっと言えば、ポジティブな面に目を向けられなかった。これに尽きます。

僕に限らず、自分にとっての「辛い思い出」は、今の自分に通ずるきわめて貴重な体験のはずです。辛いと思えるほど、想いが強いのですから。
そして、それを振り返るきっかけは「人を許して自分を許す」ことから始まる、はずです。
今だからこそ、こうやって振り返ることができるのかもしれません。半年前では、このことは自分の記憶から消したい、ただの「辛い思い出」でしかなかったことなのですけどね。

メリークリスマス!よい夜を。
今の僕、そしてマネージャとして生きる僕に通じる、ひとつのきっかけのお話でした。
僕は明石家サンタを見終わったので寝ます。

※1 自由曲の選択の際、わざわざ「一番難しい曲を!」なんて言って選択した記憶があります。その当時から僕は無謀、かつ茨の道を進みたがる性分だったようです(笑)。
※2 東芝のRUPOで作った書類(※3)を、Windows 98が今でも動くマシンで変換してみてみました。えらい時間かかった…。文を見ると、今じゃとても使えない強い調子の言葉が多いなー、若いなー自分と思う内容でした。この内容をもっと「いいプレッシャーを与える」豊かな表現に変えていたら、結果が違っていたのか、と考えるのでした。
※3 しかし、10年もたったフロッピーってまだ読めるものですね。次は読めるかわからないので、データを全部HDDへ吸い上げておきました。
※4 本番の生録テープが残っていたので、久々聞いてみました。今聞くと、他クラスに比べ確かにパフォーマンスが悪いことがわかります。技術ばかりで、豊かさに欠けているのです。そして、練習に集中しすぎたせいで、本番に向けての精神管理が行き届いていなかったのです。今になって、わかったことです。