催し

東京電力の株主総会とは何だったのか

前にもこのブログでお話ししましたが、僕は震災直後に東京電力の株式を購入しました。個人投資家がずいぶんと買い付けに走っていたようですが、僕はあくまで自分の仕事を支えている電力について当事者意識を持ちつづけたいという意図から、購入に踏み切りました。

そして、多くの投資関係者、いや、世間が注目していたであろう株主総会へ足を運ぶ権利も生まれます。いかないという選択肢は、僕にはありませんでした。時代の1ページに残るイベントになるであろうこの機会を、どうにかこの目で見ておきたいという気持ちは、押さえようが無かったのです。

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■僕は悔しい

感想から書きます。僕は、この株主総会に参加して、とても悔しい想いだけが残りました。

確かに、この状況を招いた経営陣には極めて重い責任があり、補償に対する引当金が全く積まれていない決算書を承認した監査結果について強い疑念が出るのは当然です。しかし、あの株主総会の場で、経営陣を必要以上に責めることが本当によかったことなのでしょうか。あの場で何かをやることで、大きく世界が動くとでも思えるのでしょうか。

動議を発すること自体は否定しません。でも、議長を変えるにしても、誰に変えたかったのでしょうか。代打で議長をやる適任者があの場にいたのかというと、恐らく多くの人はいないと思っていたでしょう。その上で、動議の最中に自分たちの反原発に対する想いを述べ始められても、株主として取締役からの報告を聞きに来た僕らにはその準備は全くありません。

質疑についてもそうです。原発事故直前まで安定していた株価と配当が一瞬にしてパーになる、それに対して怒りが沸くのは当然です。でも、その議論よりも、原発事故に対する経営責任について、経営者の責任を明らかに逸脱した要求や罵倒にも近い発言を投げつけることが、原発事故問題の解決に至るのでしょうか。自分や身内の経歴自慢なんてもってのほか。似たような批判で怒られ慣れてしまった経営陣に、その言葉は本当に響くとは思えません。

東京電力の個人株主の多くが、今の状況を少しでも改善することに希望をつなぎ、新しい未来を形作ることに興味・関心を抱いていれば、6時間あまりの時間がこんなことに費やされるなんてあるわけがないのです。

■僕が東電に求めるのはあくまで安定した電力供給だ

コンピュータエンジニアで生計を立てる僕は、東京電力の極めて安定した電力供給についてはこれまでずっと感謝し続けてきました。海外で、ここまで安定して電力が供給される国というのは、実はそれほど無いのです(『欧米の制度改革とその効果及び評価 – 資源エネルギー庁(平成17年)』)。米国でUPS(無停電電源装置、いわゆる非常用バッテリ)の企業があれほど儲かっているのは、米国の電力供給が日本ほどには安定していない事情もあるからです。

しかし、原発事故を機に、電力供給の安定性が揺らいでいます。初春の計画停電、そして現在行われているぎりぎりの節電努力による停電回避。水道の蛇口をひねれば水が出てきたように、コンセントにプラグを差せば当たり前のように電気が供給されたのは、過去の話です。

では、今後どうしていけばいいのか。ここを考えなければならないと、日本の未来はありません。

今、原発の代わりに火力発電のウェイトが高まっていますが、火力発電にもリスクがあります。二酸化炭素ももちろんですが、最も怖いのが中東情勢です。中東で何かが起きると、遅かれ早かれ燃料費が高騰し、最終的には枯渇します。最悪、火力も原発も止まりアルメニアのように電気が無く凍える冬を過ごすことになるのかもしれません。これはオーバーでしょうか。でも、原発事故が実際に発生するかどうかなんて、専門外の人たちは現在ほどは現実的に想定したことは過去に無かったはずです。

