今日は、春まで通っていた筑波大学の社会人大学院「ビジネス科学研究科 経営システム科学専攻」(GSSM)のオープンキャンパスに、OBとして体験談を話しに行きました。この日(当日の模様:『オープンキャンパスが開催されました | 筑波大学ビジネス科学研究科』)の事を、様子、私がお話しした事、そして付け加えたい事の3点についてお伝えしたいと思います。

GSSMは、他の大学院と違って、特定の分野に絞られていません。大きく分けて3つの分野…「経営学」「Operations Research」そして「情報・計算機科学」の先生が集まる、珍しい環境です。言い換えれば、多種多様な分野の学習をサポートできる環境にあると言えます。特定の分野に絞ってもよし、また学際として分野をまたぐこともできる大学院です。また、筑波大学ですが、東京都文京区にあり、都内で働いていても通いやすい場所にあります。

※ここで書いた事を全て実践したからと言って、合格できるとは限りません。その点、ご了承ください。

※本記事内の意見は、筑波大学を代表するものではなく、私 一個人のものです。

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■様子: すごい熱気!

オープンキャンパスのメイン会場として使った134号室という大講堂があるのですが、なんとここが満席!予備のイスまで出ていました。社会人大学院への関心ってやっぱり高いんですね。

隣では博士後期課程のオープンキャンパスが行われていたのですが、そっちはどうだったのでしょうか?私の先輩もOBとして参加していたようですが、反応を聞くとそれなりにいらしていたのかなと思っております。

■お話: (予定)一言話す → (現実)パネルディスカッション

この日の在校生・修了生コーナーでは3名が出まして、修了生が2人(僕を含む)、在校生が1人の構成でした。あまり流れが良くなかった?それは参った…けど、弁明させてください(笑)。僕は「一言話す」予定で来ました。しかし、流れで「パネルディスカッション」もどきの状況となったのです(汗)。

さて、パネルディスカッション中の質疑応答で、大きく分けてこんな内容のお話をしました。

  1. GSSMとその他のビジネススクールとの違い
  2. 研究計画書の書き方
  3. 試験への備え
  4. 会社との折り合いの付け方
  5. 講義の出席
  6. 講義の内容
  7. 指導教授選択
  8. きつかったこと
  9. 修了した後の話

1は、GSSMではケースメソッド形式の講義はほとんどありません。基礎科目こそ座学が多いのですが、その後はゼミや演習形式の講義がほとんどです。また、講義は主に修士論文を書く時のための知識をつけることに主眼がおかれていて、直ちに仕事等に活用できるスキルを学ぶのではない事もお伝えしました。

2は、僕からは「今、仕事で直面している課題・新しい発見」について絞って記述するといいかも、とお話ししました。広く一般の課題で探してもいいのですが、それだとストレートであがる大学院生とあまり変わりありません。仕事で直面する課題から導けるのが、社会人大学院を目指す人のアドバンテージです。また、これは個別にお話ししたのですが、手段と目的を取り違えないよう気をつけると良いかと思います。例えば、ID付きPOSデータを用いてマーケット分析をしたいと考えてしまうと、それはそもそも何のためにやるのか?が抜けてしまいます。ID付きPOSデータを使うのは、単なる手段なのです。ここ、気をつけないと行けません。

3は、特に面接の話がありましたが、僕はほとんど備えはありませんでしたし、記憶にもありません(当時の記事「飛び級で叶えるビジネススクールへの道 – 研究計画書から本番まで」にも記憶がないと書いてありました…)。とはいえ、社会人なら最低限の面接マナーは習得されているはずですし、一生懸命書いた研究計画書の事なら頭にあるでしょうから、変に気張らなければ大丈夫なのではないでしょうか。

4は、上司はもちろん、同僚にも理解を得る事がとても大切です。家族がいる方は、もちろん家族に対してもです。周囲の協力があっての通学だと思ってください。僕は、受験する前から上司や周囲に大学院への通学の事を話していました。また、通学中に転職したのですが、その先でも何とか理解を得ながら通学をする事ができました。

5は、うちはあまりうるさくは言われません。ただ、社会人大学院だと自腹を切って来ている訳ですから、来ない事が自分にとって不利益になります。ですので、どちらかというと先生たちからは学生に対して自己管理を適切に行うよう求められていると思ってください。

6は、1にも重なります。特に、最近流行の「ビッグデータ」的な研究をやりたいのであれば、コンピュータ関連の基礎科目をきちんと受けておく事をお勧めします。その後のデータマイニング系の講義で、少しは楽になれるはずです。また、社会人大学院に来る人は多種多様なバックグラウンドを持っている人が集まります。お互いに助け合いながら課題をクリア(※1)すると、尚良いのではないでしょうか。私もそうしていました。

7は、指導教授の先生を選択するまで、3ヶ月ほど時間があります。ここで、人となりを知り、そして直接訪問してお話をしてみてください。その中で、自分にしっくり来る先生に指導を受ければ良いのではないでしょうか。

8は、一番きつかったのは修士論文執筆です。体力、精神、両方に来ます。

9は、「情報をサーベイする力」「モデリングする力」そして「論理的にまとめる力」がついたと思っています。この力はどの職業でも、 そして長い間自分を支えてくれる物になると信じています。先ほども書きましたが、仕事で直ちに使えるスキルが獲得できる訳ではありませんので、そこを期待 しない方が良いです。

なお、上記の話のほとんどのことは、「筑波大学 社会人大学院(GSSM)を無事修了しました」の記事中でより詳しく書いています。あわせてご覧ください。

■付け加えたい事

研究、学生生活、そしてのお金の事の3点について、付け加えます。

先ず研究ですが、新規性などの研究としての重要性を気にされている方がいました。もちろん適切にカバーされていればよいのですが、これがきちんとできれいれば修士ではなくて博士のほうに行く方法もあります。そもそも、それができないから学ぶんですよね、という事です。まずは、研究計画書を書く段階では「努力」してみる所からでいいのではと、私は思います。私も、最初からできていた訳ではありません。

続いて、学生生活。まー、勉強もいいんですけど、飲みに行ったり、イベントをやったり、あれこれ楽しむ機会がたくさんあるので、ぜひ楽しんでください(笑)。自分が普段いるドメインと全く違う人と、同じ目的に向かって進む経験は、社会人大学院にでもいない限りなかなか経験できるものではありません。

最後に、大切なお金の事です。筑波大学は国立大学ですので、入学料・授業料は2年で130万円くらいです。私立だとこれの3倍はかかるかもしれません。自腹を切って行く人(私もそうでした)は、その点は充分留意してください。会社からお金が出る人は、会社から出る事に満足せず、いい意味でも悪い意味でも会社に足元を見られている点は忘れないでください。

■がんばれ受験生!

ここまで、オープンキャンパスの様子、質疑応答のこと、そして私から付け加えたい事の3点をお話ししました。

まあ、色々書きましたが、最後に一言。GSSMで学んだ結果として、何も準備がなくてもパネルディスカッションやその後の個別質疑応答ができるくらいの力がつく。それが一番の見物だったんじゃないかと、僕は思っております!!!

受験生の皆さん、がんばってください!そして、受験生が増えるといいなぁ… 🙂

※1 答え丸写しでクリアできるような課題はほとんど出ません。

■参考記事