■大卒内定率がかなり低いらしい

社説:大卒内定率68.8% 大寒波で春が見えない – 毎日jp(毎日新聞)
図録▽就職内定率の推移(大卒)- 社会実情データ図録

ここ2〜3年、大卒内定率ががくんと下がっている報道をよく聞きます。実際、2009年度以降から下がり基調です。ちょっと前まで売り手市場、さらに僕らが働き出した2000年前半は就職氷河期と言われ内定率が低い時代でありました。

そんな中、中小企業に勤めているともうちょっと人がいてもいいなと考えますが、それではがさっと人を取るのかというと取りません。僕が生業としているコンピュータエンジニアというのは、ただ単に人を増やせばいいのではなく、コンピュータの知識を獲得し商品に形作る力が無くてはなりません。若い人に教えることができない訳ではありませんが、全くプログラムが書けない人に教える時間はありません。Web関連開発であれば、小さくても1本でもいいですから個人でサービスをあげたことがある力が欲しいのが現場の希望です。

■海外からの雇用が増えているようだ

ここ最近、内定率が下がっている割には、海外から人材を迎える事例が増えているようです。

電機各社 新卒採用で外国人増 NHKニュース
増大し始めた外国人新卒採用。中国人は7万3000人弱 – 東洋経済オンライン

NHK ニュースによると、新興国で展開するにあたって現地に精通した人を雇おうという考えです。それ以上に重たい内容が、東洋経済の記事にある『優秀な人材を確保するため』という理由です。能力が高ければ国籍はあまり気にしませんという企業の姿勢が見えています。

以前、ベトナムへ足を運んだ際に感じたのは、大学へ進学して勉強している学生の方々は一所懸命に勉強しているのです。また、一例としてコンピュータサイエンスの勉強をする場合は日本のように母国語の技術書が充実している訳ではないので、必然的に同時に英語の勉強も進んでいます。既に働いている自分でさえ危機感を持ちました。「食べるために」そして「成長の最前線に立ちたい」という意識の強さが、そうさせているのでしょう。

■大学へ行く意味があるのか

では、働いて食べるにあたって大学へ行く意味があるのか?と考えます。僕はありだと考えますが、それは条件付きです。ぱっと浮かぶのは次の3つ。

  • 興味のある分野の研究に打ち込みたい
  • 専門知識を得て社会に出たい
  • とにかく学歴が必要 (特に医者・公務員など)

少なくても、のんびりとモラトリアムの時間として過ごす場ではないことは確かです。そんなことをしていれば、先のニュースのように外国の新卒、特にアジア各国からやってくる成長に貪欲な同世代にどんどん仕事を持って行かれることでしょう。

また、就職活動は3年目から始めますが、勉強よりも就活のほうが忙しそうな学生さんも見ます。就職フェアに参加して、会社説明会に行って、OB & OG 訪問をして、エントリーシート(ES)を書いて、何社も面接して…と就職するために活動しているはずが、いつの間にか働き出してから必要な力をつける機会を逸しているというのは、何と言う矛盾でしょうか。文系ならまだしも、理系だと卒論が待っている学生さんは多いはずですから、さらにきついですよね。

■先に働けや

自分自身と比べるのは極端かもしれませんが、そんなことをしているのであれば高卒で働けと思うのです。20歳前後というのは、体力的にどんなに無理をしてもすぐに回復してしまいますし(※1)、ものすごく頭が回転して物事を吸収しやすい年頃です。今の礎は20代前半につけたと自信を持って言えます。アラサーになった今、同じようにみっちり働いて、ぎっしりと知識を得るのはちょっと難しいです。そんな時期を大学で浪費するのは、もったいなくてもったいなくて見てられません。

いや、お前はたまたま運がよくて、さらにプログラムが書けただけだろう!という人もいるでしょうから、百歩譲って言うと、専門知識を必要とされるアルバイトをすればいいんじゃないかと思います(※2)。例えば、プログラマのバイトとして学生を雇い入れる会社は探せばいくつもありますし、そうして力をつけた人も見てきました。商品作りを通して技術力を養いながら、社会人としての身構えを実地で感じ、そして報酬(=お金)をいただくというのは、ありがたい話です。

働くと、自分の世代とは違う…それも年上ばかりのコミュニティに飛び込むことになりますので、視野が変わってくるはずです。社会というのはこれほどまでに多様で、厳しく、そして生きる手応えがあるのかと日々感じることができます。僕の20代前半はそう言う時間でした。

コンピュータエンジニアほど専門知識を要しない仕事でもいいかとは思いますが、専門的であればあるほど自分の仕事の責任が重くなりやすいので、より短期間で実力を高めることができるはずです。特に、コンピュータエンジニアは当たり外れや会社の相性が大きく出るので、若いときに実績があるのは強力な武器になります。

■後でも勉強できる

ちょっと大変ですが、後で勉強するチャンスもあります。これは、今年の春以降どうなるか身を持って感じて行こうと考えています。少なくても、勉強するモティベーションは高校を出た10年ほど前と今とでは全く違うことは間違いありません。学費も自腹ですから、覚悟も違いますしね。

もうここまでくると覚悟の強さの違いです。

活きのいい中小企業、名の知れた大企業(の一部)で勤めようと希望すればするほど(※3)、「即戦力」として活躍するための実力をつけておかなければならない。そうしなければ、アジア各国からやってくる同世代にどんどんポジションをもって行かれ、何の仕事も無い状況になることは想像に難くない、そう言う時代になったということでしょうか。少なくても、モラトリアムとしての大学進学という選択肢は無いのです。

もちろん、今、現役で働いている僕らも、このことは忘れてはならないのは言うまでもありません。

※1 23歳の頃に倒れたりしましたが、それは肉体の疲労ばかりでなく精神的なプレッシャーも重なったことが原因です。精神疲労は寝ただけでは回復できませんから気をつけてください。

※2 二部を設ける大学が減ったので、勤労学生はちょっと難しいかもしれません。

※3 研究職や起業となるとまた違うと思いますが、どちらにしても中途半端で続けることはできません。

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