■電力の供給は全方位で考えられる

電力供給の問題に立ち向かうには、発電ばかりが観点になる訳ではありません。

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まず、需要側といえば節電。関東の皆さんは、本当に全力で節電に取り組んでいます。何とか冷やせているエアコン、日中は蛍光灯さえ消された電車、ピークシフトで電源ケーブルを抜いたノートパソコン。何とかがんばれてますよね。これ、ずっと続けるとなると、ぞっとしますでしょうか。せめて休日シフトが無くなればとは思っていますが、これを機に積極的にピークシフトは強く意識する必要があると僕は考えています。

続いて、配電。スマートグリッドという言葉、聞かれたことがある方も増えていると思います。自家発電と電力会社からの供給をハイブリッドに使い分けるという理解が浸透しています。ただ、これ以外にも考え方があります。米国では、デマンドレスポンスと言って、生死に関わる物は別として、それ以外の電力を柔軟に計画停電できるネットワークが組まれています。この事実は、東京電力自身が2009年に総務省にて発表されています(『日本型スマートグリッドに向けて – 東京電力(平成21年)』)。

最後に、発電。自然エネルギーの活用が叫ばれていますが、太陽光発電はどうしても出力が安定しないことと、先の東電の資料ではピークパワーが必要な夏の需要に必ずしも応えられるものではないと記されています(11ページ)。火力も今はいいが世界情勢を鑑みたリスクヘッジが必要になることは間違いありません。そうすると、原発は直ちに停止できるものなのでしょうか、という議論もする必要があります。

同時に、需要側の自己防衛も本格的に検討を始める必要があります。今は太陽光発電がメジャーですが、都市ガスを使った燃料電池、ピークシフトを可能にする蓄電池システムなど、選択肢が増えてきています。

つらつらと書いてきましたが、要は電力供給の安定には様々な要素を吟味しなければならない、ことは間違いありません。

■東電の立場は苦しいのは自明 でも原発だけが問題なのではない

電力供給のハイブリッド化が進むと、東電の経営基盤に大きなパラダイムシフトが起こります。自分たちが形成してきた『聖域』に、他業種を踏み込ませることを認めることになるのです。NTTが引っ張った光ファイバーの上に、KDDIとソフトバンクが乗ってくるように、です。自動車会社が作ったプラグインハイブリッド車が蓄電池を兼ね、ガス会社が作った燃料電池発電システムが稼働する家庭を、東電が認めるでしょうか。

先の資料の18ページ(最終ページ)に、東電自身が「電力供給のスマート化は進展している」と言及しています。要は、僕らを信じろと、あの時は言っていたのです。でも、現状はそうではなくなりました。

ここで、東電の経営層がどう考えているか、僕は質問したかったんですが最後まで機会を得ることは出来ませんでした。ずばっと、デマンドレスポンスと火力の供給リスクについてだけでも聞けば、この話題の主要なポイントは押さえられると思っていましたが、そんな機会など得られるはずも無く。

■未来は現役世代が自分自身で責任もって作ろう

東電の個人株主の方は、恐らく老後の資金を安定運用するために買っていたのだろうと思います。でも、原発事故を機に、いや、今後起こるべくして起こった電力供給の安定性に対する課題がここでわっと吹き上がりました。しかし、総会でそのことを気にして発言している株主はごく少数なのです。

しかし、電気が無くて経済活動が行えなくなるのは、他でもなく僕ら現役世代です。その僕らが電力供給に関心を持つことが、未来の安定供給を担保するために必要な第一歩であると考えます。それは、原発の白黒、自然エネルギーの積極導入だけではない、一人一人がもっと幅広い興味関心と、その先にある意見を持つことであることを、僕は疑いません。それが世論となり、東電や国を動かすのではと期待しています。

製造業では、既に海外シフトが始まっています。このままだと、日本に仕事は無くなるかもしれません。そこまで追いつめられているのです。少なくても、経営陣を責め続けるだけで電力の安定供給が揺らいだ現実が解決するはずが無いのです。

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※参考文献

※追伸

  • IR担当に後日直接聞くのはいいですよ、と総会で言ってもらえましたので、もう少しまとめてから聞いてみようと思います。
  • 詳細な様子については今回は記事の趣旨と合致しないのであまり書いてませんが、聞きたい人がいれば個別にします。少なくても、新聞報道とはまた違った現実を知っていただけるはずです。

2010年の師走は催しづくし! – 立ち位置を見い出せ

今年の年末は、例年にないイベントづくしの時期となりました。ワイワイガヤガヤ、年末ならではの楽しみですよね。

■これだけイベントがあったけど…

参加したイベントは4つあります。

ただ、本当は行きたかったのだけれど、参加を断念したイベントもいくつか。

  • XBRL勉強会 #16
  • 自然言語処理研究に関わる人の忘年会

この12月は体調を3回も崩してしまい、全てに参加することができませんでした。今年は仕事とMBA受験を平行して進めていたせいでしょうか、ほっとしたこの時期に一気に体調不良が出てしまったのかなと反省しております。体を鍛えて、体調管理を万全に整えた上でこれですから、全部行けなかったことに少し悔しささえあります。

(出られなかったイベントの幹事さん、すいませんでした…。)

■空前のイベントブーム

Twitter 上を始め、多くのところで「最近は勉強会・イベントが非常に多いよね」という話を聞きます。IT系の仕事に携わる人が集う催し自体はずいぶん前からありますが、イベント予約システムである atnd の RSS を見ていると、同じ日にいくつものイベントがあることがよくわかり、なるほどと頷くばかりです。

これだけイベントが催されていますと、このブログをご覧頂いている方も少なくても一つは足を運ばれていると思います。でもなぜ、こんなにイベントが催されているのでしょうか。

■会社内のコミュニティだけでは限界がある

僕は、IT系ベンチャー企業というと聞こえがいいですが、いわゆる中小企業に勤めている身です。人とつながれるにしても社内の数十人と取引先程度、新しいことを始めるにしても情報収集する範囲に限度があります。大企業ですと、プロジェクトが変わる度に新しい人に出会えますし、情報収集もそれぞれの専門家が割り当てられていますから余り苦労することもありません。

そこで、社外の有志や、特定の企業が手弁当で催しているイベントに参加することで、より自分の交流範囲や知見を広めて行こうと考えて参加するようにしています。実際、催しは似たようなことを考えて足を運ぶ人がたくさんいらしていて、行く度に感化されるものがたくさんあります。その中で、中小企業に所属されている方もさることながら、個人で独立して活動されている方ともよく出会います。存在感も後者の方が強い気がします。

こんな形で考えている人が増えているのかなと想像しています。

■そして自分の身を立てる

イベントはとても楽しいです。当初、社外のイベントに参加し始めた頃(「続・わらしべ長者理論‐5つの実践」もご覧ください)は多くの方と出会ってワイガヤすることが中心でした。しかし、その考えも今年になって変化してきました。

僕の現実は、生き馬の目を抜くようなITビジネスの厳しい環境から逃れることはできず、何らかしらの形で自分の身を立てなければなりません。世間では人材情報サイトをはじめとして求められる人材はああだこうだと喧伝されています。そんな中、仕事を通じて人様に貢献するにあたって自分がどのように行動できるのか。これを自分一人で導くことは極めて難しい課題です。

そこで、様々な人との交流を通じて相対的に自分の立ち位置を推し量るようにしています。物事を成し遂げるにあたって、1つの能力だけで進められることは大変稀です。また、突出した1つの能力を勝ち得るのもなかなか難しいものがあります。その中で、数ある能力をどう掛け合わせれば自分の立ち位置があるのか、日々確認と調整を続けるのです。その能力は、もちろん多くの人が知るもの…例えばプログラミングの能力というものもあるでしょうし、そもそも能力と人が認定される前に自分で発見できるものもあるかもしれません。お世話になった方が書かれた blog 記事「ウォーズマン理論 – 一匹狼の作法 〜 不入虎穴 焉得虎子 〜」を読んでいてよりそれを強く確信しました。

これは決して何でも屋になるという訳ではなく、人と違う「何ができます」を明確にできる一つの手法であるとも思っています。言い換えれば「差別化」です。

■参加者でもいいけど幹事はもっといいよ

イベントは先ずは参加することに意義があります。もし、余裕があったら幹事もやってみてください。幹事といっても一人でやるのではなく、既に幹事長になっている人のヘルプでもいいのです。イベントが、また違った視点…それも広く見渡すことができます。僕は昨年に続いて今年も1981忘年会の幹事団の1人として動きましたが、最中は慌ただしい時間になりつつもイベントそのものをより幅広く楽しむことができるのは、何事にも代え難い楽しみです。

ただ、一つ勘違いはしないでほしいのは、幹事になっていたとしてもイベント内で目立てる人になれるかというとそれは違うということです。もともと yusukebe や amachang のように既に知名度があったり、その場を一気にもって行けるようなキャラ… Facebook 忘年会でのささくれさんのような強いインパクトがあればこそ多くの人のアテンションを引けるのです。最近「幹事力をフルに発揮するためのわたしの10か条 – Navier-Stokes」という blog 記事を読みましたが、この裏方としてどう活躍するかという考え方に僕は強く共感しています。

■固くならない でも目的は大事

イベントに出席するにあたり、遠慮したり固くなることは全くないと思います。ただ、1つでもいいから目的をもって参加すればとても有意義な時間になるはずです。

来年4月からは大学院に通うことになり、イベントの参加自体が難しくなります。ですから、3月までの間にできる限り積極的に参加を続けようと考えています。もし、イベント会場で僕を見かけたら、いろいろお話を聞かせてください。よろしくお願いします。

イベントの幹事さん、出会った皆さん、どうもありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。

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hbstudy#18 で GPGPU サーバの選び方についてLTしました

11日は、株式会社ハートビーツさんが主催する 「hbstudy」 のLTにて、『写真で見るGPGPUサーバの選び方』を発表してきました。

■資料の補足

最近、グラフィックボードをベクトル型コンピュータのように活用するGPGPUという言葉が聞かれるようになりました。もともとGPUは3D描画を支援するハードウェアとして、主にゲーマーの方々に普及していました。3Dは単純な繰り返しの計算が非常に多いのですが、これは物理演算や類似検索を行う時も同じ。そこで、 CUDA などのAPIの整備とともにGPUを安価なベクトル型計算機として用いることが盛り上がっているようです。

さて、最近のCPUで100Wを超えるTDPになるものはハイエンドのものばかりですが、GPUはミドルレンジも100W台のTDPであり、結構な電力量と発熱量があります。そのため、ただ単にPCI Expressの拡張スロットに挿そうとしても、すんなり行かないことは珍しくありません。

そこで、私が GPGPU のシステムを構築する際にいろいろ悩んだ部分の一部をLTにまとめて、 GPU はどういうものがあって、サーバはどういう構造がある、だからこういう点に気をつけて機材を選んでみてください!という発表をしてみました。 GPGPU を始めてみたいけど、どういったサーバを用意すればいいのだろうとか、 1U/2U サーバでどうやったら GPU は搭載できるのだろうか検討してみたいという方の力になれば幸いです。

ちなみに、大規模かつハイエンドの GPGPU コンピューティングを行う場合はこの資料では対応しきれないもっとディープな話がたくさんあります。例えば、科学計算のクラスタや、レンダーファームの構築を行う場合は、この内容だけでは対応しきれません。その際、設計する方は、データセンターのファシリティからアプリケーションの実装の癖まで、しっかり垂直統合して考えて行くことが求められます。

■頂いたお話

GPGPU のプログラミングができるエンジニアはどれくらいいるのか?」。根本的な問題を指摘されてます…。本格的にやろうとするとバッドノウハウがいろいろありなかなか難しいのですが、 NVIDIA のこの2〜3年くらいに出た GPU (GeForce 9800とかで十分)を搭載したマシンで単に CUDA の API を叩く…例えば自然言語処理でよく用いられる TF/IDF を求める計算を行ったりすると、その威力を身近に感じることができるはずです。また、いい例かは悩みますが『Cracking Passwords In The Cloud: Amazon’s New EC2 GPU Instances ? stacksmashing.net』も GPGPU を要領よく使った例の一つです。

最近の GPU は、ストリームプロセッサ(計算部分)数が安いものでも 100 個程度、ミドルグレードなら 400 個以上あります。単純比較はできませんが、 Core i5 の同時4スレッドなんてのは「屁でもない」パフォーマンスを叩き出します。取り急ぎ始めてみる場合は、外部電源端子接続不要な GeForce の 1万円台のものをポンと買ってきてちょちょいと取り付けるのが一番手軽だと思います。

■勉強会の様子について

今回はライブドアの伊勢さんによる『インフラエンジニアに一言』がメインセッションでした。インフラに関する特殊な技術を解説するという形ではなく、どちらかというとこの20年くらい、伊勢さんの経歴をなぞりながらテクノロジーがどう遷移しているか、おさらいをするようなセッションだったのが印象的です。3Dの話もあったのですが、その際にレンダーファームの話題もあがっており、LTの際にこんなレベルの話をしていいのかとちょっと悩みました(苦笑)。

LTのセッションは8名もの登壇者がおり、僕は1人目立ったのですが、持ち時間5分ギリギリでした。皆さんも5分を目一杯使って、様々なパフォーマンス(あえてプレゼンとは申しません!)を繰り広げられていました。LTはメインセッション登壇に比べてずいぶんと敷居が低いですし、簡単に登壇申し込みできる場合が多いので、皆さんもぜひ挑戦してみてください。5分に凝縮して話すのは、意外に知恵がいりますよ!

あと、いちびりな方へもう一言。100人に名刺交換をするより、1回のLTのほうが、自分の存在を広く伝えやすいです。

■最後に

はじめての参加でしたが、ハートビーツの皆様に大変お世話になりました。また、セッティングおつかれさまです。どうもありがとうございました。

Togetter – 「hbstudy#18 「インフラエンジニアに一言」 ライブドア 伊勢 幸一さん」
Togetter – 「hbstudy#18 LT~懇親会」

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bpstudy#38 で VMware HA の中小企業での導入事例を紹介しました

株式会社ビープラウドさんが主催する勉強会 “bpstudy” のLTで『VMwareで手っ取り早く社内システムをHAサーバ化してみました』を発表してきました。

■ポイント

今回の発表のポイントは2点あり、ひとつは「HA構成が楽に組める」、もうひとつは「中小企業でも業務別に細かくサーバを立てられる」ことです。

先ず一点目のHAですが、 VMware vSphere をお金を出して買う最大のメリットはここではないかと考えています。シングルサーバで仮想化するなら、今回の本発表で長谷川さんが解説されたKVMをはじめとした様々な無償のものが選択できます。 VMware でさえもハイパーバイザーだけなら無償です。ただ、1台で運用していれば、サーバ本体が故障すると全ての仮想サーバも共倒れです。物理サーバ単独で運用しているより被害が大きくなることさえあるかもしれません。そこを、機材を冗長化することで、再起動こそ挟むもののすぐに業務が復帰できるHA構成を全ての仮想サーバに対して施すことができるのは、管理をしている現場の人間にとってこれほど業務的・精神的に楽なものはありません。

そして僕が最も強くつたえたかったことは、二点目の中小企業におけるプライベートクラウドの可能性についてです。これまで仮想化を売り込むベンダーさんは「大量にあるサーバを少数のサーバにまとめられるからTCO削減できてウマー」を中心に提案されていました(例:『日本HP HP ProLiant VMware 仮想化ソリューション – 導入事例』)。では、サーバ台数が少ない中小企業にメリットはないのかという話になるのですが、探しても事例が余りありませんでした。

中小企業は、ITインフラに投資できるコストも制約され、もし投資できても設置場所や電源確保に苦心することが多々あります。中小企業で、立派なサーバルームが確保できるところってあまり無いと思うんです。サーバ台数が少ないと、必然的に1サーバあたりが支える業務の個数も増えて、ひとたび障害が起きると切り分けは面倒だし、回復するまでそのサーバに乗っかっている…それも障害を起こした業務と関係のない業務まで止めなければならなくなることも珍しくありません。

そこで、小さいながらも社内プライベートクラウドを立ち上げることで、シンプルに業務を切り分けて運用を楽にしようというのが、このシステムの特徴になります。

■書いていないけど話したこと

プログラミングと違い、インフラ整備=投資であります。ですから、導入計画策定は会社のお財布を管理している経理の人と二人三脚です。減価償却、支払サイト、そして計画の妥当性に対する最後の一押し。この「最後の一押し」が無かったら、こうして発表できる状況になっていなかったのかもしれないのです。本計画に協力してくれた経理の先輩(女性)に大変感謝しています。

インフラ仕事は、自分の上長に説明することはもちろんですが、会社全体を巻き込んで物事を進めることなのだということをを忘れてはなりません。特に、中小企業であれば、全員の顔が見える訳ですから。

■頂いたお話

一番大きかったのは、「ディスク11発は大丈夫?」ということです。ディスクの寿命は大体同じ時期に来るのですが、故障すると次々とまとめて落っこちるのじゃないかという。これは、スペアを1個は入れて入るものの、導入時に少し不安には思っていました。可能であれば、わざと数本ある時期に入れ替えてみてはどうか、というお話を頂戴しました。予防保守ってやつですね。

■反省点

本発表である @hasegaw さんのKVMのアーキテクチャの話の後だったので、ネタ的に外してなくてよかったです。発表後にいただいた tweet を見て、良かった、と心から思いました。

今後の改善点は2つ。説明が10分で終わらなかった。そして、あまり笑いが取れなかった。ことでしょうか。

今回は早口でしゃべりすぎました(苦笑)。次は笑いが取れるようにがんばります!

■他の発表の感想・メモ

@hasegaw さん

  • AMDとIntelの互換性の問題について
    Xenだと、CPU依存の命令のマスクが可能。VMwareでもできるかも(今度調べます)。こうすれば移行時に動かないってことは回避できる。実はAMDからIntelに動かした時に動かなくてはまったことがあったのです。
  • Nehalem 未満ならXen それ以降ならXenでもKVMでも
    VMWareは歴史が長いので、CPUID別に細かく仮想化の制御方法を切り替えていて、それぞれカリカリにチューンしてある。

@kazunori_279 さん

  • Google Apps Engine のチャネルAPI … Google waveでできたことを自分の手元でできて面白そう!
  • Googleのスケーラビリティが高度に洗練された環境でできるところがポイント。

@toshiak_netmark さん

  • 一眼レフデジカメの話は、一家言ありそうな人が周りに一杯いてウケたw もちろん僕も。
  • KVM 夏の怪談(トラブル事例)が興味深い。ハードリンクで逃げる方法は覚えておく。

■おまけ

グループライド練習会で何度かお会いしたことがある人に、はじめてヘルメットなしでお会いしました。最初、お互い誰かはっきりわからなかったのは、ちょっとした笑い話。今回も、 @key3 さんつてでこの催しを知って参加しました。そして、初めての参加なのにLTの機会を設けていただいた幹事の @haru860 さんにとても感謝しています。

発表に拍手を送っていただいた皆様、その後の懇親会でご一緒させていただいた皆様、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。

Togetter – 「BPStudy#38」 – twitterでの当日の模様

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マネジメントの勉強はしたけどまとめきれない時に読む本

チームをマネジメントするために、技術的な側面よりも心の側面に焦点を当てた本が出版されました。

村田祐造氏 著『チームの心を一つにする技術 “常勝リーダー”だけが知っている

■チームをまとめるのは難しい

大なり小なり、チームを持った人が必ず悩むこと。それは「まとめること」そのものであります。言ったことは伝わらない、勝手なことをする人がいる、そしてバラバラになってしまう。

僕も、ずっとこの悩みを持ち続けています。だからといって一人でやってしまえばその仕事は終わるかもしれませんが、いっこうに自分の仕事の領域を抜け出すことはできません。小さいまんまで終わってしまうんですね。これはとても悲しい。でもどうにかしたい。

■タグラグビーを通じた出会い

昨年の秋ですが、CLA主催の『体験型チームビルディングセミナー』で、先に紹介した本の著者である村田さん(ムラタぐさん)の講義を聴講する機会に恵まれました。

セミナー内でタグラグビーをプレイします。タグラグビーは、ラグビーからケガをする危険のあるプレーをのぞき、老若男女誰でもが楽しめるルールにアレンジしたラグビーです。しかし、ラグビーの本質であるチームでプレーすると言う部分は生きており、ワンマンプレーでは本当の勝利にたどり着けない仕組みになっています。最近流行している、団体戦がなく一人でプレーするスポーツとは趣を異にします。

そこで、強く学んだこと。それは『感謝』の心を持つこと。悪いことがあったとしても、いつかは日々自然にできるように。そうすることで、自然に相手を受け入れられるようになり、チームが一体となっていくきっかけをつかめるということです。

■挑戦はいきなりはできない

ムラタぐさんは、モティベーションの状態を「フロー(+の状態)」「ノンフロー(−の状態)」として分けて解説されています。今まで、モティベーションをあげるために無理矢理「いける!」なんてやることを強要された経験を持たれている方もいると思います。それとはまた違った、今ある自分の能力・背景の受け入れ方について解説されています。やり方は違いますが、NLPで受けたアプローチに似ているなと思い出しました。

その感謝から始まり、それを取り巻く自分の内面の次のレイヤー(詳細はぜひ本で!)が成り立ち、初めて自分の外側に出てくる「挑戦」に結びつく、と言うロジックになっています。それを通じて、周囲に慮る気持ちが自分の中に育っていきます。

自分が起点なのですが、今までの自己啓発本と違って最後まで自分にとどまるのではなく、周囲に対してプラスのエネルギーがあふれる自分になるためにどうするのか、という観点が特筆できるポイントです。

■実践方法はやると結構恥ずかしい

私はセミナーを通じて、本に書かれている実践方法を実際に体験したのですが、これを実際にやるのは結構恥ずかしいです!でも、会社でやってみましたらなかなかイケてました。まずは「傾聴!」のサインからいかがでしょうか。ここで、一人一人が話し手に傾聴していないことから気づくはずです(※1)。

また、個人でできるものはチームでやるものよりもやりやすいので、一人で笑ってしまうこともあると思いますが、お試しください。気持ちが少しずつ変わってくるはずです。

■こういう人が読むといいんじゃなかろうか

となりますと、

  • 会社である程度結果が認められてポジションがどんどん良くなっている…けど、チームを今ひとつまとめきれなくて困っている人。
  • 会社になんか許せない奴がいる。
  • チームで挑戦するために今ひとつ覚悟を決められない。

この3点でしょうか。僕にとっては、以前のセミナーの復習のための教科書として活用しています。

ビジネス系の本全般に言えることですが、実践を推奨している手法をいきなり全部やるとつぶれてしまいます。特に、セミナー等で実践方法を直に学んでいないと、かなりの確率で挫折します。ですので、自分ができそうだ、これはやってみたいと言うモティベーションになれるものから、はじめてみてはいかがでしょうか。

あと、タグラグビーは本で書かれているチームワークを直に学べる機会ですので、イベントを通じて汗を流しながらマネジメントについて考え直すのもとても良い時間になるはずです。ムラタぐさんが経営されている『スマイルワークス』さんでも主催されていらっしゃいます。

一人では生きられない、というのは言葉ではわかります。でも、中身として理解を深めるのは一生かけても難しい、人生の課題です。そのヒントをつかむきっかけとして、読まれてみてはいかがでしょうか。

※1: 傾聴していると、ミーティングも早くかつ効率的に進むんじゃないかと感じました。

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    昼は要求定義からインフラ構築まで担当するサーバサイド技術のSE、夜は焼酎をこよなく愛す兄ちゃんです。
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